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食肉情勢(令和3年6月)

牛肉

供給

(1)国産
 令和3年4月の成牛と畜頭数は、90.4千頭(前年比107.0%、前月比101.1%)となった。内訳を見ると、和牛42.1千頭(前年比113.8%)、交雑牛19.7千頭(同104.8%)、乳牛去勢13.2千頭(同 97.1%)であった。
 令和3年5月の成牛と畜頭数は、速報値(5/31まで集計)で78.5千頭(前年比100.0%)となっている。
 (独)農畜産業振興機構が5月25日に公表した牛肉の需給予測によると、6月の出荷頭数は全品種で出荷頭数の減少が見込まれることから、前年同月をやや下回ると予測している。また、3ヶ月平均(4~6月)について、出荷頭数(前年同期比100.9%)・生産量(同100.5%)ともに前年同期をわずかに上回ると予測している。
(2)輸入
 令和3年4月の輸入通関実績によると牛肉輸入量は全体で55.3千トン(前年比80.1%、前月比119.7%)となった。内訳は、チルドが25.6千トン(前年比90.4%、前月比112.0%)、フローズンが29.7千トン(前年比72.9%、前月比127.3%)となった。輸入量は、チルド・フローズンともに通関遅れや豪州等における現地価格の高騰等から前年を大幅に下回った。主な国別でみると、チルドは米国13.2千トン(前年比 92.9%)、豪州10.0千トン(同 85.1%)、カナダ1.2千トン(同 95.7%)、フローズンは豪州14.7千トン(前年比 93.3%)、米国8.3千トン(同 45.2%)、カナダ3.2千トン(同 130.5%)、ニュージーランド1.8千トン(同 82.5%)メキシコ1.3千トン(同 133.2%)であった。
 (独)農畜産業振興機構が5月27日に公表した牛肉の需給予測によると、チルドの輸入量は通関遅れや米国・豪州における現地価格の高騰等があるものの、前年の輸入量が北米現地工場の稼働停止の影響等により少なかったため、5月・6月ともに前年同月をやや上回ると予測する。4月~6月までの3ヵ月平均では前年同期をわずかに下ると予測している。フローズンの輸入量は、通関遅れや米国・豪州における現地価格の高騰等により、5月・6月ともに前年同月をかなり下回るとともに4月~6月までの3ヵ月平均でも前年同期を大幅に下回ると予測している。

需要

(1)家計
 総務省発表の令和3年3月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は547g(前年比91.2%)、支出金額が1,845円(同99.8%)となり、購入量・金額とも、前年を下回った。(※参考.家計消費の前々年度同月比:数量:95.8%、金額:110.4%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の4月の販売統計速報によると、既存店ベースでの畜産部門の売上高は1,125億円(前年同月比89.3%)と前年同月を下回った。依然、内食需要は底堅いものの、前年に大きく需要を拡大したハム等の加工肉やひき肉等は反動で伸び悩んだことが大きな原因である。
 日本チェーンストア協会が公表した4月販売概況によると、畜産品の売上は864億円(店舗調整後で前年同月比91.3%)となり、前年を下回る結果となった。牛肉・豚肉・鶏肉といった精肉での苦戦とともに、鶏卵、ハム・ソーセージ等の加工品の厳しい荷動きが報告されている。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査4月度結果報告によると、4月25日より東京・大阪を含む4都府県に3回目となる「緊急事態宣言」が発令されたことで客足が鈍り、飲食業態は大打撃となった。全体売上は前年比136.7%だが、コロナ禍の影響がなかった前々年比では80.5%に留まっており、コロナ禍以前と比べて極めて厳しい状況にあることが報告されている。業態別では、①一番好調なファーストフードでは、店内飲食を再開するとともに、洋風ではテイクアウトが引き続き堅調で、牛丼などの和風では新メニュー投入等により盛り返しているため、全体売上は前年比117.6%となっているが、前々年比では99.1%に留まっており、コロナ禍以前にわずかに及ばない。②ファミリーレストランは前年がコロナ禍で大きく減少したため、売上は前年比では175.4%だが前々年比では69.0%にとどまり、焼肉も同様に前年比254.9%ながら前々年比75.9%にとどまり、回復途上である。その他の業態でも同様で、③ディナーレストラン業態は前年比296.4%、前々年比46.4%、④喫茶業態は前年比229.1%、前々年比68.2%、⑤パブ・居酒屋にいたっては酒類提供制限の影響で前々年比20%台に低迷し、全業態でコロナ禍以前より厳しい状態となっている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構が5月27日に公表した牛肉の需給予測によると、令和3年4月末の推定期末在庫量は117.6千トン(前年比82.8%)と前年を大きく下回った。内訳は、輸入品在庫が104.8千トン(前年比80.3%)、国産品在庫が12.8千トン(同111.4%)となり、輸入品は前年実績を下回り、国産品は前年実績を上回ることとなった。同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた今後の期末在庫の推移は、5月が119.3千トン(同80.7%)、6月が114.9トン(同78.0%)と前年を大幅に下回ると予測している。

市況

(1)5月~6月
 令和3年5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値5/31時点)は、和牛去勢A5が2,644円(前年比120.1%)、和牛去勢A4が2,378円(同130.8%)、和牛去勢A3が2,183円(同 135.6%)、交雑牛B3が1,657円(同 132.0%)、乳牛去勢B2が1,068円(同108.7%)であった。
 (独)農畜産業振興機構が5月27日に公表した6月の国内出荷予測頭数を品種別にみると、和牛が38.2千頭(前年比96.1%)、交雑牛が17.8千頭(同 96.2%)、乳用種が26.4千頭(同 98.6%)であり、全体では83.9千頭(同 96.6%)と見込んでいる。
 5月の枝肉相場は、政府の補助事業や堅調な輸出需要に支えられて中旬まで堅調な推移となったが、「緊急事態宣言」発令に伴う酒類提供禁止などによる外食店の需要停滞や連休明けの季節需要の弱まりで、月末にかけて弱含みな市況推移となった。6月は①底堅い内食需要の継続、②堅調な輸出推移、③政府の補助事業の影響といった主要因に変化はなく、和牛・交雑牛・乳牛ともに出荷予測頭数が前年を下回るため、堅調から強含みな展開で推移するものと予測される。また、新型コロナウイルス感染の影響に伴う行政対応や季節需要等による枝肉相場への影響には引続き注視が必要である。

豚肉

供給

(1)国産
 令和3年4月度全国の肉豚出荷頭数は1,449.0千頭(農林水産統計5/31公表 前年同月比100.0%、前月比95.4%)となった。4月の全国地域別出荷頭数を前年同月比で見ると、北海道103.7%、東北101.1%、関東98.8%、北陸甲信越98.6%、東海111.0%、近畿102.3%、中四国97.5%、九州・沖縄98.9%となった。
 令和3年5月の全国と畜頭数は、速報値で1,246千頭(5/31まで集計)、前年同月比96.6%となっている。稼働日数では昨年と同じ19日となり、1日当たりの平均と畜頭数は速報値段階で65,589頭となっている。(前年は67,877頭/日)
 農水省食肉鶏卵課令和3年5月25日付肉豚生産出荷予測によると、今後の出荷予測頭数は令和3年6月1,276千頭(前年同月比96%)、7月1,285千頭(同95%)、8月1,290千頭(同102%)、9月1,310千頭(同97%)、10月1,450千頭(同98%)と予測している。
(2)輸入
 令和3年4の輸入通関実績は豚肉全体で98.7千トン(前年同月比97.1%、前月比143.1%)となった。内訳は、堅調な内食需要によりチルドが40.6千トン(前年同月比107.8%、前月比98.7%)と前年比を上回る一方、現地高や低迷する外食需要の影響でフローズンは58.1千トン(同90.9%、同208.5%)と前年を大きく下回った。主な国別では、チルドは米国20.8千トン(同 110.6%)、カナダ18.6千トン(前年同月比103.4%)、メキシコ1.3千トン(同136.7%)となり、フローズンはデンマーク13.0千トン(同108.2%)スペイン12.0千トン(同95.2%)、メキシコ10.9千トン(同114.0%)、米国7.0千トン(同80.2%)、カナダ3.1トン(同74.1%)となっている。(独)農畜産業振興機構が5月27日に公表した豚肉の需給予測によると、5月・6月の輸入量は、チルドは飼料価格の高騰や現地高等から前年同月をわずかに下回り、4月~6月までの3か月平均では前年水準となることが予測される。一方、フローズンは、チルドと同様の影響に加え、外食需要減少等により5月はかなり大きく、6月は大幅に前年同月を下回り、3か月平均でもかなり大きく下回ると予測している。

需要

(1)家計
 総務省発表の令和3年3月期家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,894g(前年同月92.7%)、支出金額が2,641円(同93.7%)となり、購入量・金額とも、前年を下回った。(※参考.家計消費の前々年度同月比:数量:101.0%、金額:104.1%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の4月の販売統計速報によると、既存店ベースでの畜産部門の売上高は1,125億円(前年同月比89.3%)と前年同月を下回った。依然、内食需要は底堅いものの、前年に大きく需要を拡大したハム等の加工肉やひき肉等は反動で伸び悩んだことが大きな原因である。
 日本チェーンストア協会が公表した4月販売概況によると、畜産品の売上は864億円(店舗調整後で前年同月比91.3%)となり、前年を下回る結果となった。牛肉・豚肉・鶏肉といった精肉での苦戦とともに、鶏卵、ハム・ソーセージ等の加工品の厳しい荷動きが報告されている。
 5月は依然として堅調な内食需要は続いているものの、連休明けの「緊急事態宣言」発令に伴う補充買いを急ぐ動きも見られず全体として落ち着いた展開となった。出荷頭数が伸び悩むなか、国産物・冷蔵品では、切り落としや挽き材となるモモ・ウデ・スネといった部位中心で、かつ低価格品中心の荷動きとなった。バラも多少引き合いがあったが、カタロース・ロースの荷動きは終始鈍いものとなった。国産物・冷凍品も冷蔵品と同様にウデ・モモ・スネといったスソ物中心の引き合いとなった。また行楽需要の低迷でスペアリブの引き合いは例年ほど強まらなかった。輸入品は通関遅れにより不安定な入荷が継続しているため特売を組みにくい状況が伝えられるが、チルドはベリー等が堅調、フローズンは外食需要の停滞状況を反映し、全体的に厳しい荷動きが続いている。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の令和3年3月の豚肉加工品仕向量は31.4千トン(前年同月比101.7%)となった。この内訳は、国内物が5.7千トン(前年同月比105.4%)、輸入物が25.7千トン(同101.0%)と、国内物・輸入物ともに増加となった。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークも11.2千トン(前年同月比102.7%)と増加している。

在庫

 (独)農畜産業振興機構が5月27日に公表した豚肉の需給予測によると令和3年4月末の推定期末在庫量は184.6千トン(前年比82.4%)となり、前年を大きく下回った。内訳は、輸入品の在庫が159.0千トン(前年比79.2%)、国産品が25.6千トン(同110.7%)となり、輸入品は前年実績を下回り、国産品は前年実績を上回ることとなった。同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた今後の期末在庫の推移は、5月が189.5千トン(同80.4%)、6月が173.6千トン(同73.8%)と前年を大幅に下回るものと予測している。

市況

(1)5月~6月
 令和3年5月の東京食肉市場枝肉相場は、速報値(5/31時点)で507円/kg(前年同月比80.3%)となった。枝肉相場は連休明けの目立つ補充買いの動きもなく、中旬以降は上物価格が500円に届かない日も多く、落ち着いた展開となった。需要面では前月に引き続きスソ物中心の荷動きながら、底堅い内食需要が継続しており、供給面ではチルドポークの輸入量は通関遅れ等のため前年を下回り、全国と畜頭数も前年同期を下回ったため、前年同期を下回る月間平均では500円をわずか上回る相場展開となった。
 (独)農畜産業振興機構が5月27日に公表した6月出荷予測頭数は1,276千頭(前年同月比94.6%)を見込んでいる。6月は①需要面において底堅い内食需要の継続、供給面での②通関遅れ等による輸入品の不安定な入荷状態の継続、③国内出荷頭数の減少傾向により、強含みの展開が予測される。輸入豚肉の通関遅れの広がりや、夏場に向けて国内出荷頭数の減少傾向がさらに強まれば、需要が逼迫することで一段高の可能性も考えられる。なお、出荷頭数や新型コロナウイルスの影響に伴う行政対応等による相場への影響には引続き注視が必要である。

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