海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和8年1月号
1. 米国産アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 雨と寒波の影響で、収穫のペースは遅れています。特定の圃場は、クリッピングが開始され、1番刈りの準備を行っています。当地のアジア向けの取引状況は依然として低調で、サウジアラビアからの引き合いのみが続いている様子です。近隣酪農家からの需要も弱く、DIPプログラムの影響で、供給、需要ともに減少しています。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- 2025産アルファルファの収穫は終了しており、圃場は休眠状態です。1番刈りの大宗が雨あたり品となり、2番刈り3番刈りは順調に収穫された印象です。3番刈り後半から4番刈りまでは、天候の影響で品質にばらつきが見られました。今年は例年よりも高成分貨物が少ないです。取引価格に回復が見込まれないため、他作物への転作が進んでおり、ここ2年間で、当地での作付面積は40%以上減少しており、次期収穫はより生産量が減少する見込みです。
今までのところ、天候は比較的穏やかで、気温は氷点下を下回ることが少なく、雪よりも雨が多く降っています。コロンビア盆地の一部地域に水を供給する山岳地帯の積雪量は過去20年間で最低水準となっており、今後も注視していく必要があります。
2. 米国産チモシーヘイ
(1)米国コロンビア盆地
1番刈りについては、ほとんどの貨物が降雨被害なしで収穫を終えました。全体的にプレミアム品が多く、低級品は限定的でした。2番刈りは、上級品から低級品までの貨物が幅広く収穫されました。作付面積は、昨年よりも20%以上が増加したと見られていますが、旺盛な需要から市場取引価格は堅調に推移しています。
(右画像:チモシー圃場)
(2)エレンズバーグ
2025年産は、全体的にプレミアム品が多いですが、例年よりも雑草の混入が多い傾向にあります。2番刈りの良品は少なく、茶葉の混入がある貨物が多い模様です。
昨年12月に大雨に見舞われ、ヤキマ川を中心に洪水が発生しました。広範囲ではないものの、一部の圃場では被害が出ています。
(右写真)
(3)アイダホ(天水地域)
収穫された貨物は柔らかく、見た目もきれいな貨物が多いです。一方で単収が下がり、供給量は40%程度減少しました。穏やかな天候だったため、現時点での積雪は少ないです。この積雪にはWinter Kill(枯死)を防ぐことと、土壌へ時間を掛けて水分を供給することの2つが期待されています。
(4)カナダ(アルバータ州南部)灌漑地域
収穫時の天候の影響で、1番刈り、2番刈りともに良品の供給力は限定的です。
(5)カナダ(アルバータ州中部)天水地域
2025年産の収穫は完了しています。天候の影響で中級品以下の貨物が多くなっています。
ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。
3.米国産スーダングラス
2025年度産は、60%程度が中軸から細軸品で、40%が太軸品。70%程度が緑色の貨物、30%が色抜け傾向となっています。
インペリアルバレー近隣の製糖工場が閉鎖されたことにより、甜菜の転作が予想されますが、日本からの需要が低迷しているため、多年草への作付け転換が多いと予想されています。
また、過去には当地で、全米への野菜が生産、供給されていましたが、輸送費の上昇により、東海岸への供給量が減少しているため、野菜の作付面積も減少する見込みです。
4.米国産バミューダ
圃場は休眠中です。ヘイは、台湾を中心に出荷が進み、ストローは国内向けと輸出用の需要が堅調に推移しています。スペイン産貨物の禁輸措置を受けて、韓国からの需要が堅調で、いままで利用していなかったビッグベールでの購買も行われているようです。
5. 米国産クレイングラス
昨年は、5番刈りまで行った生産者が多かったです。不安定な天候の影響で、幅広い品質の貨物が収穫されました。今年も、DIPプログラムへ登録する圃場は多く、生産量は作付面積に比例しない可能性が高いです。なお、インペリアルバレーにおけるDIPプログラムは、コロラド川の水資源の保全を目的に2026年までの3年間で最大70万エーカーフィートの節水を目指しており、2024年から試験運用が開始され、既に17万エーカーフィートが節水されています。
6. 米国産ライグラス、フェスクストロー
主要産地のウィラメットバレーの収穫は完了しています。収穫時の天候に恵まれ、品質は良好ですが、春先の乾燥により単収が下がっています。フェスクとペレニアルライグラスは昨年より20-30%の減少、アニュアルライグラスは15%程度が減少したと見られます。
種子会社での在庫率は高水準を維持しており、宅地向け芝生種子の売れ行きが低調なため、今後も作付面積は減収することが予想されています。韓国産わらの不作、同国のスペイン産ストローの禁輸措置から、当地におけるストロー需要は旺盛で、在庫は非常にタイトです。
7. 豪州産品目
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- オーツヘイ
- 24年産について、上級品~下級品まで在庫は払底しています。
各州における25年産新穀は収穫およびベーリング作業が終了しました。
西豪州の発生グレードは、10月中下旬にかけて少量の降雨があったことから中級品中心ではあるものの、上級品から下級品までバランスよく発生すると見られています。単収は平年を少し上回ると見られています。南豪州では、収穫からベーリングまでの期間において多量の降雨が観測されたことで、発生グレードは中級~下級品が殆どになる予想です。
ビクトリア州では11月の降雨が予報よりも多く、多くの圃場が雨に当たったことから、中級~下級の発生が中心となる見通しです。播種の遅れと8月~9月の気温の低さから、単収は平年を下回る予想です。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 24年産について、在庫はほぼ払底しています。
25年産新穀小麦ストローは、各地で収穫作業が進んでおります。現在の収穫進捗は西豪州:90%、南豪州:80%、ビクトリア州:60%です。
8. 海上運賃情勢
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- 北米航路
- 米国の関税政策をにらんだ前倒し出荷が一巡し、北米向けの輸送需要は落ち込んでいます。新造船投入による供給増の影響もあって需給は緩んでおり、コンテナ船社は需給調整を続けています。小売業者は十分な在庫を抱えており、年明け以降も輸送需要は弱いまま推移するとみられます。11月には米国の中国への追加関税の一部見直しや中国関連船への入港料徴収停止など、荷動きへのプラス材料ありましたが、短期的には需要の押し上げには繋がっていません。アジア向けでは大きな動きはありませんが、ポートランド港において深刻な空コンテナ不足が発生しており、スケジュールの乱れが危惧されます。
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- 豪州航路
- 豪州貨物の多くはシンガポール港等のハブ港を経由し、本邦へ輸入されます。一部貨物では、ハブ港におけるスケジュール乱れにより本邦への到着遅延が発生しています。
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- 欧州航路
- 一部の船会社でスエズ運河航行復帰の動きがみられます。これが本格化すればサプライチェーンの安定化に繋がりますが、一時的な港湾の混雑が引き起こされる可能性があります。ただし、各船会社は紅海情勢の見極めを優先するため、本格的な復帰にはまだ時間がかかるとみられます。
以上
令和8年1月21日
全国農業協同組合連合会(JA全農)