海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和4年10月号
1. アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 9月には降雨や気温の上昇・低下が見られました。9月から10月前半に収穫されたアルファルファは、成分値が低く細軸・乾燥・ブリーチがみられるような品質の低いものが中心でした。これまで7-8番刈の収穫が進められていましたが、水節約のために多くの生産者が収穫を中止しより品質の高い牧草を得るため気候条件が改善するタイミングを待っています。
輸出業者も今後の品質の良いアルファルファを待っています。サウジアラビアはここ1か月間、積極的に購買していなかった様子ですが、以降品質が良くなり中級品が再度出始めた段階で市場に戻ってくる可能性があります。
9月中旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、117,146エーカーが灌漑されています(前年同月:120,512エーカー、先月:123,366エーカー)。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- 生産者はアルファルファの刈り取り終盤を迎えています。10 月第1週までの予報では、気温は 25℃以上であり雨が降る可能性はほとんどないため、 収穫を締めくくるには絶好の機会です。相場は一時的と思われる軟化が見られており、多くの輸出業者は主要生産者からのみ購入しています。一方、米国国内酪農場および肥育農家は、冬以降の粗飼料源をカバーする目的でアルファルファの在庫を確保しています。現時点では需要よりも供給の方が上回るように見えますが、収穫が終わればそれ以上は生産が行われないため、状況は急速に変化する可能性があります。
干ばつは 9月後半にわずかに状況が悪化しましたが、降雨が始まる秋から来年の春までに改善されると予想されます。今後数か月間は干ばつの状況を注視する必要があります。秋の作付けが本格化しており、現時点ではアルファルファの作付面積は昨年と同等かわずかに増加すると思われます。
2. 米国産チモシーヘイ
チモシーの収穫はほぼ終了しています。コロンビア盆地では、生産者が来年に向けチモシーを作付けしており、11月中旬ころまで継続すると見られます。今のところ、来年のチモシーの作付面積は今年と同等になると見られます。
天水地域においても同様に生産者がチモシーの作付けを進めています。天水地域では通常1年目の圃場は輸出向けに収穫を行わないため、現在作付けされているものは2024年産として収穫、輸出されます。
3. スーダングラス
2番刈も含めて収穫が終了間近となっており、現在まで95%程度完了しています。インペリアルバレーでは9月での降雨のため品質への影響があった模様です。直近で生産されたものは低級品が中心で、生産者はビッグベールで収穫を進めています。国内業者は低価格な牧草として、輸出には向かない雨あたりのスーダンを購入しています。一方、雨あたり品ではない低級品のスーダンは輸出にも向けられますが、ほとんどは茶葉の混入が多いものになります。
9月中旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、22,022エーカーが灌漑されています(前年同月:16,835エーカー、先月:34,109エーカー)。
4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)
2022年産の収穫は終了しました。ペレニアルライグラス、フェスク、アニュアルライグラスを含めて、品質は例年並みかやや明るめのものが収穫されました。アルファルファやチモシーの価格が高いことから、韓国はヘイ数量を一定程度ストローに置き換えようとしており、需要は旺盛です。通常、韓国は緑色のフェスクを好んで購買します。また、ペレニアルライグラスよりも安価なことからアニュアルライグラスが好みますが、今年はペレニアルライグラスへの需要もあるとみられ、堅調な相場が継続すると見られます。
5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー
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- オーツヘイ
- 2022年産の収穫が開始しました。WA(西オーストラリア州)からVIC(ビクトリア州)へ西から東に順に収穫が進みますが、今年は各エリアでの多雨が原因で圃場から水が抜けきらずに収穫を見合わせている圃場が多く見られます。例年に比べ2-3週間の遅れを見込んでおりましたが、最大1ヵ月以上の遅れが発生する可能性が出てきています。
オーツ(えん麦)の作付面積は、世界的な穀物高を受け前年比で大きく減少しているものの、土壌水分が保持され降雨量が十分にあった事に加え、上述の通り刈り取り時期が遅れているため、単収は例年以上となる見込みとなっています。
北米の粗飼料価格が高騰していることを受け、豪州への需要は高まる一方です。なお、既に昨年産の在庫は完売しており、新穀を待つ状況です。
11月積から新穀価格となりますが、価格は大幅に上昇する見込みです。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 2022年産の牧草が順調に生育しています。上述の通り、オーツヘイの収穫が大幅に遅れている影響で収穫時期は大幅に遅れる見込みです。
小麦や大麦は穀物集荷で十分な収益が得られるため、生産者はストローの集荷に消極的です。また、肥料価格が高騰しているため、ストローを「すき込む」ことによる集荷量の減少が懸念されます。このため、ストローの集荷は産地への早期連絡が必要となります。
ストローの価格についても、ヘイと同様に11月積から新穀価格となりますが、価格は大幅に上昇する見込みです。
6. 海上運賃
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- 北米航路
- 太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑は継続しています。船社の搬入時間の締め切りが厳しくなることから、翌週に遅延するケースが発生しています。
太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港では、抜港などの影響を受け、スペースがタイトになりつつあります。
直近のGRI(海上運賃一括値上げ)についてアナウンスはありませんが、東航路の年間運賃交渉が大幅値上げで決着したことも受け、西航路についても堅調に推移する見通しです。直近のGRI(海上運賃一括値上げ)についてアナウンスはありませんが、東航路の年間運賃交渉が大幅値上げで決着したことも受け、西航路についても堅調に推移する見通しです。
2022年7月1日まで延長した国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)の労働協約の交渉については、5月10日から交渉がスタートしており、現在も決着はしておりません。争点は2点、福利厚生面とターミナルのオートメーション化についてです。7月26日、福利厚生面についての交渉が妥結し、引き続き自動化についての協議が行われています。9月末にオークランド港で一時的な荷役のスローダウンが発生したものの、ILWUとして一斉行動を伴う戦術はとられておらず、その後は問題無く荷役は継続しています。
全米の貨物鉄道会社の労使交渉についても9月15日暫定合意に達し、ストライキについては回避されました。今後も引き続き注視が必要な状況となっています。
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- 豪州航路
- 豪州航路においても北米航路同様の状況が続いています。中国(上海)のロックダウンが明けたものの、新型コロナウィルス感染者が中々減少しない状況が継続し荷役効率が鈍化しているようです。船会社は、日本直行便(メルボルンー東京/神戸)のサービスを減少させるなど航路の調整や、ブッキングの制限を行っているため、特にWAやSAでは船腹の確保や空コンテナ確保が難しい状況となっています。VICのメルボルン港は安定的に出荷できていますが、それぞれブッキング確保が難しい状況となっています。
以上
令和4年10月25日
全国農業協同組合連合会(JA全農)