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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和7年1月号

1. 米国産アルファルファヘイ

  • カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     昨年からの節水プログラムの開始で、栽培面積に変化が現れてきた当地ですが、現在、圃場は休眠息中のため、周辺に大きな動きはありません。
     米国内のアルファルファの需要は回復を見せていますが、資金調達、先物価格の不透明感を受けて、需要量を短期的に購買しています。米国内の酪農家の中には鳥インフルエンザに罹患しているところもあり、これらの酪農家への乾草の持ち込みは制限されているようです。中国向けについては、11月から年末まで旧正月に向けて出荷されており、主要港となる天津港や青島港で在庫が積み上がり、ダンピングが行われながら、3月までに在庫率が下がる見込みです。
     2024年12月14日のIIDの発表によれば、灌漑面積は148,882エーカー、昨年同期は147,903エーカー、先月は149,964エーカーでした。
  • ワシントン州コロンビア盆地
     収穫作業は終了しており、圃場は休眠中ですが、年末に大雨が続き、しばらく圃場へ入れなかったため、いくつかの貨物にて搬入に支障が出ております。また、例年の寒波が到来していないため、近隣酪農家の給与量も上がらず、米国内需要に大きな変化はありません。今後、寒波が到来し、気温が下がると近隣酪農家も、集荷の動きが活発化します。
     輸出事業者は、緊急な新規需要が無い限り、市場での購買を進めていないようです。また、現在の価格水準が生産者にとって魅力的では無いため、当地ではアルファルファの作付面積を減少させ、より収益性の高い他の作物へと転作を検討しており、現在は、チモシーへの移行が多いようです。

2. 米国産チモシーヘイ

(1)米国コロンビア盆地
 圃場では、全ての収穫が終わり、休眠中です。産地に余剰在庫は無く、1番刈り、2番刈りともにほぼ完売状態です。例年よりも数週間早めに刈り取りを行ったため、全体的に茶葉が少ない貨物が多い印象です。今年は馬糧用および米国国内需要が好調で、3タイでの収穫が多くみられました。
 生産者がアルファルファより収益性の高い作物を探しているため、アルファからチモシーの作付移行が進んでいます。また、チモシー種子価格が比較的安価な値段のため、生産者にとってチモシーへの転作を進める好材料となっています。
 なお、韓国は主にPNW(オレゴン産ストローとチモシー)の需要が多いですが、飼養頭数の減少に伴い、需要増加は限定的とみられます。

(2)カナダ(アルバータ州南部)
 今年度の収穫は終わりました。5、6月の春先に干ばつに見舞われ、例年の灌漑用水の50%が使用許可されるアナウンスがあり、その後、降雨があったものの、60%に緩和されたのみでした。1番刈りは主に上級品(65~70%)が収穫され、中低級品が30%程度収穫されました。国内からの需要は依然として堅調に推移しています。

(3)カナダ(アルバータ州中部)
 収穫の品質と収量は良好で、8月初旬に終了しました。主に上級品が収穫されました。収量は例年よりやや少なく、国内需要は堅調に推移しています。
 ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。

3.米国産スーダングラス

 スーダンの収穫は終了しています。通年よりも栽培面積が減少し、2番刈りを行わない圃場もあったため、供給力は大幅に減少しています。一方、日本からのスーダンへの需要は8月以降、低位安定しているようです。また、周辺の一部の圃場では砂糖大根が植えられており、4月以降に収穫され、スーダンへ作付けされる見込みです。
 12月14日のIIDの発表によれば、灌漑面積は875エーカー、昨年同期は1,233エーカー、先月は1,233エーカーでした。

4.米国産バミューダ

 種子を収穫した圃場、DIPを適用した圃場それぞれが、今年の収穫を終え、休眠に入りました。
 バミューダヘイの需要については、大きな変化はありません。ですが、バミューダストローについては、国内への荷動きが活発化しています。3タイの小売り需要は堅調で、テキサスを中心に米国内へ販売されています。
 12月14日のIIDの発表によれば、灌漑面積は77,531エーカー、昨年同期は68,236エーカー、先月は78,087エーカーでした。

5. 米国産クレイングラス

 日本および韓国向けの需要は安定しており、現時点での需要見通しでは、全体の供給量に問題はありません。冬季は、休眠時期ともなるため、事前にクリッピングと呼ばれる表面をきれいにするための刈り取りを行った圃場は来年に向けて休眠に入っています。通常、クレイングラスの1番刈りは、3月下旬か4月上旬に始まります。
 12月14日のIIDの発表によれば、灌漑面積は22,915エーカー、昨年同期は21,542エーカー、先月は22,834エーカーでした。

6. 米国産ライグラス、フェスクストロー

 2024年の収穫は7月8日頃に始まり、8月中旬に終了しました。天候は概ね良好で、数回のにわか雨がありましたが、品質に大きな影響はありませんでした。現在の圃場は休眠状態で、安定した降水量を受けて、順調に土壌水分が蓄積されているようです。
 主産地ウィラメットバレーでは、世界の6割近くの牧草種子が生産されているため、世界経済の鈍化による住宅や商業施設向け牧草種子の在庫は重く、繰り越し在庫が多いため、種苗会社から生産者へ生産面積は下方修正されています。結果的に、次年度以降、ストローの生産量は少なくなる可能性が高いです。今年の貨物は、今のところ日本と韓国へ順調に出荷されています。

7. 豪州産品目

  • オーツヘイ
     各州ともにベーリングが完了しました。
     西豪州は、生育期間に好天に恵まれ当初は上級品の発生が中心になる見込みでしたが、収穫後ベーリングを待つ段階で広範囲に降雨があり、中級品の発生がメインになっています。
     南豪州は降雨の少なさが以前より指摘されていましたが、生産量は平年の30%程度と大幅に減少する見込みです。出来栄えは典型的な干ばつ型(細軸、茶葉の発生、高分析値)となる予想です。
     ビクトリア州は例年よりも降雨が少なかったものの、おおむね順調に生育しました。上~中級品の発生がメインとなる見通しです。国内向け需要が強く、足元の原料ヘイ価格は堅調に推移しています。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     24年産新穀について、各州12月から収穫が始まりました。
     西豪州は、12月の降雨により刈り取りが進まなかった地域が散見され、ベーリングが遅延しました。刈り取り後の雨当たりは少なく、上級品の発生がメインとなる見通しです。
     南豪州は、オーツヘイ同様に干ばつの影響から発生量が激減しており、輸出向けに出てくる数量は限定的とみられています。
     ビクトリア州は生育期の降雨が例年よりも少なかったものの、輸出に適したストローが収穫できています。一方で内需が強く、サプライヤーは生産者からの集荷に苦戦しています。

8. 海上運賃情勢

  1. 北米航路
     年末年始例外荷役(12月31日、1月2―4日)が実施されなかったことによる深刻な影響はなく、2025年のスタートを切ったとみられます。
     2025年の春節(旧正月)は1/29であり、1/28~2/4の中国春節休暇の影響から一時的な輸入コンテナの荷揚げと搬出の集中とコンテナヤードの混雑が懸念されます。
     米国東岸港湾の労使交渉が、暫定合意されました。労働組合ILA(国際港湾労働者協会)と使用者団体USMX(米国海運連合)は1/8、期間6年の基本協約について暫定合意した旨の声明を発表しています。これによりストライキによる大幅な混乱は避けられる見通しとなりました。アジア―米国航路では昨年12月から、ストライキ発生を避けるための前倒し出荷が加速していましたが、今回の暫定合意が西海岸への貨物集中も緩和していくとみられます。
     また、1/20には米国でトランプ新政権が誕生しました。関税の引き上げなど通商政策の変化に引き続き注目が集まります。
     カナダ・バンクーバー港における労使交渉について、港の機能は再開されていますが、船舶と貨物の到着が集中しスケジュールに遅延が発生してきます。遅延の影響は、主にバンクーバー港とシアトル/タコマ港をルートにする本船貨物に影響があり、平常に戻るまでまだ時間が必要とみられます。
  2. 豪州航路
     北米航路で記載しました通り、アジアから米国への輸出量は堅調である影響を受け、豪州へ寄港する本船と輸出用空コンテナの不足が心配されます。また、豪州貨物の多くはシンガポール港等のハブ港を経由し、本邦へ輸入されます。これらハブ港におけるスケジュールの乱れによる一部の貨物で本邦への到着遅延が発生しています。

以上

令和7年1月29日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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