文字サイズ
標準
拡大

海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年5月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     2番刈の収穫はほぼ終了し、現在は3番刈の収穫が進められています。2番刈は色目、成分ともに良好でしたが、当地域では既に高気温になっており成分は低下しています。5月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、146,159エーカーが灌漑されています(前年同月:137,326エーカー、先月:146,454エーカー)。今年は厳しい旱魃やとうもろこし価格高騰などの影響もあり、米国内畜産農家がとうもろこしやその他副産物の配合割合を減らしアルファルファ利用を増やしている様子です。このため、相場は今後も堅調に推移すると見られます。
  2. ワシントン州コロンビア盆地
     2―3月は高湿度な気候が続きましたが、4月は降雨が2-3日しかないなど非常に乾燥した気候となりました。5月もこの状況は継続しており、少なくとも5月中旬までは乾燥気候が続きそうです。アルファルファの生育はこれまでやや遅れ気味でしたが、1番刈の収穫はコロンビア盆地南部を皮切りにこれから本格化する見通しです。以降は、2-3週間かけて収穫ピークの時期が北上していきます。
     1番刈の単収は2トン/エーカー前後となりそうです。現在までに1番刈を収穫した生産者はごくわずかで、輸出業者も一部購買に向けて動いている模様ですが相場が形成されている様子はありません。
     コロンビア盆地中部・南部と比べて北部の生育がより遅れているようですが、直近の温暖な気候をうけ追いつくものと見られます。とうもろこし価格の高騰、アルファルファ作付面積の減少、西海岸南部での旱魃の影響から、生産者は価格上昇を期待しています。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地では、チモシーヘイは順調に生育しています。ワシントン州全体としては生育の遅れは1週程度の遅れと見られます。5月上旬の乾燥・温暖な気候により一定生育が促進されますが、5月末までに例年並みに戻るのは難しいと思われます。とうもろこし価格の高騰と冬枯れ等の影響から、作付面積が若干減少している模様です。今のところ、1番刈の刈取開始は6月第1週になると見られます。
 エレンスバーグでは作物が成長期に入ったばかりであり、品質を語るには時期尚早ですが、今のところは良好のようです。
 天水地域では、雪が解け生産者は圃場での作業を行える状況になりました。作物の成長期は1か月後になると見られ、改めて状況をお伝えしたいと思います。

3. スーダングラス

 4月に施肥コストが上昇したため、生産者はスーダンの作付けに対する興味が減退している様子です。5月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、31,647エーカーが灌漑されています(前年同月:37,275エーカー、先月:27,578エーカー)。
 1番刈は5月末に刈取開始となる見込みです。日本からの新穀に対する需要は非常に旺盛な状況です。いくつかの輸出業者は日本向けに例年よりも早い段階で出荷するものと見られます。昨年と比べて小麦の作付面積が増加していますが、スーダンの作付面積が最終的にどう推移するかは今のところ不明です。現在、小麦の作付面積が低下し始めており、スーダンの作付面積は来月になればより明らかになると思われます。
 生産者はGRI等による海上運賃上昇と生産コスト上昇に起因する最終製品の価格上昇を非常に懸念しており、今年のスーダン相場を懐疑的に見ているようです。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 ここ30日間で降雨量が十分でなく、今後も乾燥した気候が続きそうであるため、状況は徐々に深刻になってきています。仮に5月全体を通じて乾燥気候が継続すれば、単収は例年よりも低下する可能性があります。
 作物は穂が形成されている段階です。受粉が完了した後2-3週間後に刈取を行い、種子を乾燥させ、コンバインにかけられます。作物の背丈は例年と比べて低い様子です。
 通常、収穫は8月中旬に終了します。その後、輸出業者等と供給に向けた協議が行われ、輸出向け供給可能数量は9月頃に明確になります。もし供給余力が十分でない場合は、在庫を獲得しようとする輸出業者間で競争となり、価格が上昇する可能性があります。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     各州では来年の新穀へ向け圃場の準備を開始するところですが、豪州から中国への輸出が一部のサプライヤーで停止しているため、産地在庫がキャリーされる可能性も出てきています。また、農家買上げ価格が前年に比べて低価格で推移した事も背景に、生産者がオーツを播種すべきか多品目への転作を行うか判断を迷っているようです。一部のエリアでは既に転作が進んでおり、新穀の作付面積への影響が懸念されます。NSW、QLD州の洪水被害を受けたエリアは、乾燥状態が続き改善されましたが、家畜向けの飼料需要は引き続き高まっている状況です。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     豪州国内の畜産相場が高値圏で推移する中、豪州国内向け需要が旺盛なため産地価格が上昇しています。また、2020年産はオーツヘイが豊作だったことを受け、各サプライヤーがストローの集荷を限定した事もありますが、事前に購買予約が入っていない農家は、ストローを焼き畑やすき込みで処分してしまうため、追加購買への供給力不足や、輸出価格が上昇しています。

6. 海上運賃

 北米航路、豪州航路について、引き続き遅延が続いています。
(1)北米航路
 中国発北米向けの輸入量は引続き旺盛です。太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑は継続しており、直近はターミナルの混雑によるコンテナヤード搬入時間の縮小や、船社の急なカットオフ(ヤードへの搬入締切)日時の変更に対応しきれていない状況です。沖にて荷役を待つコンテナ船の滞船状況は長期的にみると徐々に改善の兆しが出てきているものの、引き続き平均して1~2カ月程度の遅延となっています。日本に直接寄港するダイレクト便のサービスの減少などから、積替え港を経由したブッキングを確保せざるを得ない状況が発生しており、通常の輸送よりもさらに日数がかかる状況となっております。
 太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港については、LA/LB港程の混雑はないものの、空コンテナ不足によりスケジュール通り貨物が輸出できておりません。また、航路の途中にあるバンクーバー港は、冬季による荷役能力低下が改善を迎えており、以前に比べ滞船状況は改善しているものPSW同様に1~2カ月程度の遅延が発生しています。 各船会社は空コンテナの輸送を優先していることから、各港ともブッキングが取りづらい状況は継続しています。
 5月積のGRI(海上運賃一括値上げ)は既に実施されました。6月積のGRIについてはアナウンスを行う船会社が減ってきているものの、今後も運賃値上げが実施される見通しです。
(2)豪州航路
 豪州航路では、コンテナ不足については問題になってないものの、積替港(ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、高雄、青島、釜山等)の混雑を要因とした滞船影響による遅延が頻繁に発生しています。
 昨年発生したストライキについても未だ妥結されておらず、前月すでに2度のストライキが発生しており、今後の再開も懸念されます。
 豪州の海上運賃は北米航路のようにGRI発表はされませんが、船会社がシッパーに通知する形で運賃の値上げが行われます。今後の値上げについても示唆されているため、品代への転嫁が懸念されています。

以上

令和3年5月13日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

ページトップ