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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年8月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     現在は5番刈の収穫が進められています。高気温の影響により生育状況はあまり良くありません。旱魃の影響により生産量は低い一方で国内・海外向け需要が旺盛なため、先月に引き続き相場は堅調です。サウジアラビアが中級品以上のアルファルファを国内肥育農家向けに購買している様子です。中東でのコンテナ滞留の影響もあり数年前と比べると積極的ではないものの、直近の相場に応じて購入を進めている模様です。
     国内酪農家は上級品、国内肥育農家は低級品を中心に積極的に購買を進めています。このため、例年に比べて上級品と中級以下品との価格差が縮まっており、この傾向は他の地域でも見られます。
  2. ワシントン州(コロンビア盆地)
     7月はほとんどの日が37℃を超える暑さとなり、降雨はほとんどありませんでした。非常に高い気温が続いているにもかかわらず、コロンビア盆地ではアルファルファの収穫は以降も例年通り予定されています。現在では、コロンビア盆地中部と北部で3番刈の収穫が始まったばかりですが、全体では半分程度終了しています。3番刈の品質としては、色目が良く、生産者が朝露のある状態で刈取を進めているため葉付きも良好です。また、暑さによるヒートストレスにより早咲きになったものの、これまでのところ成分値は良好です。
     7月には米国西海岸北部では旱魃の影響から森林火災が複数発生しましたが、これまで煙の影響は回避してきました。今後は天候の変化により煙がコロンビア盆地にまで流れ込む可能性があり、ブリーチなど品質への影響が懸念されます。
     国内酪農家・肥育農家からおよび輸出業者からの需要が旺盛なため、相場は堅調に推移しています。広範囲における旱魃の影響から米国中西部からの購買者の参入も見られ、価格競争の一因となっています。放牧草も含めた米国内産牧草の供給量が限られることから、この状況は当面続くと見られます。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地中部・南部にて2番刈の収穫が進められており、今のところ品質は良好ですが、特に早刈りのものについては茶葉の混入が例年よりも多く見られます。作付面積および収穫量の低さと需要の高まりから、相場は引き続き堅調に推移すると見られます。
 ここまでを振り返ると、コロンビア盆地(灌漑地域)におけるチモシー全体の生産量は昨年並みでしたが、その多くが上級品として収穫された一方で中級以下品の発生は限定的となりました。また、天水地域では旱魃による単収の落ち込みからチモシー生産量は前年比60-0%程度とみられる中、灌漑地域同様に中級以下品の発生が限定的でした。他方、需要面においては、旱魃は近隣州の放牧地の草不足含めた深刻な牧草不足を引き起こし、アルファルファだけでなく、チモシーやその他イネ科牧草類への国内需要も非常に強くなっています。このような中、輸出業者は必要数量を確保すべく高めの価格を牧草生産者へ提示するものの、それを上回る価格で国内需要者が購買を進めている結果、輸出業者が買い負ける状況も散見されてます。
 エレンスバーグにおいての2番刈は1-2週間以内に始まると見られます。

3. スーダングラス

 1番刈の収穫はほぼ終了しています。高気温の影響により、特に1番刈の終盤に収穫されたものは茶葉の混入が見られます。複数の輸出業者によると、2番刈の生産量は低くなり、低級品の需要は国内向けを中心に高まると見られます。このような中、2番刈は8月上旬に収穫開始となりました。今のところ、茶葉の混入は多くないものの、中級以下品が中心となってるようです。しかしながらインペリアルバレーで先週末降雨が確認されており、今後の品質にも注視が必要となっています。
 小麦ストローは国内馬糧用向け需要が堅調なため、国内肥育農家は代わりに低級品のスーダンを購入している模様です。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 ウィラメットバレーでの収穫は終盤を迎えています。今年は高温・乾燥気味な気候が続いたため、受粉、刈取を含め収穫作業は例年より早く開始し、短期間で行われます。単収の正確な数値については情報を待っているところですが、特に天水地域では例年と比べ単収が非常に低くなる見込みです。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     各州で新穀の作付けは完了しています。若干雨が降りすぎているエリアがあるものの、豪州のほとんどの地域で生産環境は良好となっています。南豪州、東豪州エリアではネズミの食害被害が発生しているようです。
     豪州産牧草を取巻く環境として、①2021年2月末に中国への輸出期限が切れ、依然として復活しておらず、サプライヤー保有在庫が新穀以降まで持ち越される事が確定しています。②豪州国内の畜産相場が好調なため、低級品やストローを中心に、国内需要が旺盛になっています。③北米牧草の相場が高値になると睨んだ韓国から、強い引き合いが入っています。この状況により、一部のグレードは在庫が払拭しており、価格の底支えがなされているようです。サプライヤーの旧穀在庫は、上位品と低級品は限定的ですがその他のグレードは追加購買可能な状況となっています。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     各州で新穀の作付けは完了しています。作付け面積が増えている事もあり、新穀はストローにとっては収量を確保しやすいシーズンになると予想されますが、穀物相場が好調なため、生産農家がストローのベーリングを嫌う可能性もあるようです。これを回避するためには、例年にも増して、事前に購買予約を行う事が重要なシーズンになりそうです。
     上述のオーツヘイの項で記載した環境により、豪州産ストローへの引合いが強まっており、産地価格が上昇していまる。また、旧穀在庫はほぼ払拭されている状況で、追加購買は困難な状況になっております。

6. 海上運賃

 北米航路、豪州航路について、引き続き遅延が続いています。
  1. 北米航路
     アジア発北米向けの貨物量は引続き旺盛です。直近では太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑が顕著になってきています。背景としてはコロナの変異株の蔓延により、港湾作業員不足となっていることと、北米内陸におけるコンテナ滞留があります。沖にて荷役を待つコンテナ船の滞船状況は依然として減少の兆しがない状況となっており、引き続き平均して1~2カ月程度の遅延となっています。本船遅延を取り戻すため、オークランド港の抜港や、日本に直接寄港するダイレクト便のサービスの減少も発生しており、釜山などの積替港を経由したブッキングを確保せざるを得ない状況が発生しており、通常の輸送よりもさらに日数がかかる状況となっております。
     太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港については、LA/LB港程の混雑はないものの、空コンテナ不足によりスケジュール通り貨物が輸出できておりません。また、航路の途中にあるバンクーバー港の滞船も悪化しており、PSW同様に1~2カ月程度の遅延が発生しています。各船会社は空コンテナの輸送を優先していることから、各港ともブッキングが取りづらい状況は継続しています。
     8月積のGRI(海上運賃一括値上げ)については一部船社からアナウンスがされており、今後も運賃値上げが実施される見通しです。
  2. 豪州航路
     豪州航路では、積替港(ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、高雄、青島、釜山等)の混雑を要因とした滞船影響による遅延が頻繁に発生しており、1~2ヶ月程度の遅延が発生しております。
     2020年当初より発生し、その後も継続しているストライキについても未だ妥結されておらず、今後の再開も懸念されます。
     海上運賃は7-9月期改定で上昇、次期10-12月期についても既に上昇の話がでているようです。サプライヤー各社への聞き取りでは、製品価格を極力抑えてはいるものの、これらの増高費用の反映をせざるを得ないというコメントが得られているため、注視が必要です。

以上

令和3年8月24日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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