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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年12月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     相場は依然として堅調に推移しています。特にサウジアラビアは、購買が十分にできたことと、直近の牧草が高価であることから、購買が消極的になっている様子です。一方で、国内酪農家からの需要は高い状況が続いています。
  2. ワシントン州(コロンビア盆地)
     今年産の収穫は終了しました。牧草相場は依然として堅調に推移しています。多くの購買者がアルファルファヘイを購買しようとしており、生産者は現行相場以上の価格で販売しようとするか、さらなる価格上昇を見据えて、翌年まで牧草を保持する動きが見られます。現在取引されているものはあらゆる刈取番手があり品質も様々となっている模様です。また、輸出業者や、国内酪農家・肥育農家などが参加していると見られますが、特に、米国内の小規模農家が冬場の粗飼料源として積極的に購買している様子です。一方、物流における混乱のため、特に輸出業者は必要量以上の購買は避ける傾向にあります。
     10月から11月にかけて、米国西海岸北部は何度か風雨に見舞われ、結果として干ばつの影響を一定緩和することにつながったものの、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、アリゾナ州、ワイオミング州、モンタナ州の農地や放牧地は依然として干ばつとなっています。一方で、今後の天気予報では降雨や降雪が予測されており、改善が期待されます。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地では収穫が終了しました。生産者は例年の年間平均収量を下回ったと報告しており、その原因はアルファルファ同様に降雨不足と高気温と考えられます。
 多くの生産者では2020年からの種子の繰越在庫があるため、チモシー種子の販売数量等から作付面積を予想するのは困難ですが、いくつかの生産者との聞き取りによると、前年と同程度か僅かに少なくなる可能性があります。特にチモシーの上級品と中級以下の価格差が大きい場合は、格落ちのリスクを嫌ってチモシーの作付け意欲が低くなる傾向があります。

3. スーダングラス

 収穫は既に終了しています。ロサンゼルス・ロングビーチ港における混雑やコンテナ船の遅れがスーダンの荷動きにも影響を及ぼしています。本邦での在庫不足もあり、早期の船積み貨物到着が期待されます。
 小麦の作付面積は昨年と比べて倍になると見られており、生産者が野菜等に転作しない限りは小麦収穫後のスーダンの作付面積も一定増える見込みです。肥料価格が高騰していますが、このことがスーダンの作付面積にどのように影響するのかは今のところ不明です。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 収穫は既に終了しています。
 バンクーバー(ブリティッシュコロンビア州、カナダ)での洪水により、ポートランド港も含めた米国西海岸北部から出港する船のスペースやスケジュールに影響を及ぼしています。日本や韓国からの需要は高い一方で物流面での混乱は継続しており、輸出業者は2021年産ストローの在庫全体としての荷動きの遅れを懸念しています。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     全エリアで、ほぼ新穀・ベーリングが完了しました。現在はサンプル収集、分析を実施し新穀の出荷を順次開始している状況です。収穫の遅れの影響もあり、新穀の日本到着は、最速で12月中下旬になる見込みです。
     既報の通り、新穀生産期間中の累積降雨量(WAは例年の1.5倍、SA/VICは例年並み)が大きく影響し、中位グレードが多く発生する事から、一部のサプライヤーは上位グレードの出荷数量制限を行うと表明しています。各サプライヤーの在庫保管能力やエリアの品質状況により出荷可能なグレードや余力に差が発生する見込みです。
     新穀価格については、海上運賃上昇が大きく影響しています。この増嵩費用を価格へ反映するため、前年同月比で$80-100の上昇が見込まれます。さらに今後も海上運賃の影響により値上げの懸念があります。
     このような環境下でも、日本を含め、中国、韓国、台湾からのオーダーは進んでおり、サプライヤーのプレススケジュールは既に3月上旬まで埋まっています。また、ブッキングの確保が依然として厳しいことから、追加オーダーを受けられない状況も見られます。このため、可能な限り早い年間オーダーを入れて頂く事が肝要です。現時点で最速オーダーを行っても、日本の各港への到着ベースは、4月下旬~5月上旬の到着予定が目安となります。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     小麦の収穫はオーツの後に実施されます。今年度は11月中下旬から開始され、12月下旬~1月上旬まで作業が実施される見込みです(例年より遅れています)。小麦の作付面積が歴代最高となっており集荷余力がある一方で、サプライヤーの多くがオーツヘイの購買量を増やしたため、既に倉庫スペースが一杯になり、小麦ストローの購買に消極的な姿勢が見られます。
     豪州の穀物生産農家は、穀物相場が好調な場合、ストローを圃場にすき込む事を基本にしているため、集荷に影響を与えています。一部のサプライヤーは、日本から事前にオーダーを受けていても、「出荷できない」という回答を返している例も聞かれます。
     新穀価格は、豪州国内の素牛相場が過去最高を継続しているため国内需要が強い事、また、各国(韓国、台湾)が強気の購買に入っている事も影響しており、オーツヘイ低級品よりも高額になっている状況です。さらに、上述のオーツヘイ同様に海上運賃による値上げも発生しています。
     ABARES(オーストラリア農政局)の12月冬作物生産量発表によると、2021/2022Cropは、豪州全体で1989年以来歴代最高の生産量となっています。内訳として小麦・大麦・菜種は歴代最高であり、オーツ(燕麦)についても過去10年の中で高水準です。これは、降雨量が生産地域で満足の行く水準を保ったことや、穀物価格が好調である事も背景として作付けが増えたことが要因となっています。オーツ(燕麦)についても穀物相場が好調である事から、今年度は、特に西豪州エリアで「穀物」として集荷する例が増えているようです。

6. 海上運賃

 北米航路、豪州航路について、引き続き遅延が続いています。
  1. 北米航路
     アジア発北米向けの貨物量は、米国のクリスマス商戦の影響もあり毎月の最大量を更新し続けております。直近では太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑が顕著になってきています。背景としてはコロナの変異株の蔓延により、港湾作業員不足となっていることと、北米内陸におけるコンテナ滞留があります。沖にて荷役を待つコンテナ船の滞船状況は依然として増加一途を辿っており、引き続き平均して1~2カ月程度の遅延となっています。本船遅延を取り戻すため、オークランド港の抜港や、日本に直接寄港するダイレクト便のサービスの減少も発生しており、釜山などの積替港を経由したブッキングを確保せざるを得ない状況が発生しており、通常の輸送よりもさらに日数がかかる状況となっております。
     太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港では、バンクーバーで発生した洪水に起因する内陸輸送網(鉄道/道路)が寸断され、この復旧を進めていますが、ロサンゼルス/ロングビーチ港を超える混雑と滞船の状況となっております。引き続き、米国内の輸送が進まず実入りコンテナがバン出しされないため、空コンテナ不足する状況が続いており、スケジュール通り貨物が輸出できておりません。
     ポートランド港については、元々の空コンテナ不足に加え、ターミナルの混雑が酷く、鉄道輸送が混乱している状況が継続しています。さらに、バンクーバーでの遅延が追い打ちをかける形で、米国内で最もブッキングが取りづらい港になってしまっています。各船会社は空コンテナの輸送を優先していることから、各港ともブッキングが取りづらい状況が継続しています。これらの状況からPNW航路のおいても1~2カ月程度の遅延が継続しております。
     12-1月積のGRI(海上運賃一括値上げ)について、これまで一部船社で少額実施されているような状況でしたが、PNW/PSW問わず、釜山経由→日本到着便で$550/コンテナの値上げやシアトル/タコマ出航→日本到着便で$1,000/コンテナという高額の運賃値上げを表明する船会社が出てきており、年明け以降の運賃上昇が一気に激しさを増す見込みです。
  2. 豪州航路
     各船会社は、豪州航路においても北米航路同様に、中国/アジア向けに空コンテナを返却する事を至上命題にしています。今まで日本への直行便のサービスを提供していた船会社も、サービスの中止を表明しているため、日本の各港への到着まで、以前よりさらに日数を要するようになっています。
     豪州国内の港湾の状況ですが、未決の労使交渉はパトリック(CY運営会社)、Svitzer(タグボートの会社)となっており、今後、再発の懸念があります。
     海上運賃は北米航路同様に値上げが続いています。加えて、船会社からのLSS(低硫黄燃料サーチャージ)の追徴も再開されており、さらなる値上げを産む状況となっています。

以上

令和3年12月20日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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