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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和7年8月)

牛肉

供給

(1)国産

 6月の成牛と畜頭数は、85.8千頭(前年比101.3%)と前年を上回った。内訳を見ると、和牛:44.2千頭(前年比106.1%)、交雑牛:20.7千頭(同105.3%)、乳牛去勢:8.7千頭(同80.0%)となった。
 7月の成牛と畜頭数は、速報値(7月31日まで集計)で95.5千頭(前年比95.4%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(7月29日公表)によると、7月、8月の出荷頭数は、交雑種が増加するものの、和牛および乳用種の減少が見込まれることから、前年同月を下回ると予測する。(7月 98.0千頭(前年比97.6%)、8月 78.9千頭(同95.6%))3か月平均(6月~8月)では、出荷頭数87.4千頭(前年比97.7%)、生産量27.8千トン(同97.6%)と前年同期を下回る予測となっている。

(2)輸入

 6月の輸入通関実績は、全体で42.2千トンと前年を下回った。(前年比88.8%、前月比87.2%)。内訳ではチルド:14.1千トン(前年比79.7%、前月比86.9%)、フローズン:28.1千トン(前年比94.3%、前月比87.4%)となった。輸入相手国別では、チルドはニュージーランド、メキシコが増加した。フローズンは米国が増加した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:豪州7.4千トン(前年比86.3%)、米国5.0千トン(同67.5%)、ニュージーランド0.9千トン(同112.3%)、カナダ0.7千トン(同94.1%)、メキシコ0.2千トン(同120.9%)
フローズン :米国11.7千トン(前年比147.4%)、豪州11.3千トン(同79.8%)、カナダ2.3千トン(同78.6%)、ニュージーランド1.9千トン(同55.9%)、メキシコ0.4千トン(同41.1%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、国内需要が低迷にある中、為替や現地価格が高止まりの影響等により、チルドはほとんどの輸入先からの減少が見込まれることから、7月は前年同月を下回ると予測する。8月は、主要輸入先のうち米国産の減少が見込まれることから、下回ると予測する。フローズンは、為替相場や現地価格の高止まり等により、7月、8月ともに前年同月を下回ると予測している。3か月平均では、チルド、フローズンともに下回ると見込んでいる。
令和7年7月合計:41.8千トン(前年比84.7%)、チルド:15.6千トン(同82.7%)、フローズン:26.2千トン(同86.0%)
令和7年8月合計:42.8千トン(前年比87.5%)、チルド:15.3千トン(同95.8%)、フローズン:27.5千トン(同83.6%)
直近3か月(6月~8月)平均 合計:42.千トン(前年比87.3%)、チルド:15.4千トン(同87.7%)、フローズン:27.1千トン(同87.1%)

需要

(1)家計
 総務省発表の6月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は437g(前年比101.9%)、支出金額が1,596円(同99.1%)となり、購入量は前年同月を上回り、支出金額は前年並みとなった。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の6月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,224.7億円(前年比104.0%、既存店ベース102.3%)と前年を上回った。全般的に相場高が続き、豚肉・鶏肉への需要シフトが継続している。牛肉は国産、輸入ともに高値推移が続く中、中旬以降は気温上昇により焼肉需要に回復傾向もみられた。切り落としや味付肉など低価格・簡便な商材は好調に推移した。国産豚の価格上昇が続き、輸入豚が好調に推移した。鶏肉はブラジルでの鳥インフルエンザの影響があり高騰が続く。
 日本チェーンストア協会が公表した6月販売概況によると、畜産品の売上は833.7億円(店舗調整後で前年比104.6%)となり、前年を上回った。豚肉、鶏肉の動きは良かったものの、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージは鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査6月度結果報告によると、下旬を中心に記録的な高温となったため、冷たいメニューやビール類、飲料などが好評となった。暑すぎる天候は一部で客足にマイナスとなり、土曜日が少ない曜日まわりなども影響し、客数の伸びは鈍化した。業態によっては客数が前年を下回った。
業態別:
①ファーストフード 前年比106.9% 各種CPや期間限定商品、お得なランチメニューが好調。猛暑で冷たい各種メニューやビールの販売が伸びた。
②ファミリーレストラン 前年比104.6% インバウンド需要が堅調なとんかつ、リーズナブルな業態への店舗転換などで売上を伸ばした。焼肉店は客足が伸び悩んだ。
③ディナーレストラン 前年比101.6% 引き続きお得感のある平日ランチメニューやインバウンド需要が好調。猛暑で郊外立地の店で振るわないところもあった。
④居酒屋 前年比103.0% ビール類が販売好調で客単価を押し上げた。コロナ禍後続いていた回復傾向に一服感が出ており、客数などに頭打ち感が見られた。
(4)輸出
 6月の輸出実績は965.9トン(前年比125.1%)と前年を上回った。台湾向け(222.5トン、前年比120.6%)、香港向け(126.3トン、前年比124.0%)、米国向け(208.1トン、前年比199.4%)となった。また、カンボジア向け(49.4トン、前年比77.9%)は前年を下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、6月末の推定期末在庫量は147.6千トン(前年比100.2%、前月比100.1%)と前年並みとなった。内訳は、輸入品:138.5千トン(前年比102.4%、前月比100.7%)と前年を上回り、国産品:9.1千トン(同76.2%、同91.9%)と前年を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、7月末:147.0千トン(同96.7%)、8月末:148.9千トン(同94.1%)と7月、8月は前年を下回ると見込まれている。

市況

(1)7月~8月
 7月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:7月31日時点)は、和牛去勢A5が2,458円(前年比104.5%)、A4が2,155円(同109.4%)、交雑去勢B3が1,609円(同103.3%)、乳牛去勢B2が1,224円(同119.5%)であった。
 7月の相場は、消費者の節約志向が継続しているものの、出荷頭数の減少や盆休み期間の手当て等から需給が引き締まったため、和牛・交雑ともに前年・前月を上回った。乳牛去勢は、輸入牛肉代替需要が堅調で前年・前月ともに上回った。
 8月の相場は、和牛は出荷頭数の減少が予想されるものの、節約志向の継続や酷暑による消費減退、盆休み期間の手当てが済んでいること等から、需給が緩み弱含みを見込む。交雑は、出荷頭数の増加が予想されるものの、和牛代替需要が根強いことから横ばいを見込む。一方、乳牛去勢は、輸入牛肉代替需要が堅調なものの、限定的であることから弱含みから横ばいを見込む。

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