海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和7年10月号
1. 米国産アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 9月中旬にハリケーンが当地を襲い、停電等の被害がありました。圃場への影響は大きくないですが、地表が乾燥しないため、収穫農機を圃場へ入れることが出来ずに、全体的に収穫スケジュールを遅らせた印象です。DIPプログラムに申請していなかった圃場では、7番刈りが行われており、輸出可能な品質と回復してきていますが、品質を明確に判断するための分析検査の結果を待っているところが多いようです。サウジアラビアは、CPが18%以上であれば、購買を再開する見込みもあるようです。DIPプログラムに参加していた圃場でも、アルファルファの刈り取りが再開されていますが、品質は標準以下となっており、生産者は取引価格に満足がいかないため、多くの貨物が未契約のまま、圃場横に在庫されています。2025年9月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は137,747エーカー、昨年同期は137,284エーカー、先月は142,037エーカーでした。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- 主に4番刈りが進んでいます。日照時間は、日に日に短くなり、気温も下がってきており、収穫期の終盤を迎えようとしています。9月は山火事の影響で空気が燻ることや、散発的な降雨があり、やや不安定な天候でした。昨今のアルファルファ相場は、牧草生産者の標準的な生産費を賄えない価格帯となっており、依然として、作付面積は減少している模様です。市場取引価格が低迷していること、生産費用が高止まりしていることから、Premiumグレードと#1グレードとの価格幅が少ないため、生産者は良品を生産するよりも収量を目指した収穫が多い印象ですが、一部の生産者では、生育期間を短縮し5番刈りまで行っています。これは、良品を生産することにより、比較的荷動きの良い貨物で、キャッシュフローのよい営農を行う方法の1つです。輸出市場からの引き合いは低調ですが、米国内の酪農家およびフィードロットからの引き合いは回復傾向にあります。特に、子牛価格が高くなってきたため、肉牛生産者からの引き合いは堅調で、低級品価格の相場を支えています。
2. 米国産チモシーヘイ
(1)米国コロンビア盆地
1番刈りについては、ほとんどの貨物が降雨被害なしで収穫を終えています。全体的にプレミアム品が多いですが、旧穀よりも若干茶葉が目立つ印象です。一方、#1グレードの発生が少ないため、生産量の半分以上がプレミアム品として流通すると見込まれます。作付面積は、昨年よりも20%以上が増加したと見られていますが、旺盛な需要から市場取引価格は堅調に推移しています。10月上旬までに2番刈りのほとんどが、収穫を終えています。9月の散発的な降雨や、山火事の煙により日光が遮られ、湿度が高かったことから、綺麗な緑色の良品は少ない印象です。
(2)エレンズバーグ
晴天に恵まれて、雨当たりの無い貨物が多く収穫されましたが、例年よりも雑草の混入が多い傾向にあります。2番刈りの良品は少なく、茶葉の混入がある貨物が多い模様です。
(3)アイダホ(天水地域)
例年よりも1-2週間早めに刈り取りが開始されました。収穫された貨物は若刈りが多いことから、柔らかく、見た目もきれいな貨物が多いです。一方で、十分に背丈が伸びなかったことにより単収が下がっており、供給可能な量は40%程度減少と見込まれます。
(4)カナダ(アルバータ州南部)灌漑地域
1番刈りの収穫は6月下旬頃より始まりましたが、7月から8月上旬まで降雨が続き、半数以上が刈り取り適期を逃したか、雨あたり品となっています。そのため、良品の供給力は限定的とみられています。9月下旬より2番刈りの生産は続いていますが、気温が下がり、充分な乾燥を得られないため、輸出可能な貨物量は限定的になる見込みです。
(5)カナダ(アルバータ州中部)天水地域
2025年の収穫は完了しています。春先の干ばつ傾向を受け、生育が不十分なまま収穫期を迎えました。収穫期となる7月8月に降雨が連続し、充分な乾燥期間が確保できなかったため、水分の高いまま収穫された貨物は国内向けに、収穫適期を過ぎた貨物は低級品として収穫が行われました。今年は、中級品以下の貨物が多くなる見込みです。
ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。
3.米国産スーダングラス
1番刈りは完了し、2番刈りが進められています。2番刈りを主に行う9月は不安定な天候が続き、収穫スケジュールを遅らせており、まだまだ収穫前の圃場が散見されます。これまでの収穫状況をまとめると、60%程度が中軸から細軸品で、40%が太軸品。70%程度が緑色の貨物、30%がやや色抜けから色抜け品となっています。2025年9月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は15,526エーカー、昨年同期は6,552エーカー、先月は20,432エーカーでした。
4.米国産バミューダ
ヘイとしての刈り取り収穫が行われている圃場では、5番刈りが収穫されています。これは、今年最後の刈り取りとなる見込みです。台湾からの安定した需要と米国内の強い需要から、価格は堅調に推移すると見られています。9月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は86,004エーカー、昨年同期は77,964エーカー、先月は80,859エーカーでした。
5. 米国産クレイングラス
DIPプログラムに参加していない圃場では5番刈りが行われています。不安定な天候の影響で、低級品が多く収穫されており、水分が高いために輸出向けに向かない貨物も発生しています。9月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は23,901エーカー、昨年同期は22,541エーカー、先月は23,341エーカーでした。
6. 米国産ライグラス、フェスクストロー
主要産地のウィラメットバレーでは、8月中旬に収穫が完了しました。ほとんどが降雨被害なく、順調に収穫され、品質は良好です。収穫前の5月から6月の成長期間に十分な雨が無く、背丈が伸び悩んだことから、単収の減少が報告されており、フェスクとペレニアルライグラスは、20-30%の減少、アニュアルライグラスは15%程度が減少したと見られます。日本および韓国からの需要は堅調で、生産量が減少した事、および年明け以降、韓国の関税割当制度が無くなるため、在庫はタイトになる可能性が高いです。気温の低下に伴い11月には成長が止まり、休眠状態となります。
7. 豪州産品目
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- オーツヘイ
- 24年産について、上級品~下級品まで在庫は払底しています。25年産新穀は各地域収穫が進んでいます。西豪州では80-90%が収穫され、現在ベーリング中です。先週末から今週頭にかけて少量の降雨がありました。今週は天気が良さそうで、ベーリングは完了に向かうと見られています。発生グレードは、少量の降雨があったことから中級品中心と見られています。単収は平年を少し上回ると見られています。南豪州では本日時点で10-15%が収穫されたと見られています。先週までの天気が良好だったことから、農家は単収の最後の一伸びを狙って収穫を待ったため、予想よりも進捗は遅めです。今後2週間の天候が良好であるため、今週から収穫は一気に進むと見られています。単収は平年並みと見られています。ビクトリア州では本日時点で0-5%が収穫されたと見られています。9月の月間降雨が予想よりも少なかったことから、単収は平年を下回ると見られています。播種の遅れと8月~9月の気温の低さから、単収は平年を下回る予想です。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 24年産について、在庫はほぼ払底しています。
25年産新穀は、各地で生育が進んでいます。各州の生育状況はオーツヘイと同様です。
8. 海上運賃情勢
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- 北米航路
- 米国の関税政策をにらんだ前倒し出荷が一巡し、北米向けの輸送需要は落ち着いています。コンテナ船社は需給調整を続けており、需給が軟化しています。米国の輸入量は8月、9月と200万TEUを超えましたが、ほとんどの小売業者は十分な在庫を抱えているため、10月以降の米国の輸入量は抑えられると予測されます。米通商代表部(USTR)による中国関連船への米国港湾入港料の徴収は10月14日から始まる予定です。導入に備え、船会社は中国建造船を米国以外の航路に回して対応する見込みで、それによるスケジュールの乱れが心配されます。
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- 豪州航路
- 豪州貨物の多くはシンガポール港等のハブ港を経由し、本邦へ輸入されます。アジアから欧州向けの輸出の増加を背景に、中国と東南アジアの間で物流が活発化していることから、アジア域内での貨物量は増加しています。一部貨物では、ハブ港におけるスケジュール乱れにより本邦への到着遅延が発生しています。
以上
令和7年10月27日
全国農業協同組合連合会(JA全農)