海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和4年9月号
1. アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 現在7-8番刈の収穫が進められています。高温多湿の影響のため低級品が中心です。水資源の利用制限の影響等のため生産者は灌漑を中止していますが、気温が下がる10月頃には一定再開されると見られます。9月上旬に降雨があったため、直前に刈取った牧草は品質低下の影響を受けたと見られます。
8月中旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、123,366エーカーが灌漑されています(前年同月:130,407エーカー、先月:130,758エーカー)。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- 3番刈は2番刈と同様に主要輸出業者からの引き合いが強い状況を維持したまま取引が開始しました。3番刈の収穫が半分程度進んだ頃には、低級品(成分値が低く乾燥した質感の牧草)を中心に価格は軟化した一方で、中・上級品の価格は堅調でした。直近では中・上級品についてもやや軟調になってきていますが、米国酪農家や肥育農家は夏場を通して低級品のアルファルファを購買しており、また、1番刈の多くが雨当たりで十分に購買できなかったことを背景として高成分な4番刈を積極的に購買すると見られます。このことが、今後のアルファルファの相場が堅調に推移する主な要因となると見られます。
生産者は来年以降収穫用のアルファルファの作付けを開始しました。作付面積を予想するには時期尚早ではあるものの、今のところ今年と同程度になると見られます。
2. 米国産チモシーヘイ
コロンビア盆地では、9月上旬に2番刈が開始しました。品質はここ数年間に収穫されたものと比べて良好で、生産者は茶葉の混入が多くならないタイミングで収穫しようとしています。また、今年は干ばつの影響を懸念し2番刈を継続する生産者がここ数年と比較して多い状況です。このため、一部の輸出業者では2番刈を米国国内馬糧用向けに3タイベールとして収穫している様子です。
エレンズバーグでは、9月中旬頃に2番刈が収穫開始となりました。高温かつ風が強い気候が続いたため、コロンビア盆地と同様に品質良好な牧草が収穫されている模様です。
3. スーダングラス
現在は1番刈の収穫がほぼ終了してます。インペリアルバレーの天候は高温多湿なため茶葉が入ったスタックも見られており、総じて輸出向けの品質に見合うスーダンを見つけるのは難しい状況です。遅蒔きの1番刈および2番刈は9月上旬の降雨により一定影響を受けた模様です。なお、多くの生産者が水を節約するため2番刈を実施しなかったようです。
今年はいわゆる色抜け品や細軸あるいは太軸の供給量は限定的となっています。また、今後は国内需要者が低級品を購買するとみられ、相場は堅調に推移しています。
8月中旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、35,140エーカーが灌漑されています(前年同月:26,301エーカー、先月:46,888エーカー)。
4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)
2022年産の収穫は終了しました。7 月前半にはにわか雨が数回あったものの、ストロー生産には大きな影響はありませんでした。総じて、天候にも恵まれ収量は良好であり、今年のストロー生産は成功したと言えそうです。ペレニアルライグラス、フェスク、アニュアルライグラスを含めて、品質は例年並みかやや明るめのものが収穫されています。アルファルファやチモシーの価格が高いことから、韓国はヘイ数量を一定程度ストローに置き換えようとしており、需要は旺盛です。通常、韓国は緑色のフェスクを好んで購買します。また、ペレニアルライグラスよりも安価なことからアニュアルライグラスが好みますが、今年はペレニアルライグラスへの需要もあると聞きます。このため、今年の相場は堅調になると見られます。なお、輸出向けストローの総生産量は約72.5万トンで、このうち韓国が2/3を購買し、日本が1/3を購買している状況です。
来年の作付面積は減少する可能性があります。今後の不況に対する懸念と住宅着工件数が減少傾向なため、種子会社は種子用圃場を他へ切り替えるよう生産者に手紙を送っているようです。ウィラメット バレー収穫される種子は、北米で販売される他、海外へも販売されます。
5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー
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- オーツヘイ
- 2022年産は順調に生育しており、9月中にWA(西オーストラリア州)からVIC(ビクトリア州)へ西から東に順に収穫が開始されます。
作付面積は既報の通り、穀物輸出価格の上昇による小麦・大麦の作付け面積の増加、バイオ燃料などエネルギー需要へ向けたカノーラへの変更などがあり、オーツ(えん麦)の作付面積は前年比で収穫量は減少する前提となる。各州の状況は、WAは播種後に雨量不足があった影響で、計画収穫量に比べ微減。SA(南オーストラリア州)は例年通りの降雨や土壌水分を維持されたため、計画収穫量に対してほぼ同じ、VIC(ビクトリア州)は適期降雨と豊富な土壌水分による計画収穫量に対して増加する見込みと予想されています。
北米の粗飼料価格が高騰している事を受け、豪州への需要は高まる一方となっています。11月積から新穀価格の建付けとなるが、価格は大幅に上昇する懸念があります。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 2022年産は順調に生育しています。上述の通り、小麦や大麦は穀物集荷で十分な収益が得られるため、生産者はストローの集荷に消極的です。また、肥料価格が高騰しているため、ストローを「すき込み」してしまう事で集荷量の減少が懸念されています。ヘイの需要と同様に、諸外国の強気の購買により強含みで推移しており、新穀価格も高値で推移する可能性があります。
6. 海上運賃
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- 北米航路
- 太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑は継続しています。船社の搬入時間の締め切りが厳しくなることから、翌週に遅延するケースが発生しています。
太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港では、抜港などの影響を受け、スペースがタイトになりつつあります。
直近のGRI(海上運賃一括値上げ)についてアナウンスはありませんが、東航路の年間運賃交渉が大幅値上げで決着したことも受け、西航路についても堅調に推移する見通しです。
2022年7月1日まで延長した国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)の労働協約の交渉については、5月10日から交渉がスタートしており、現在も決着はしておりません。争点は2点、福利厚生面とターミナルのオートメーション化についてです。7月26日、福利厚生面についての交渉が妥結し、引き続き自動化についての協議が行われています。荷役のスローダウンなどの戦術はとられておらず、荷役は継続しています。
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- 豪州航路
- 豪州航路においても北米航路同様の状況が続いています。中国(上海)のロックダウンが明けたものの、新型コロナウィルス感染者が中々減少しない状況が継続し荷役効率が鈍化しているようです。船会社は、日本直行便(メルボルンー東京/神戸)のサービスを減少させるなど航路の調整や、ブッキングの制限を行っているため、特にWAやSAでは船腹の確保や空コンテナ確保が難しい状況となっています。VICのメルボルン港は安定的に出荷できていますが、それぞれブッキング確保が難しい状況となっています。
以上
令和4年9月27日
全国農業協同組合連合会(JA全農)