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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年11月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     現在は7番刈もしくは8番刈の収穫が進められています。中国や中東を中心とした輸出業者に加えて、国内業者も積極的に購買を進めている様子です。特に米国内での干ばつは、カリフォルニア州、テキサス州、アリゾナ州、ニューメキシコ州などからの需要の高まりの一因となっています。
     2022年産の新穀アルファルファの収穫は、通常どおり翌年2月頃に開始となる見込みです。いくつかの生産者では刈取りを行う者も見られますが、刈取りをせずに生育を促す選択肢もあります。その場合、1番刈の収穫開始は30日程度遅くなるようです。
  2. ワシントン州(コロンビア盆地)
     今年産の収穫は終了しました。米国西海岸北部の生産者は例年の年間平均収量を下回ったと報告しており、その原因については、多くの者が6-8月にかけての降雨不足と高気温による影響によるものと考えています。特に、米国西海岸南部では依然として干ばつの影響は深刻であり、買い手が牧草を求めて米国西海岸北部~カナダにまで出向くなど、引き続き産地相場に上げ圧力がかかっている状況です。今後、冬場にかけて数頭規模の小規模バイヤーや大手牧場、酪農・肥育農場、輸出業者など多くの需要者の間で牧草不足が懸念されています。仮にコンテナ物流が現状より良ければ牧草の供給不足が更に深刻となった可能性はあるものの、現在の物流の不安定さから、多くの輸出業者が購買を延期するなど例年と同数量に至るレベルまでには購買を進めていない様子です。また、乳価も過去数か月に渡って徐々に下落しており、国内酪農家が積極的に購買しづらい状況です。このような中であっても、総じて供給面では余裕がない状態が続いています。
     来年に向けては、種子販売が増加するにつれアルファルファの作付面積も増加するようにも思えますが、作物が休眠状態から抜け出す11月~翌年3月は、例年、以降の状況変化の原因となる事柄が複数起こる傾向にあり、現時点で予測するのは時期尚早です。なお、産地相場は6月中旬以降堅調に推移しています。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地では収穫が終了しました。生産者は例年の年間平均収量を下回ったと報告しており、その原因はアルファルファ同様降雨不足と高気温と考えられます。特に後期に刈取られたものの中には雑草や他の草種の混入が見られており、これも高気温の影響によるものと見られます。
 肥料価格が、過去数ケ月間で倍になるなど高騰しています。前年の肥料の残り具合等から、生産者によっては生産コストの大幅上昇となるため、投入コストの増加を収益がカバーできなくなることを懸念する者もいるようです。

3. スーダングラス

 日本からの需要は非常に旺盛です。コンテナ船の遅れ等により本邦での在庫不足がみられることもあり、需要は高まってます。小麦の作付面積は昨年と比べて倍になると見られており、生産者が野菜等に転作しない限りは小麦収穫後のスーダンの作付面積も一定増える見込みです。肥料価格が高騰していますが、このことがスーダンの作付面積にどのように影響するのかは今のところ不明です。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 ポートランド出港の船積予約は依然として難しく、船会社による出港のキャンセル等もあり、物流面での混乱は継続しています。このことは、輸出業者にとっては在庫がうまく捌けない懸念へとつながります。
 2013年~2021年の1-9月間における日本および韓国向けの輸出量を下図に示します。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     新穀の刈取およびベーリング作業が本格化しており、各地域においてサンプル採取・成分分析が行われています。今後、徐々に新穀が出荷される予定ですが、最速でも11月下旬~12月上旬になる見込みです。新穀サンプルの日本への到着は、12月中旬以降となる予定です。
    既報の通り、新穀生産期間中の累積降雨量(WAは例年の1.5倍、SA/VICは例年並み)が大きく影響し、中位グレードが多く発生する事から、一部のサプライヤーは上位グレードの出荷数量制限を行うと表明しています。下図は、東豪州のサプライヤーの圃場ですが、降雨の影響を受けず良品を多く収穫できたと報告が入っています。新穀では、各サプライヤーの在庫保管能力や地域毎の品質の違いによって出荷可能なグレードや供給余力に差が生じる見込みです。
     新穀価格については、韓国からの引き合いが強いことや、期間労働者(バックパッカーや学生)がコロナ影響で例年通り確保できない等の影響により生産コストが増加していることから、昨年に比べて上昇しています。加えて、海上運賃の大幅な値上げを輸出業者が全て吸収しきれず、製品価格に一定織り込まれる可能性があることから、新穀は大きな値上げでスタートする見込みです。今後も、海上運賃の影響により値上げ懸念があります。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     小麦の収穫はオーツの後に実施されますが、今年は11月上中旬から開始なり12月中下旬まで収穫・ベーリング作業が実施される見込みです。小麦自体の作付面積が増えている一方で、多くのサプライヤーがオーツヘイの購買量を増やしたため既に倉庫スペースが一杯になってしまっており、小麦ストローの購買に消極的な姿勢も見られます。
     生産者は、穀物相場が好調であるためストローをすき込んでしまうことも想定され、集荷が十分に行われない懸念があります。一部のサプライヤーは、日本を始め各国から事前に小麦ストローのオーダーを受けていますが、上述の動きにより、現在収穫中のオーツを穀物として収穫した後に発生するオーツストローの代替提案を行ってきています。日本側としても、小麦ストローの集荷が不十分となるリスクを踏まえ、「豪州産ストロー」として別品種(オーツ、大麦)のストローを購買する事も検討せざるを得ない可能性があります。これらの事態を回避するためにも、例年にも増して、事前に購買予約を行うと共に、複数のサプライヤーで購買量を確保することが重要なシーズンとなります。
     北米産ストローの価格上昇などの影響、豪州国内での畜産相場が好調である事や、各国が輸入を強めている関係で、産地原料価格は上昇しています。加えて、海上運賃による値上げも同時に発生しています。
    サプライヤー毎に濃淡はありますが、プレススケジュールは既に1月中下旬まで埋まってきているため、現時点での日本各港への到着ベースでの納期見込みは2月下旬~3月上旬になっております。1/31-2/6は中国の春節期間となります。この前後の期間では、中国を含めた各仕向け先へのブランクセイリング(本船間引き:電車で言えば15分間隔1本が30分1本になるイメージ)が実施され貨物運搬量や処理能力が低下することから、更なる貨物の遅延や滞留が懸念されます。このため、上述の日本到着日の目安よりも更に遅い到着日になる可能性が出て来ますので、可能な限り早く年間オーダーを入れて頂く事が肝要です。

6. 海上運賃

 北米航路、豪州航路について、引き続き遅延が続いています。
  1. 北米航路
     北米各港での混雑は悪化する一方で、改善の見通しは立っていません。また、本船の動静遅延が顕著になってきていることから、抜港がいたるところで実施されています。直近では日本ダイレクト便の減便だけでなく、アジア方面のブッキングも非常に取りにくく、本数が減るケースも出てきています。また、積み替え港である釜山の混雑もひどく、釜山寄港を取りやめる船も出てきています。今後、春節や労使交渉を迎える中で、北米向けの貨物量が依然として旺盛なことから、日本向けのブッキングは今後さらに厳しくなる見通しです。今後の見通しについてもこの状況が2022年一杯まで続き、2023年の解消になるのでは、という声も挙がってきています。
     11月積のGRI(海上運賃一括値上げ)については一部船社で実施され、12月積についても一部船社からアナウンスがされており、今後予断を許さない状況が続きそうです。
  2. 豪州航路
     各船会社は、豪州航路においても北米航路同様に、中国/アジア向けに空コンテナを返却する事を至上命題にしています。この影響で①粗飼料貨物の予約中止を表明(COSCO、Maersk)、②一部の日本港への予約中止(OOCL、MSC、Hamburg Sud)、③空コンテナ不足などで、予約を限定的にしている(ONE、Ever Green)などの動きを見せています。
     また、今まで日本への直行便のサービスを提供していた船会社も、サービスの中止を表明しているため、日本の各港への到着まで、以前よりさらに日数を要するようになっています。
     豪州国内の港湾の状況ですが、Qubeを相手取った労使交渉が妥結したため、WAで接岸拒否されていたONEの本船が無事に入港できるようになったため、一次停滞していた遅延が徐々に解消に向かう見込みです。残念ながらパトリック(CY運営会社)、Svitzer(タグボートの会社)を相手取ったストライキは妥結していないたえ、今後のストライキの再発懸念があります。海上運賃は引き続いて値上げとなっています。この他に、船会社からのLSS(低硫黄燃料サーチャージ)の追徴も再開されており、さらなる値上げを産む状況となっています。

以上

令和3年11月24日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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