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鶏卵情勢(令和5年11月)

生産動向

餌付け羽数

 令和5年9月の全国の餌付け羽数は7,902千羽(前年比102.9%)であり、前年を上回る推移となった。前年同月比では、東日本は93.2%と減少しており、西日本は115.6%と前年を上回った結果であった。地域別に見ると北海道エリアでは163.6%、北陸エリアでも115.6%と増加したものの、関東エリアでは85.5%と前年を下回る結果となった。今シーズン野鳥の鳥インフルエンザ感染が確認されたこともあり、今後の生産量の変動に注視が必要である。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数

供給面

 供給面は、外気温の低下から各産地の産卵率、卵個重ともに回復しており、大玉へのサイズシフトが見られた。産地在庫は余剰が見受けられる。
 今後について、鳥インフルエンザの生産復帰による生み出しが継続し、生産量は増加傾向で推移する見込みである。しかし、北海道・宮城県にて野鳥における感染事例が数件確認されたこともあり、供給量を大きく左右する鳥インフルエンザの発生状況には引き続き注意が必要。
エリア別鶏卵生産量

配合飼料関連動向

飼料:とうもろこしのシカゴ相場12月限は、11月1日現在478セント/buでの取引となった。
原油:先物相場12月限については、11月1日現在82.31ドル/バレルとなった。
海上運賃:9月の海上運賃は約52ドル/トンとなった。
為替:東京外国為替市場は、11月1日151円30銭/ドルでの取引となった。

消費動向

家計消費

 令和5年9月の鶏卵の一人当り家計消費量は849g(前年同月比96.3%)。令和3年との比較では、94.1%となっており、またコロナ禍前の令和元年比では98.0%であった。9月も残暑が厳しく、季節性需要の減少から家計消費量は落ち着いていたと考えられる。今後は気温の低下からおでんや鍋物の喫食機械増加によるテーブルエッグの需要増が期待できるため、家計消費は堅調な推移になると予想される。
鶏卵の一人当り家計消費量
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 令和5年9月の外食全体の売上は前年比115.0%となり、秋の季節メニューを筆頭に土日祝を中心に特に9月後半から客足が伸び、価格改定の影響からも前年を大きく上回った。インバウンド需要は引き続き好調であり、令和5年9月の訪日外客数は218万人越えの元年同月比96.1%となり、コロナウイルス感染拡大前の実績に迫る勢いとなった。外食全体の売上は令和元年比で109.5%となり、コロナ前を上回る推移が続いている。またパブ・居酒屋業態の売上は長引く残暑によりビールの売れが好調だったこともあり前年比で130.0%となったが、令和元年比では68.1%の推移であった。加工筋は、鶏卵類の輸入量が増大したまま推移していることと、需要回復の遅れが顕著であり、過剰在庫となっている。 
 一方で今後の業務・加工筋は、飲食店における秋冬メニューの本格的な開始や行楽シーズンの盛り上がりといった好材料から、需要の高まりが期待される。
外食産業業態別売上高

小売動向

 令和5年9月の全国コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は9,352億円(前年比103.5%)日本チェーンストア協会が発表した令和5年9月の売上高(既存店ベース)は、10,709億円(前年比102.8%)となり前年実績を上回った。食料品は104.8%、畜産品は100.9%となった。
 経済産業省が発表した商業動態統計によるとドラッグストアの令和5年8月の売上高は前年比107.6%となり、先月と同様前年を上回った。
小売動向表

価格動向

 令和5年10月の東京相場の月間平均は、Mサイズ283円(前年比+44円、前月比△9円)。
 供給面は、鳥インフルエンザからの生産復帰により、大玉を中心に生産量回復傾向にあり、在庫過多となっている。11月に入り朝晩の気温が下がっていることで、大玉の発生が多く見られた。
 需要面は、大手ファストフードチェーンの月見プロモーションが終了し、荷動きは鈍くなっている。量販筋は、気温の低下と共に季節性の需要期となったことで、定番・特売共に堅調に推移している。問屋筋では、連休需要は振るわず、定期中心の取引となり落ち着いた状況であった。加工筋においては依然として需要の回復が不十分なため、不調となっている。これらの状況から東京相場は10月16日、23日、30日、11月6日にて下押しの展開となった。
 今後について、供給面は鳥インフルエンザからの復帰鶏群により、供給量増の傾向が続くと予想される。また、気温の低下に伴い、サイズバランスは大玉増加・小玉減少の傾向がより顕著になると考えられる。
 需要面については、紅葉シーズンとなり、行楽地や観光地の盛り上がりに加え、テーブルエッグ消費の増加や秋冬メニューの普及等、堅調な荷動きが期待される。これらの状況より、需要の回復しだいとなり、今後の相場展開はサイズ調整もしくは下押しの調整局面を予想する。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

輸出入動向

輸入動向

 令和5年9月の鶏卵類輸入通関実績は3,534トン(前年比145.0%)と前年を大きく上回った。9月での殻付き卵の合計は981tとなり、前年を大幅に超える推移となった。(前年同月比24,525%)国別では、ブラジルは839t(前月比75.5%)、アメリカは138t(前月比680.8%)の推移となった。
鶏卵類輸入通関実績(6月累計)

輸出動向

 令和5年9月の殻付卵輸出実績は1,642トン(前年比54.6%)となった。
殻付卵輸出実績

その他

気温について
10月は、月の前半が温暖な気候となり、後半が冷涼な気候となった。1ヶ月の間で大きく気温が変化したため、卵重の変化に注目したい。
鳥インフルエンザについて
野鳥・環境での発生状況
11月6日時点で2道県5事例で確認。
(北海道、宮城県)

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