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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和6年10月)

牛肉

供給

(1)国産

 8月の成牛と畜頭数は、82.2千頭(前年比96.3%)と前年を下回った。内訳を見ると、和牛:38.5千頭(前年比102.1%)、交雑牛:19.2千頭(同94.8%)、乳牛去勢:10.3千頭(同91.6%)となった。
 9月の成牛と畜頭数は、速報値(9月30日まで集計)で86.6千頭(前年比96.4%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(9月26日公表)によると、9月は交雑種が増加するものの、和牛及び乳用種の減少が見込まれることから前年を下回ると予測し、10月は、和牛、乳用種の減少が見込まれるものの、交雑種の増加が見込まれることから、前年を上回ると予測する。(9月 88.3千頭(前年比97.7%)、10月 98.1千頭(同101.6%))そのため、3か月平均(8月~10月)では、出荷頭数90.2千頭(前年比99.2%)、生産量28.5千トン(同100.1%)と前年並みの予測となっている。

(2)輸入

 8月の輸入通関実績は、全体で48.9千トンと前年を上回った(前年比107.0%、前月比99.1%)。内訳ではチルド:16.0千トン(前年比92.3%、前月比84.7%)、フローズン:32.9千トン(前年比116.1%、前月比107.9%)となった。輸入相手国別では、チルドは米国、ニュージーランドが増加し、フローズンは豪州、ニュージーランドが増加した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:米国8.4千トン(前年比102.8%)、豪州6.4千トン(同80.7%)、ニュージーランド0.7千トン(同247.4%)、カナダ0.5千トン(同59.0%)、メキシコ0.1千トン(同58.7%)
フローズン :豪州16.3千トン(同131.8%)、米国8.7千トン(同89.2%)、ニュージーランド3.2千トン(同208.3%)、カナダ2.2千トン(同92.4%)、メキシコ1.0千トン(同58.4%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、9月は輸入品在庫量が多く前年同月の輸入量が少なかったこと等から、上回ると予測し、10月は豪州産及び米国産の減少が見込まれることから、下回ると予測する。フローズンは、9月は豪州産の加工用向けの増加が見込まれること等から、上回ると予測し、10月は現地相場高の影響により米国産の減少が見込まれることから下回ると予測している。3か月平均では、チルドは下回り、フローズンは上回ると見込んでいる。
令和6年 9月 合計:40.0千トン(前年比108.0%)、チルド:15.5千トン(同101.2%)、フローズン:24.5千トン(同113.0%)
令和6年10月 合計:38.5千トン(前年比95.5%)、チルド:15.4千トン(同91.9%)、フローズン:23.1千トン(同98.2%)
直近3か月(8月~10月)平均 合計:42.4千トン(前年比103.5%)、チルド:16.0千トン(同97.0%)、フローズン:26.5千トン(同108.0%)

需要

(1)家計
 総務省発表の8月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は484g(前年比93.8%)、支出金額が1,855円(同103.1%)となり、購入量は、前年同月を下回り、支出金額は上回った。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の8月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,249.2億円(前年比102.7%、既存店ベース101.7%)と前年を上回った。8月は、国産・輸入ともに相場高が続き、仕入値が過去最高を記録した店舗もあった。夏休み、お盆時期で牛肉の販売数量がやや回復傾向となったが、豚肉の価格が再び上昇しており、不調となった店舗が多い。比較的値ごろ感のある鶏肉への需要シフトは続いており、ひき肉や小間切れなどの低価格商品の動きは良かった。加工品は全般的に高値傾向にあり苦戦が続いている。台風に備えた備蓄需要が発生した地域もみられた。
 日本チェーンストア協会が公表した8月販売概況によると、畜産品の売上は873.1億円(店舗調整後で前年比102.4%)となり、前年を上回った。豚肉、鶏肉の動きは良かったが、牛肉の動きは鈍かった。鶏卵、ハム・ソーセージの動きも鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査8月度結果報告によると、観測史上最高の気温となった西日本をはじめ、全国的に高い平均気温のなか、3つの台風が大雨被害をもたらしたことにより、臨時休業や営業時間短縮の店舗が続出した。しかしながら、お盆休みと訪日外国人客が外食需要を押し上げ前年を上回った。
業態別:
①ファーストフード 前年比109.6% パリ五輪の在宅需要やお盆需要が好調だった。台風の影響を受けた店舗があったが、土曜が1日多かったことがプラスになった店舗もあった。
②ファミリーレストラン 前年比109.9% 台風による時短営業や南海トラフ地震によるイベント中止などがあったが、売上は好調。焼肉店は休日需要とインバウンド需要が堅調だった。
③ディナーレストラン 前年比106.7% 台風による臨時休業等でキャンセルはあったが、それを埋め合わせるだけのフリー客やインバウンド客の利用により好調。
④居酒屋 前年比104.1% 南海トラフ地震情報や台風の影響はあったが、季節メニューが好調だったこともあり、お盆期の集客が堅調だった。
(4)輸出
 8月の輸出実績は764.8トン(前年比119.7%)と前年を上回った。台湾向け(201.2トン、前年比151.4%)、米国向け(114.3トン、前年比122.8%)は前年を上回ったが、香港向け(96.6トン、前年比77.7%)は前年を下回った。また、カンボジア向け(59.4トン、前年比87.9%)は前年を下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、8月末の推定期末在庫量は158.3千トン(前年比98.7%、前月比104.1%)と前年を下回った。内訳は、輸入品:147.3千トン(前年比99.5%、前月比104.7%)、国産品:11.0千トン(同88.8%、同97.3%)ともに前年を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、9月末:156.6千トン(同100.2%)、10月末:151.6千トン(同100.5%)と、9月、10月ともに前年並みと見込まれている。

市況

(1)9月~10月
 9月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:9月30日時点)は、和牛去勢A5が2,405円(前年比96.5%)、A4が2,066円(同100.0%)、交雑去勢B3が1,590円(同109.4%)、乳牛去勢B2が1,078円(同144.5%)であった。
 9月は、和牛は消費者の生活防衛意識は依然高いものの、2度の3連休での行楽需要増への期待感から、前年は下回ったが前月は上回った。交雑牛は、和牛代替需要が継続しており前年・前月ともに上回った。また、乳牛去勢牛は、輸入牛の代替需要が堅調なため前年・前月ともに上回った。
 10月は、消費者の生活防衛意識は高いものの、気温の低下に伴い鍋物需要等の増加が見込まれ、和牛は量販店むけの需要が高まることから5等級は横ばいを見込むが4等級は強含みを見込む。また交雑牛は、出荷頭数の増加が見込まれるが、和牛代替需要が続いており、横ばいでの推移が見込まれる。一方で、乳牛去勢牛は、輸入牛の代替需要は継続するものの、限定的であることから横ばいでの推移を見込む。

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