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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年6月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     現在は4番刈の収穫が進められています。4番刈の品質は、いわゆるサマーヘイと呼ばれる成分の低いものが中心となっており、価格は低級品の発生に伴って一定低下していますが、サウジアラビアや中国からの需要が例年と比較して高いため、強含みで維持される一因となっています。
     6月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、145,460エーカーが灌漑されています(前年同月:136,417エーカー、先月:146,159エーカー)。
  2. ワシントン州コロンビア盆地
     春は各地域で温暖・乾燥気候が続いたため、1番刈の作柄もここ数年と比較して良好でした。国内酪農家や輸出業者による1番刈の購買は、開始当初は少し熱を帯びた様子でしたが、予報も含めて気候が安定していたため、新穀相場は各購買者間の価格競争が激化すること無く比較的早期に落ち着いた模様です。また、今年は北カリフォルニアやユタ州での厳しい旱魃による影響から当地域の業者による参入も見られましたが、これらの業者も今のところは1番刈を十分に購買できているようです。
     とうもろこし価格高騰により生産者がアルファルファからとうもろこしへ転作する懸念があることから、アルファルファ全体の生産量が不足する懸念は依然としてあり、これによる産地相場への影響は2番刈以降になると見られます。2番刈は既に一部の生産者で開始しており、今後間もなく本格化する見通しです。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地では、チモシーヘイの刈取は既にピークを迎えており、品質は良好です。特に2020年産の上級品が不足していた輸出業者による購買は積極的な様子で、上級品の購買において指値注文のよる価格競争が見られます。速やかに牧草を搬出したい生産者のニーズと合致した輸出業者は既に新穀をプレス工場内に引き込んだ模様です。とうもろこし価格の高騰と冬枯れ等の影響から作付面積が7-10%程度減少しているように見受けられ、今後も相場は堅調に推移すると見られます。
 エレンスバーグでは間もなく刈取が本格化する様子で、品質は今のところ良好と見られます。
 天水地域では、ワシントン州東部、アイダホ州西部、オレゴン州東部での旱魃による影響により、生産者は例年に比べ2週間程度早く刈取を行うため、単収が30%程度低くなると見られます。今後の降雨により状況が改善する可能性はありますが動向を注視する必要があります。

3. スーダングラス

 6月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、38,629エーカーが灌漑されています(前年同月:42,546エーカー、先月:37,230エーカー)。
 新穀の収穫は、5月下旬に開始となり、6月第1週に入ってから本格化しました。これまで収穫されたものは上級品から中級品が中心となっています。作付面積の減少から、いくつかの輸出業者の中には新穀の購買に非常に積極的な様子で、輸出業者間での価格競争も見られており相場は堅調に推移しています。米国内の旱魃の影響から、今年は低級品を中心に国内向け需要が堅調となることが想定されます。今後スーダンの収穫が進むにつれて十分な供給量が得られ、相場が軟化することが望まれます。
 スーダンストローについて、収穫は通常、6月末に開始し9月まで実施されます。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 4-5月は乾燥・温暖な気候が続きました。特に天水地域では乾燥した気候が作物の背丈が短くなる一因となった模様です。このため、単収は例年と比べて低く、作物の成熟も例年よりも一定早まることが予想されます。6月に入り降雨が見られたものの、作物の成熟が早まっているため多くの圃場の作物が茎の成長よりも種子形成行っている様子です。乾燥ストレスによる影響は全ての品種に影響及ぼしますが、生育期間と気候の関係から特にペレニアルライグラスで影響が出る可能性があります。
 旱魃のため副産物を中心に繊維源の価値は高まっており、今後オレゴン産ストローの需給バランスや相場にも影響を与える可能性があります。
 コンテナ船のスケジュールが不安定であることが内陸での保管コストや内陸運賃上昇の一因となっています。また、米国への輸入貨物の増加からトラック運転手は不足傾向です。
 新型コロナ関連の失業保険や行政による支援もあり、就職希望者は比較的賃金の高い業種に就ける環境がある一方で、農場での季節労働者等低賃金で働く者は不足傾向にあるようです。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     各州で新穀の作付けが順調に進んでおります。ABARES(豪州農政局)2021年6月発表の主要穀物(冬作物)生産量予測によると、冬作物全体では昨年から下回るものの、過去5年平均対比では110%と高い水準となっております。
     豪州産牧草を取り巻く環境としては、①2月末に中国への輸出期限が切れて以降更新がされていないため、サプライヤー保有在庫が新穀以降まで持ち越されること、②農家買上げ価格が低調に推移したことにより、生産者によるオーツ(えん麦)への転作は、牧草向けではなく穀物向けとして行われているため、生産量予測の数値は牧草向け集荷量と連動していないことが挙げられます。サプライヤーからの情報では、地域によって差があるものの、10-60%の牧草オーツの作付面積の減少が見込まれるようです。
     旧穀在庫は、中間グレード以下で追加購買が可能な状況です。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     ABARESの生産量予測によると、小麦は過去5年平均比で118%と高い水準となっています。中国向けの大麦輸出が止まっているため、小麦への転作が進んだことも背景にあるとされます。2020年産はオーツヘイが豊作だったことを受け、各サプライヤーがストローの集荷を限定した事もありますが、新穀では牧草向けのオーツ作付面積が減り小麦の作付けが増えることから、比較的小麦ストローの集荷量を確保しやすいシーズンになる可能性があります。ただし、豪州の生産者は事前に購買予約が入っていない場合、焼き畑やすき込みで処分してしまうため、ロングタイプ、ショートタイプを問わず、事前予約が重要です。
     旧穀在庫はほぼ払拭されているため、追加購買は限定的です。

6. 海上運賃

 北米航路、豪州航路において引き続き遅延が発生しています。
(1)北米航路
 アジア発北米向けの輸入量は引続き旺盛です。太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑は継続しています。最もひどかった時期と比較すると状況は徐々に改善していますが、依然として取扱量は減らないままです。このため、コンテナ不足や沖待ち、労働者不足は依然解消していません。
 太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港についても、状況は徐々に改善していますが、貨車の混雑や沖待ち、コンテナ不足、労働者不足は依然解消していません。
 天井しらずの海上運賃をけん引するのは、旺盛なアジア発北米向けの輸入量です。東向けの航路に対する法外なGRI(海上運賃一斉値上げ)に対してもアジアの輸出側では受諾されており、引き続き船社は空コンテナをアジアに戻すことを史上命題としています。そのため北米発アジア向けのGRIには6月・7月とも実施がアナウンスされており、引き続き堅調に推移すると見られます。
(2)豪州航路
 豪州航路においては、コンテナ不足が問題にはなっておらず、豪州を出航するまでは問題無いものの、積替港(ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、高雄、青島、釜山等)の混雑を要因とした滞船の影響によって遅延が頻発しています。
 昨年発生したストライキについても未だ妥結されておらず、今年に入り2度ストライキが発生していることから、今後の再発が懸念されます。
 豪州の海上運賃は北米航路と異なり、4半期毎の運賃交渉が多いようです。サプライヤーによると、7-9月積での値上げが必至のため、製品価格への転嫁は避けられないとの事です。高止まりが続いている往航運賃に引っ張られるような形での運賃の値上げや、燃料費の値上げが示唆されているため、今後も注視が必要です。

以上

令和3年6月23日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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