海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和6年1月号
1. 米国産アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 2024年1月になり毎週のように雨が降り、寒く、天候が不安定です。2024年産として最初の刈取の準備が進んでいますが、これら降雨の影響で、収穫のタイミングが難しいようです。品質は国内フィードロット向けの低品質となる見込みです。
牧草集荷および取引は低調で、サウジアラビア向けの購買のみがみられます。他の輸出事業者および国内需要は、依然として静かな状況が続いています。
2. 米国産チモシーヘイ
チモシーの収穫は終了しています。低級品について、多少の動きが見られますが、市場は依然として静かな印象です。ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。
3. スーダングラス
単年草であるスーダンの作付けはまだ行われていなく、圃場は野菜、小麦や甜菜が作付けされています。昨年末にかけて、日本からの発注があったようですが、全体的には市場は静かな状況です。昨年は、日本からの需要減退を受け、取引価格が大幅に下がったことにより、生産者は作付け意欲を失っています。現在の価格相場の状況から2024年産の作付面積も、回復することが見込まれないため、生産量は下がることが予想されています。
4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)
1月現在、2024年収穫予定の圃場は、順調に生育しており、生産者は今年の春から夏にかけて、天候に恵まれることを願っています。
需要面では、韓国においてコンテナヤード在庫が多いため、1月から3月まではフェスクやアニュアルライグラスの荷動きは鈍化すると予想されています。これは、韓国国内における家畜感染病の影響で、昨年11-12月に蔓延防止のためにコンテナ搬入が制限されたことと、秋口に需要以上の輸入を行ったためと考えられています。
ここ数か月のポートランド港での空コンテナ供給量は非常に厳しい状況となっており、また、コンテナ定期船の乱れから荷遅れも発生しています。引き続き注意が必要です。
5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー
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- オーツヘイ
- 新穀の収穫は各地域で概ね完了しました。
6月から7月に降雨に恵まれましたが、8月は少雨傾向となりました。これを受け西豪州の一部地域では収穫量の減少が懸念されていますが、他の地域では生育状態が維持できており良好な収穫量が予想されています。収穫期の雨当たりが少なかったことを受け、今年は上位グレードの発生が中心になる見通しです。
下位グレードに関しては、旧穀の産地在庫は比較的余裕のある状況でしたが、9月29日に中国政府が豪州産オーツヘイの輸入を再開したことを受け、主に中位~下位グレードを中心にオーツヘイの需給は引き締まることが予想されます。
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- 小麦ストロー
- 旧穀に関して、産地在庫は払底に近い状況です。
新穀について、小麦ストローが圃場でベーリングを待っている状態で、年末年始にかけてヴィクトリア州から東豪州にかけてまとまった降雨がありました。これを受け、ロングタイプ(穀物を収穫し、ストローは圃場に立ったまま残して、後日、長いまま収穫してベーリングするタイプ:農家との事前契約生産品)、チョップタイプ(収穫機械で穀物とストローを同時に収穫し、ストローはカッティングして圃場に撒いたものを集荷するタイプ)はともに雨当たりによる品質劣化が懸念されています。雨当たりの程度については現在調査中ですが、良品の供給余力はひっ迫する可能性があります。
6. 海上運賃
北米航路、豪州航路について、一部動静の遅延が発生しています。
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- 北米航路
- 太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港についてはおおむね正常通り稼働しています。しかしながら日本直行便の本数も限られており、同一本船への集中は続いています。今後はブランクセーリングなどの動静に注視が必要です。
太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港発の貨物について、ポートランドにおけるコンテナ機器不足が発生しており、動静遅延・デリバリーに支障が出ています。ポートランドのコンテナ機器不足は慢性的な状況となっており、解消する見通しは立っていません。
ポートランド港について船腹の不足から運賃の値上げ発表が出ています。
今後春節に向けたブランクセーリングの状況などを鑑みると、徐々に船腹の余剰感はなくなっていくと思われます。
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- 豪州航路
- 豪州港湾での労使交渉の長期化により、遅延が発生しています。豪州海事労働組合(MUA)と港湾オペレーターの労使協定が2023年9月末に期限切れとなり、新たな協定の合意までに隔たりが大きく、争議行動によるストーダウン・ストライキが発生しています。10月上旬から断続的に争議行動が発生しており、1月下旬までの継続が発表されています。今後の交渉内容に注視が必要です。
以上
令和6年1月25日
全国農業協同組合連合会(JA全農)