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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年2月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     2月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、147,040エーカーが灌漑されています(前年同月:138,657エーカー、先月:146,669エーカー)。アルファルファの作付面積が増加しており、バミューダおよびクレインからの転作が進んだことが主要因と見られます。ほとんどの生産者では2月下旬から1番刈の収穫開始となるようですが、温暖な気候が続いていることから既に刈り取られたものも一部あるようです。今のところ新穀価格は前年同時期と同等となっているようです。歴史的にはアルファルファ価格はとうもろこし価格に追随する傾向があります。直近ではとうもろこし価格が高騰しており、アルファルファ価格が上昇するという見通しも一部あります。一方、米国内酪農家にとってはアルファルファ以外にも選択肢があるため、アルファルファが高騰した場合は需要が減少すると見られます。
  2. ワシントン州コロンビアベースン(コロンビア盆地)
     昨年12月-1月にかけての降雪は4-5日、氷点下となった日も数日程度と、米国西海岸北部では温暖な気候が続いています。通常、冬場の寒さが厳しい場合は放牧草が不足するため米国内酪農家はアルファルファを購買しますが、今年は温暖なため国内需要は軟調です。1月下旬のとうもろこし価格の高騰により、米国内酪農家はとうもろこしの給与を減らしアルファルファを増やすと見られますが、旧穀の圃場在庫が十分なことから今のところ産地相場への影響は見られません。以降、2-3月にかけて寒さが本格化すれば、米国内酪農家の購買動向によって相場が影響を受ける可能性があります。
     なお、アルファルファの作付面積は昨年同等と見られています。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地においては、チモシー圃場の状態は今のところ良好と見られます。以降2-3月にかけての気候が重要であり、乾燥・強風となれば苗が飛ばされる等の影響により生産者は再度作付けするか、作付けを断念するかといった判断を迫られることになります。作付面積は昨年と比較して概ね5%程度低下しているようです。

3. スーダングラス

 生産者は、作付けに向け土壌温度と大気温が安定する時期を待っています。種子価格は昨年同期と同等であり、圃場への作付密度は十分となると見られます。小麦の作付面積が増加しており、早播きスーダンの作付けに影響を及ぼす可能性があります。通常、遅播きスーダンの作付けは小麦収穫後に行われます。もし早播きスーダンの相場が軟調であれば一部の生産者は遅播きを行わず、野菜等への転作すると見られます。船積港や船舶の遅れから2020年産の繰越在庫が発生し、新穀需要は5月下旬から6月にかけて低下する可能性があります。
 直近では低級品の需要が堅調ですが、輸出業者はこの要因がロサンゼルス/ロングビーチ港の混雑や船積みの遅れによるものなのか、日本の輸入業者が十分な数量を確保できなかったからなのか、よく分かっていない様子です。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 ポートランド港から船積みされる貨物については、米国西海岸南部の港やシアトル/タコマ港と比べて全体的なコンテナ取扱数量が少ないことから、特に空コンテナの不足が顕著に見られます。また、全船会社で船のスペースが不足しており、これらの影響は3月までは継続すると見られます。
 通常、新穀の収穫は6月下旬、ウィラメットバレー南部のアニュアルライグラス、フェスクストローから開始されます。以降、7月上旬に中部のフェスクストローが収穫開始され、ペレニアルライグラスストローは7月下旬頃に開始となります。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
    収穫は完了しております。各州の品質状況は以下の通りです。
    1. 豪州:
       全体的な品質は、雨当たりがあったとしても軽微な状況で、ほぼ中~上位グレードとなる見込みです。最終生育で降雨量が少なかった事が要因となり、やや茶葉が多い印象となります。
    2. 南豪州:
       収穫からベーリング作業までに降雨が発生したため、上位品は少ないものの下位グレードまで広く分布し、バラツキがあります。品質は、光る茎や、茶葉の発生が見られます。
    3. ヴィクトリア州:
       収穫後に降雨被害を受けた影響からほぼ雨当たり品となり、上位グレードは限定的で、中位~下位グレードが全体を占めています。茶葉が多く見られます。
  • 小麦ヘイ/ストロー
    収穫は終了しています。一昨年・昨年に比べ色目は暗い印象がありますが、品質は例年並みとなっています。
     豪州国内の畜産相場が好調(家畜市場価格は、一昨年同時期から約2倍、昨年同時期から1.2倍)であり需要が旺盛である事、輸出向け集荷量に対して中国を含めた引き合いが強く、産地価格は値上げの状況になっております。
     今年度はオーツヘイが豊作だったこと、ストロー相場が高騰していることを受け、各サプライヤーはストローの集荷を限定的にしています。追加需要の場合は事前確認が必要となるため、注意が必要です。

6. 海上運賃

北米航路、豪州航路共に動静遅延状況はますます悪化しています。
(1)北米航路
 中国発北米向けの輸入量は、当初旧正月明けには減少する見通しでしたが、引続き貨物量は旺盛です。北米の中心的なターミナルであるロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑はますます悪化しており、コロナ感染者の増加による港湾労働者不足、トラックドライバー不足、ターミナルの混雑によるコンテナヤード搬入時間の縮小、沖にて荷役を待つコンテナ船(滞船)が40船を超える状況まで膨れ上がっているなどの状況から、太平洋岸南西部(PSW)の貨物は平均して1~2ヶ月程度の遅延となっています。特に日本に直接寄港する本船が利用するターミナルの混雑が酷く、ヤード搬入時間が限られることから、日本に直接寄港するダイレクト便のブッキングが取りにくくなっています。太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港については、LA/LB港程の混雑はないものの、空コンテナ不足の影響が大きく出てきています。また、航路の途中にあるバンクーバー港でも荷役待ちの滞船が発生しております。その他の要因はLA/LB港と同様となっており、PSWと同じく1~2ヶ月程度の遅延が発生しています。また、LA/LB港で積む予定だった貨物をシアトル/タコマに運ぶ動きも出ているため、今後のPNWの混雑が懸念されます。
 各船会社が、中国発北米航路の運賃が史上最高値を維持している事を背景に、北米発の実入り貨物を乗せるよりも、空コンテナの輸送を優先していることから、各港ともブッキングが全く取れない状況となりつつあります。また、例年の通り旧正月前後での定期船の休便(ブランクセイリング)が発生しており、輸送量が減少している事も状況の改善を遅らせる要因となっています。航行スケジュール調整のため抜港(寄港が予定されていた港をスキップする)も行われており、日本発の輸出貨物へのブッキングの混乱から、日本に寄港する本船が減っている傾向にあるという情報も出てきています。積替え港である釜山についても、依然混雑が続いており、接続船へのスムーズな積み替えが難しい状況となっています。
 これらの北米航路の混雑は、①コロナワクチン接種による集団免疫獲得、②旧正月以降での米国輸入量の減少、③現状のコンテナヤードでの処理能力が維持できることで、夏頃には解消する見通しが示唆されていますが、引き続き米国輸入量が堅調であるという見通しもでており、非常に厳しい状況が続いております。GRI(海上運賃一括値上げ)は12月積~2月初旬まで毎月のように実施されており、2月中ば・3月積についても、さらなるGRIがアナウンスされており、運賃値上げが懸念されます。
(2)豪州航路
 豪州においても、北米航路と同様の理由を元にした遅延構造が継続しております。積替港(シンガポール、マレーシア、釜山等)の混雑は依然として解消されていません。また、豪州・ニュージーランド発アジア諸国向けの貨物量の増加している事も混雑の一因となっております。これは、コロナ発生以前に空輸で行われていた果実などの食料品輸出を、空輸便の減少からコンテナ物流へ変更しており、それが空輸に戻らず恒常的になっている事も影響しています。
 昨年中より、オーストラリア海事組合(MUA)が、①大手海運会社のパトリック、②本船を海上で動かすタグボートを運営する大手の海運会社(Svitzer)を相手取って賃上げや労働環境改善を求めストライキを実施しておりましたが、妥結されず現在に至っております。さらに、③ヴィクトリア州でコンテナ荷役の50%シェアを占めるヴィクトリア国際コンテナターミナル(VICT)を相手取り、2月2日に24時間の荷役中止、2月16日に4時間、2月19日に12時間、2月22日に36時間の荷役中止のストライキを起こしております。今後も妥結がされないと、現状からさらに遅延する事が懸念されます。
 豪州の海上運賃は北米航路のようにGRIの発表はされませんが、船会社がシッパーに通知する形で行われます。一部の船会社は昨年末に値上げ実施、さらに2月に追加の値上げを表明しております。他の船会社も追随する動きも見られるため、運賃値上げが懸念されます。

令和3年2月19日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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