海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和8年3月号
1. 米国産アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 2月の前半は、気温が例年よりも低かったですが、後半には気温が上がりました。3月上旬はやや涼しいですが、中旬より半袖で過ごせる気候になりそうです。ネバダ、アリゾナ、ユタでは干ばつ傾向にあり、フィードロット、酪農家からの粗飼料の需要は高まってきています。
一方で、米国西海岸のアルファルファの作付面積は、減少しています。今後、収穫の本格化に向け、米国内の需要が高まる可能性、米国イランの戦争による中東需要の停滞、中国の需要回復状況により、新穀相場は変動していきます。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- アルファルファの圃場は、2026年産の生育を待っているところです。天候は例年よりも穏やかで、雨は多いですが、山岳エリアへの雪が少なく、干ばつ傾向を感じます。コロンビア盆地の一部地域に水を供給する山岳地帯の積雪量は過去20年間で最低水準となっており、このままだと、小規模灌漑地域や天水地域では、充分な水源を確保できないかも知れません。
アルファルファの取引相場が低迷しているため、作付けは、昨年よりも更に10%程度の減少の見込みです。
2. 米国産チモシーヘイ
(1)米国コロンビア盆地
当地のチモシー圃場は、Winter Killも少なく、穏やかな環境で生育中です。
米国西海岸の農作物価格が軒並み低迷しているため、比較的収益性の高いチモシーの面積は増加する見込みです。
(2)エレンズバーグ
源流での水位が不十分なため、現状の水位では、6月15日以降、水利制限を行う可能性があります。
(3)アイダホ(天水地域)
穏やかな天候だったため、現時点での積雪は少ないです。Winter Kill(枯死)も少ないですが、積雪も少ないため、今後、節水の勧告があるかもしれません。
こちらは、“Triticale"というコムギ属のライコムギと呼ばれる飼料"、グルテン少なく、ミネラルが高く、昨今の米国の酪農家では主力草種となっています。生産者には、カバークロップとしても、利点があるようです。
カリフォルニア、ワシントンの酪農家さんの庭先でよく見かけます。
ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。
3.米国産クレイングラス
2月末の時点で、ほとんどの生産者は、1番刈りに備えて圃場の準備を進めました。クリッピング作業で、圃場にある雑草を取り除きます。特に、気温が上昇する春先に雑草の浸入率が高い模様です。通常クレイングラスは秋に植え付けされる理由は、春先に植え付けをすると雑草の混入率が上がるからです。
4.米国産バミューダ
バミューダの品種の1つであるジャイアントの1番狩りは4月中旬から下旬にかけて行われる見込みです。ジャイアント種は飼料用に栽培されます。少量のジャイアント種子も栽培/収穫されますが、生産量は多くありません。「コモン」と呼ばれるもう1つの品種は、主に種子用に栽培されます。インペリアルバレーでは、主に種子および飼料用として栽培されます。
バミューダの栽培面積が約6万エーカーだった頃は、約80%が「コモン」種で、種子用に栽培されていました。輸出事業者によると、バミューダの栽培面積が増加しても、ほとんどの作付面積は引き続き「コモン」種になると予想されています。
引き続き、韓国からの需要は旺盛で、旧穀の在庫は払底しています。
5. 米国産スーダン
一部の圃場では2月下旬に播種が行われました。土壌温度は華氏65度(摂氏約18度)である必要があります。今後、寒くなると発芽が遅れますが、種子が枯れることはないです。生産者は通常、2月下旬または3月上旬(早播き)に種をまき、1番刈りは5月下旬に開始する予定です。この1番刈りの生育期間は約90日です。1番刈りから2番刈りまでは短く、約40~45日です。遅植えスーダン(6月植え)の場合、気温が高いため、1番刈りは90日ではなく60日で可能です。
2026年のスーダン価格は昨年と同程度になるとの見通しですが、まだ断言するには時期尚早です。今年の作付面積は昨年よりも少なくなる可能性があります。スーダンの価格が低ければ、生産者はスーダンの面積を減らさざるを得ないでしょう。生産者がローテーションクロップとしてスーダンを栽培したいと決めた場合、圃場は十分にあります。しかし、他に栽培できる作物の選択肢は多くありませんので、一部の生産者はローテーションクロップとしてスーダンを検討すると考えられます。
スーダンの代替となるものは何もないかもしれません。スーダンを栽培しない生産者の多くは、アルファルファの栽培を秋まで待つでしょう。
また、一部の輸出業者は2025年産のキャリーオーバーを抱えています。
6. 米国産ライグラス、フェスクストロー
現在、ライグラスおよびフェスクの圃場では、穏やかに生育を進めています。オレゴン産のストローの収穫量にとって、気象条件が決定的に重要な時期は4月最終週から6月中旬です。この時期に雨が降らないと、収穫量が低下する可能性があります。6月中旬まで降雨量に恵まれ、6月中旬以降はほとんど雨が降らないか全く降らなければ、収穫量に関しては問題ないと考えられます。
過去4~5年間、降雨量に関して収穫期の天候は良好(収穫期の降雨無し)であったため、オレゴンのストローの品質は安定しています。
日本向けは、安定した出荷となっていますが、韓国向けは通常よりも多く出荷されています。韓国は、国内収穫量の不足に加え、アフリカ豚熱の影響でスペインからの輸入飼料が禁止されたことにより、追加の粗飼料を求めており、今後も注視していく必要があります。
オレゴン州およびワシントン州の一般的な収穫スケジュールは、以下となります。
7. 豪州産品目
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- オーツヘイ
- 西豪州の発生グレードは、昨年10月中下旬にかけて少量の降雨があったことから中級品中心ではあるものの、上級品から下級品までバランスよく発生すると見られています。単収は平年を少し上回ると見られています。
南豪州では、収穫からベーリングまでの期間において多量の降雨が観測されたことで、発生グレードは中級~下級品が殆どになる予想です。
ビクトリア州では昨年11月に多くの圃場が雨に当たったことから、中級~下級の発生が中心となる見通しです。播種の遅れと生育期の気温の低さから、単収は平年を下回る予想です。
韓国に続いて台湾もスペイン産牧草類の輸入を停止しました。そのため、代替として豪州産牧草の両国への輸出量が増加しております。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 25年産新穀小麦ストローは、収穫作業が完了しました。
豪州全体の輸出量の半分を担っている西豪州は輸出余力が無い状況です。スペイン産牧草の代替として韓国からの需要が増加していることが一因です。また、南豪州・ビクトリア州についても、旺盛な国内需要、国内価格の上昇等を受け、輸出余力があまり無い状況です。
8. 海上運賃情勢
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- 北米航路
- 中華圏の旧正月向け需要の収束や過去数年で導入された新造船の影響を受け、船会社はブランクセーリングを強化しており、ブッキングや寄港順序の変更による遅延が発生しやすくなります。ポートランド港において空コンテナ不足が続いており、スケジュールの乱れが危惧されます。
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- 豪州航路
- 豪州貨物の多くはシンガポール港等のハブ港を経由し、本邦へ輸入されます。一部貨物では、ハブ港におけるスケジュールの乱れにより本邦への到着遅延が発生しています。
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- 欧州航路
- 2月末以降の米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃の影響で、ホルムズ海峡を通航する船舶が激減しています。世界の供給量のうち、原油20%、LPG30%、LNG20%はホルムズ海峡を経由しているため、供給不安による燃料価格の上昇が起きております。また主要船社はUAE、カタール、バーレーン、クウェート、サウジアラビア向けの新規予約を停止・制限しており、すでに運航中の船は安全な最寄り港での荷揚げを余儀なくされ、そこから先の輸送は荷主負担となるケースが増えています。またこのような船の回転率の低下は、アジア圏でのコンテナ不足に波及するおそれがあるため、注意が必要です。
以上
令和8年3月25日
全国農業協同組合連合会(JA全農)