海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和7年11月号
1. 米国産アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 今年の収穫は終盤を迎えています。収穫を終えた圃場は、暫くはそのままに維持され、年明け以降のクリッピング後に、灌漑を再開する見込みです。
当地に上級品の余剰感は無く、#1を中心とした低級品の貨物が残っている印象です。低級品については供給余力が見込まれていますが、牧草生産者は、現状の取引価格が低すぎるため、成約には消極的です。
2025年10月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は138,083エーカー、昨年同期は139,302エーカー、先月は137,747エーカーでした。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- 2025産アルファルファの収穫は終了しています。日照時間は、日に日に短くなり、圃場は休眠状態へ入って行きます。今年は1番刈りの大宗が雨あたり品となり、2番刈り3番刈りは順調に収穫された印象です。3番刈り後半から4番刈りまでは、山火事の影響や、散発的な降雨があり、品質にばらつきが見られました。今年の貨物の成分分析表を確認する限り、今年は例年よりも高成分貨物が少なく、単収を狙った貨物が多い印象となっています。収穫を終えた圃場では、取引価格に回復が見込まれないため、他作物への転作がすすんでおり、ここ2年間で当地での作付面積は40%以上減少していると見込まれています。
2. 米国産チモシーヘイ
(1)米国コロンビア盆地
1番刈りについては、ほとんどの貨物が降雨被害なしで収穫を終えています。全体的にプレミアム品が多く、低級品の発生が少なかったです。#1グレードの発生が少ないため、生産量の半分以上がプレミアム品として流通すると見込まれます。2番刈りは、1番刈りの20%程度の面積で収穫が行われ、上級品から低級品までの貨物が満遍なく収穫されました。作付面積は、昨年よりも20%以上が増加したと見られていますが、旺盛な需要から市場取引価格は堅調に推移しています。
2番刈りのほとんどが、収穫を終えています。9月の散発的な降雨や、山火事の煙により日光が遮られ、湿度が高かったことから、綺麗な緑色の良品は少ない印象です。
(2)エレンズバーグ
晴天に恵まれて、雨当たりの無い貨物が多く収穫されましたが、例年よりも雑草の混入が多い傾向にあります。2番刈りの良品は少なく、茶葉の混入がある貨物が多い模様です。
(3)アイダホ(天水地域)
例年よりも1-2週間早めに刈り取りが開始されました。収穫された貨物は若刈りが多いことから、柔らかく、見た目もきれいな貨物が多いです。一方で、十分に背丈が伸びなかったことにより単収が下がっており、供給可能な量は40%程度減少と見込まれます。
(4)カナダ(アルバータ州南部)灌漑地域
1番刈りの収穫は6月下旬頃より始まりましたが、7月から8月上旬まで降雨が続き、半数以上が刈り取り適期を逃したか、雨あたり品となっています。そのため、良品の供給力は限定的とみられています。2番刈りの生産は終盤で、気温が下がり、充分な乾燥を得られないため、輸出可能な貨物量は限定的になる見込みです。
(5)カナダ(アルバータ州中部)天水地域
2025年の収穫は完了しています。春先の干ばつ傾向を受け、生育が不十分なまま収穫期を迎えました。収穫期となる7月8月に降雨が連続し、充分な乾燥期間が確保できなかったため、水分の高いまま収穫された貨物は国内向けに、収穫適期を過ぎた貨物は低級品として収穫が行われました。今年は、中級品以下の貨物が多くなる見込みです。
ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。
3.米国産スーダングラス
今年度産の収穫は、ほぼ完了しました。稀に、遅蒔きスーダンがありますが、低級品として収穫される見込みです。これまでの収穫情報をまとめると、60%程度が中軸から細軸品で、40%が太軸品。70%程度が緑色の貨物、30%がやや色抜けから色抜け品となっています。
2025年10月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は10,613エーカー、昨年同期は3,947エーカー、先月は15,526エーカーでした。
4.米国産バミューダ
ヘイとしての収穫が行われている圃場では、5番刈りが終わるところです。ほとんどの貨物が中間グレードとなるため、輸出向けにビッグベールでの集荷が進んでいます。ストローは、国内向けと輸出用の需要が堅調で、現時点での未契約貨物は限られています。
10月11日のIIDの発表によれば、灌漑面積は88,752エーカー、昨年同期は78,842エーカー、先月は86,004エーカーでした。
5. 米国産クレイングラス
今年は、5番刈りまで行った生産者が多かったです。不安定な天候の影響で、品質にはばらつきがあり、低級品も多く収穫されました。10月11日の IIDの発表によれば、灌漑面積は24,595エーカー、昨年同期は22,624エーカー、先月は23,901エーカーでした。
6. 米国産ライグラス、フェスクストロー
主要産地のウィラメットバレーでは、8月中旬に収穫が完了しました。降雨被害なく、順調に収穫され、品質は良好でした。収穫前の5月から6月の成長期間に十分な雨が無く、背丈が伸び悩んだことから、単収の減少が顕著で、フェスクとペレニアルライグラスは昨年より20-30%の減少、アニュアルライグラスは15%程度が減少したと見られます。
種子会社での在庫は潤沢で、宅地向け芝生種子の売れ行きが低調なため、来年度も作付面積は減収することが予想されています。
日本および韓国からの需要は堅調で、生産量が減少した事、韓国での国産わらが不作であったこと、および年明け以降、韓国の関税割当制度が無くなるため、在庫はタイトになる可能性が高いです。気温の低下に伴い11月には成長が止まり、休眠状態となります。
7. 豪州産品目
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- オーツヘイ
- 24年産について、上級品~下級品まで在庫は払底しています。
25年産新穀は各地域収穫が進んでいます。
西豪州では80-90%が収穫され、現在ベーリング中です。先週末から今週頭にかけて少量の降雨がありました。今週は天気が良さそうで、ベーリングは完了に向かうと見られています。発生グレードは、少量の降雨があったことから中級品中心かと見られています。単収は平年を少し上回ると見られています。
南豪州では本日時点で10-15%が収穫されたと見られています。先週までの天気が良好だったことから、農家は単収の最後の一伸びを狙って収穫を待ったため、予想よりも進捗は遅めです。今後2週間の天候が良好であるため、今週から収穫は一気に進むと見られています。単収は平年並みと見られています。
ビクトリア州では本日時点で0-5%が収穫されたと見られています。9月の月間降雨が予想よりも少なかったことから、単収は平年を下回ると見られています。
播種の遅れと8月~9月の気温の低さから、単収は平年を下回る予想です。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 24年産について、在庫はほぼ払底しています。
25年産新穀は、各地で生育が進んでいます。各州の生育状況はオーツヘイと同様です。
8. 海上運賃情勢
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- 北米航路
- 米国の関税政策をにらんだ前倒し出荷が一巡し、北米向けの輸送需要は落ち着いています。コンテナ船社は需給調整を続けており、需給が軟化しています。ほとんどの小売業者は十分な在庫を抱えているため、年末にかけての米国の輸入量は抑えられると予測されます。
10月14日から導入された、米通商代表部(USTR)による中国関連船への米国港湾入港料の徴収は、米中の首脳会談後に、11月10日から1年間停止されることが発表されました。導入においては、船会社の多くはすでに中国建造船を米国以外の航路に回して対応していたため大きな影響は見られていません。入港料停止に加え、中国に課す関税の一部見直し措置も行われ、両国間の荷動きにはプラスになったと言えますが、すでに年末商戦向けの貨物はあらかた運び終わったとされており、直ちに需要が大きく回復することは考えづらい状況です。
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- 豪州航路
- 豪州貨物の多くはシンガポール港等のハブ港を経由し、本邦へ輸入されます。一部貨物では、ハブ港におけるスケジュール乱れにより本邦への到着遅延が発生しています。
以上
令和7年11月28日
全国農業協同組合連合会(JA全農)