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鶏卵情勢(令和6年3月)

生産動向

餌付け羽数

 令和6年1月の全国の餌付け羽数は7,432千羽(前年比93.8%)と、前年を下回る推移であった。東日本は95.3%と前年を下回り、西日本も91.9%と前年を下回った。
 地域別に見ると北海道エリアで101.5%、北陸エリアで177.3%と大きく増加したが、東北エリアでは95.4%、関東エリアでは82.5%と前年を下回る結果となった。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数

供給面

 供給面は、生産調整の影響もあり、過剰在庫から解消に向かい、一部産地ではタイト気味となっている。令和6年2月27日時点で鶏卵の標準取引価格(日ごと)が、197円/kgと安定基準価格190円/kgを上回ったため、前日の令和6年2月26日をもって成鶏更新・空舎延長事業の対象となる成鶏の出荷期間は終了となった。
 令和6年3月5日時点で高病原性鳥インフルエンザ発生にて、採卵鶏65万羽が殺処分となっている。令和5年3月5日時点では約1,386万羽が殺処分されていたため、前年比およそ5%にとどまっている。
 今後について、昨シーズン鳥インフルエンザからの生産復帰が続く見込みだが、生産調整が継続していることから、供給量は大きな増減無く推移していくと考えられる。
エリア別鶏卵生産量

配合飼料関連動向

飼料:とうもろこしのシカゴ相場3月限は、3月1日現在412セント/buでの取引となった。
原油:先物相場4月限については、3月1日現在79.97ドル/バレルとなった。
海上運賃:1月の海上運賃は約51ドル/トンとなった。
為替:東京外国為替市場は、3月1日150円40銭/ドルでの取引となった。

消費動向

家計消費

 令和6年1月の鶏卵の一人当り家計消費量は898g(前年同月比100.0%)。またコロナ禍前の令和元年比では101.9%であった。昨シーズンと比べて鳥インフルエンザの発生が限定的である点、鶏卵相場が前年を下回っている点が引き続き消費の上向きに起因している可能性も考えられる。
 今後は、気温の上昇に伴う冬季需要の低下により、テーブルエッグの引き合いは一定程度落ち着くことが予想される。
鶏卵の一人当り家計消費量
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 令和6年1月の外食全体の売上は、前年比109.6%、令和元年比113.5%とどちらも好調に推移した。元日の能登半島地震による一部宴会のキャンセルや観光の自粛も見られたが、人口の多い地域が牽引し、コロナ規制解除後初の年始外食需要は全体的に堅調な動きとなった。客数も前年比105.2%と伸長した。令和6年1月の訪日外客数についても令和元年同月比100.0%、前年同月比で179.5%と能登半島地震の影響は限定的であった。またパブ・居酒屋業態の売上は、能登半島地震に衝撃を受けた消費者マインドより、集客に苦戦する場面も見られたが、月末にかけて中小規模の法人宴会が戻り、前年比で110.1%、令和元年比で65.7%となった。加工筋は、依然荷動きは鈍いものの、鶏卵類の輸入量減少に伴い、徐々に在庫水準が適正に近づいている。
 今後の業務・加工筋は、インバウンド需要の継続、春の大手ファストフードプロモーションといった要素から、堅調な推移となると予測される。
外食産業業態別売上高

小売動向

 令和6年1月の全国コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は8,855億円(前年比101.2%)日本チェーンストア協会が発表した令和6年1月の売上高(既存店ベース)は、11,376億円(前年比101.9%)となり前年実績を上回った。食料品は103.5%、畜産品は99.9%となった。
 経済産業省が発表した商業動態統計によるとドラッグストアの令和5年12月の売上高は前年比105.9%となり、32か月連続での前年比越えとなった。
小売動向表

価格動向

 令和6年2月の東京相場の月間平均は、Mサイズ190円(前年比△137円、前月比+10円)。
 供給面において、令和6年2月1日より令和5年度成鶏更新・空舎延長事業が発動されたことからも、生産調整の動きが進み、サイズバランスとしては大玉が不足傾向にある。
 需要面において、量販筋では、相場価格商品を筆頭に発注数量増の傾向が続いている。問屋筋では、サイズによっては瞬間的にタイトとなる局面があり、一部スポット取引も見られたが、定期中心の取引となった。加工筋について、販売は軟調な状態が継続しているものの、在庫消化が進んでいる。これらの状況から東京相場は2月6日、15日、20日、27日に上伸の展開となった。
 今後について、供給面では春ごろまで生産復帰が継続する見込みである一方、一定期間生産調整の影響が継続するとみられ、産地在庫はややタイト目に推移していくと考えられる。需要面では、春に向けた行楽需要の高まりや、加工筋のメニュー改変等による販売好転の可能性に期待が寄せられる。
 これらの状況より、今後の相場展開は強含みの展開と予想する。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

輸出入動向

輸入動向

 令和6年1月の鶏卵類輸入通関実績は1,561トン(前年比78.5%)と前年を大きく下回った。令和6年1月での殻付き卵の合計は14トンとなり令和5年8月から減少傾向にある。昨シーズンの鳥インフルエンザの影響も落ち着いたことで、加工筋をはじめとする国外調達が鈍化傾向で推移していることが一因とみられる。
鶏卵類輸入通関実績(6月累計)

輸出動向

 令和6年1月の殻付卵輸出実績は1,335トン(前年比140.3%、令和3年比85.9%)。令和5年12月同様前年越えとなったが、前年は鳥インフルエンザの影響で輸出が制限されていたため、依然として大きな重量の伸びは見られていない。また、メイン輸出先である香港にて日本産鶏卵アイテムは飽和状態となっており、競争は激しい状態が続いている。
殻付卵輸出実績

その他

鳥インフルエンザについて
①国内養鶏場での発生状況
令和6年3月5日時点で8県9事例の発生状況。
(採卵鶏で約65万羽)
②野鳥・環境での発生状況
令和6年3月8日時点で26都道県127事例で確認。
(北海道、青森県、岩手県、宮城県、新潟県、茨城県、群馬県、東京都、千葉県、神奈川県、富山県、岐阜県、石川県、
愛知県、滋賀県、大阪府、鳥取県、岡山県、香川県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)

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