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鶏卵情勢(令和5年5月)

生産動向

餌付け羽数

 令和5年3月の全国の餌付け羽数は8,927千羽(前年比102.4%)であり、前年を上回る推移となっている。前年同月比では、東日本は97.2%と減少しているが、地域別に見ると東北エリアでは104.9%と増加しており、北海道エリアでは43.4%と大きく減少している。西日本は108.8%と前年を上回った結果となった。鳥インフルエンザからの回復等も含め、今後動向を注視する必要がある。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数

供給面

 供給面は、4月上旬に北海道にて鳥インフルエンザの発生があったが、それ以降家きんでは発生していない。しかしながら鳥インフルエンザの影響により稼働羽数が大幅に減少をしており、生産量は引き続き低位に推移している状況である。今後について、3月まで東日本を中心に発生していた鳥インフルエンザからの回復には未だ時間がかかると想定され、産地在庫は当面の間、タイトな状況が続くことが想定される。
エリア別鶏卵生産量

配合飼料関連動向

飼料:

とうもろこしのシカゴ相場5月限は、5月1日現在640セント/buでの取引となった。
米中西部産地の降雨による作柄改善の見込みや、ウクライナの穀物輸出の正常化への期待が影響した。
原油
先物相場6月限については、5月1日現在75.66ドル/バレルとなった。
海上運賃
3月の海上運賃は約48ドル/トンとなった。
為替
東京外国為替市場は、5月1日136円69銭/ドルでの取引となった。

消費動向

家計消費

 令和5年3月の鶏卵の一人当り家計消費量は828g(前年同月比86.3%)。令和3年との比較では、87.8%となっており、またコロナ禍前の令和元年比では90.6%であった。供給不足による販売数量の制限実施による影響が顕著に表れ、品薄状態は継続している。
 今後も産地在庫は低位に推移すると考えられ、堅調なテーブルエッグの荷動きに対して応えられない状況が続くと想定される。
鶏卵の一人当り家計消費量
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 令和5年3月の外食全体の売上は前年比118.8%となり、3月13日よりマスク着用が個人の判断に委ねられコロナ規制の緩和が明確となり、前年比を大幅に超えた。送迎会シーズンにて需要の回復が顕著に表れ、パブ・居酒屋業態の売上は前年比で189.4%となった。コロナ感染の収束傾向から少しずつ企業等の大きめな宴会も増えてきていることもあり、令和元年比で64.5%の推移となった。外食全体の客数は令和元年比で101.5%となり、コロナ前と同等の推移となった。しかしながら外食業態では卵の供給不足や価格高騰の影響から上場する外食大手100社のうち5月8日時点で少なくとも29社は卵メニューの休止や休売の対応を行っている現状であり、今後の需要動向には注視する必要がある。加工筋は引き続き原料卵が不足している状況である。
 今後の業務・加工筋は新型コロナウイルスが5月8日から5類感染症に移行となり、インバウンド需要の回復に加え更なる人流増加が見込まれることから需要は堅調に推移することが予想される。
外食産業業態別売上高

小売動向

 令和5年3月の全国コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は9,296億円(前年比105.8%)日本チェーンストア協会が発表した令和5年3月の売上高(既存店ベース)は、11,178億円(前年比101.5%)となり前年実績を上回った。食料品は99.4%、畜産品は98.4%となった。
 経済産業省が発表した商業動態統計によるとドラッグストアの令和5年2月の売上高は前年比105.6%となり、先月と同様前年を上回った。
小売動向表

価格動向

 令和5年4月の東京相場の月間平均は、Mサイズ350円(前年比+139円、前月比+7円)。
 供給面は、4月上旬に北海道にて鳥インフルエンザが発生してから、約1ヶ月以上、鳥インフルエンザは発生していない状況であるが、稼働羽数の大幅な減少により産地在庫は未だ低位に推移している。
 需要面は、量販筋は供給不足の影響から特売中止や販売数量の制限実施により、各量販店において不足感は継続している。また、業務・外食筋においてはインバウンド需要の回復と歓送迎会シーズン等の好材料により需要の増加が見られたが、供給不足により応えられていない状況である。加工筋においても、在庫不足の状況から強い引き合いが継続している。これらの状況から東京相場は3月28日の上伸より保合の展開となっている。
 今後について、供給面は鳥インフルエンザの影響による大幅な稼働羽数の減少により、生産量は引き続き低位で推移すると考えられ、全体的な需給は当面の間、不足感の強い状況が続くと考えられる。また気温の上昇に伴い大玉減、小玉増の傾向になると予想される。
 需要面についてはインバウンド需要の回復と新型コロナウイルスが5類に分類されたことにより、人流増加に伴い需要の増加が考えられる。しかし量販筋は売価変更に伴い、需要減の可能性もあることから相場展開は保合もしくは大玉減、小玉増の傾向によりサイズバランスの調整となると予測する。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

輸出入動向

輸入動向

 令和5年3月の鶏卵類輸入通関実績は2,382トン(前年比116.8%)と前年を上回った。加工大手によるブラジルからの新規輸入も始まっており、今後も増加傾向になると想定される。
鶏卵類輸入通関実績(6月累計)

輸出動向

 令和5年3月の殻付卵輸出実績は1196トン(前年比39.5%)となった。国内の稼働羽数不足と全国的に発生している鳥インフルエンザの影響から、大幅に減少したと想定される。
殻付卵輸出実績

その他

新型コロナウイルスの影響について
コロナウイルス新規感染者数は、4月下旬頃から増加傾向にあり、都内において5月上旬現在1週間の平均でみると大型連休による外出機会の増加に伴い、1日当たり約1600人となっている。また、5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同様の「5類」へ移行した。法律に基づいた外出自粛の要請等はなくなり、感染対策は個人の判断に委ねられるため、今後も感染状況と需要動向影響を注視する必要がある。
鳥インフルエンザについて
①国内養鶏場での発生状況
5月2日時点で26道県84事例の発生状況。
(採卵鶏1654万羽、肉用鶏98万羽、あひる等19万羽)
②野鳥・環境での発生状況
5月2日時点で27道県242事例で確認。
(北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、栃木県、茨城県、群馬県、埼玉県、新潟県、富山県
石川県、福井県、静岡県、神奈川県、滋賀県、兵庫県、奈良県、鳥取県、岡山県、香川県、福岡県、長崎県、熊本県
宮崎県、鹿児島県)

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