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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和7年12月)

牛肉

供給

(1)国産

 10月の成牛と畜頭数は、96.4千頭(前年比96.9%)と前年を下回った。内訳を見ると、和牛:48.7千頭(前年比100.1%)、交雑牛:22.6千頭(同101.4%)、乳牛去勢:8.8千頭(同80.9%)となった。
 11月の成牛と畜頭数は、速報値(11月30日まで集計)で94.5千頭(前年比86.3%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(11月26日公表)によると、11月の出荷頭数は、交雑種が前年同月並みと見込まれるが、和牛および乳用種の減少が見込まれることから、前年同月を下回ると予測する。12月は、乳用種が減少するものの、和牛および交雑種の増加が見込まれることから、前年同月を上回ると予測する。(11月 101.3千頭(前年比92.1%)、12月 105.0千頭(同104.2%))3か月平均(10月~12月)では、出荷頭数100.7千頭(前年比97.1%)、生産量32.5千トン(同99.1%)と前年同期を下回る予測となっている。

(2)輸入

 10月の輸入通関実績は、全体で49.2千トンと前年を上回った。(前年比111.9%、前月比128.3%)。内訳ではチルド:16.6千トン(前年比105.5%、前月比126.7%)、フローズン:32.6千トン(前年比115.5%、前月比129.1%)となった。輸入相手国別では、チルドは豪州、カナダが増加した。フローズンは豪州、米国、カナダが増加した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:豪州9.3千トン(前年比124.7%)、米国5.9千トン(同87.6%)、カナダ0.6千トン(同149.5%)、ニュージーランド0.5千トン(同66.0%)、メキシコ0.2千トン(同74.5%)
フローズン:豪州16.8千トン(前年比125.1%)、米国11.1千トン(同122.4%)、カナダ2.3千トン(同106.4%)、ニュージーランド1.2千トン(同71.3%)、メキシコ0.5千トン(同73.5%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、11月は前年の輸入量が低水準であったこと等から前年同月を上回ると予測し、12月は現地価格の高止まり等によりほとんどの輸入先からの輸入量の減少が見込まれることから、下回ると予測する。フローズンは、先々の価格上昇が予想される中、米国産ショートプレートや豪州産のうち、主に加工用のひき材等に使用されるトリミングを中心に確保を急ぐ動きが見込まれること等から11月、12月は前年同月を上回ると予測する。3か月平均では、チルドは下回り、フローズンは上回ると見込んでいる。
令和7年11月合計:40.5千トン(前年比117.1%)、チルド:13.7千トン(同100.5%)、フローズン:26.8千トン(同128.0%)
令和7年12月合計:38.6千トン(前年比98.4%)、チルド:14.2千トン(同88.8%)、フローズン:24.4千トン(同105.1%)
直近3か月(10月~12月)平均 合計:42.8千トン(前年比109.0%)、チルド:14.7千トン(同97.6%)、フローズン:28.0千トン(同116.2%)

需要

(1)家計
 総務省発表の10月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は416g(前年比98.6%)、支出金額が1,593円(同97.7%)となり、購入量、支出金額ともに前年同月を下回った。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の10月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,266.7億円(前年比103.4%、既存店ベース102.4%)と前年を上回った。牛肉の低調と豚肉・鶏肉などへの需要シフト傾向は継続している。国産豚肉の相場が安定してきて、スライスや切り落とし等が好調に推移し、気温低下により鍋需要が高まり、全体を牽引した。牛肉は高止まり傾向から輸入牛が不振だが、国産はやや回復傾向がみられた。鶏肉は価格高騰が続く中でも堅調に推移したが、加工品は不調傾向だった。
 日本チェーンストア協会が公表した10月販売概況によると、畜産品の売上は869.0億円(店舗調整後で前年比101.3%)となり、前年を上回った。豚肉、鶏肉の動きは良かったものの、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージの動きは鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査10月度結果報告によると、業態により前月から客数の伸び悩みが残ったものの、月後半に客数は回復した。消費者の節約志向は根強く、半額などのお得なキャンペーン(以下CP)に集客効果が見られた。客単価の上昇、業態では下記①や②が上昇傾向にあり、鈍化していたインバウンド需要の回復などが外食全体の売上を下支えした。
業態別:
①ファーストフード 前年比107.7% 前年の値引きCPの反動で客数が前年割れとなった業態もあったが、定番の季節限定メニューやCPによる集客があり好調だった。
②ファミリーレストラン 前年比106.7% 低価格業態の好調とお得なクーポンや若者に人気のメニューが好調で集客増。焼き肉は客足の戻りが鈍い状況が続いている。
③ディナーレストラン 前年比106.5% 家族客を中心に平日のランチや週末の集客が好調。関西地区のターミナル周辺店舗では、インバウンド需要が好調。
④居酒屋 前年比104.2% 月前半は不調も月後半にかけて客数が回復した。万博閉幕後、月後半には大阪のターミナル立地以外の繁華街に客足が戻ってきた。
(4)輸出
 10月の輸出実績は1,027.6トン(前年比127.0%)と前年を上回った。台湾向け(233.7トン、前年比143.7%)、香港向け(154.4トン、前年比114.6%)、米国向け(172.1トン、前年比123.5%)となった。また、カンボジア向け(45.0トン、前年比131.9%)は前年を上回ったが、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、10月末の推定期末在庫量は148.7千トン(前年比95.1%、前月比99.5%)と前年を下回った。内訳は、輸入品:138.9千トン(前年比95.7%、前月比99.9%)、国産品:9.8千トン(同87.5%、同94.2%)とともに前年を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、11月末:146.7千トン(同99.4%)、12月末:145.6千トン(同103.6%)と11月は前年並み、12月は上回ると見込まれている。

市況

(1)11月~12月
 11月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:11月30日時点)は、和牛去勢A5が2,656円(前年比101.2%)、A4が2,449円(同104.3%)、交雑去勢B3が1,614円(同102.6%)、乳牛去勢B2が1,200円(同107.2%)であった。
 11月の相場は、和牛・交雑ともに年末年始に向けた手当等により需要が増加したため、前年・前月ともに上回った。乳牛去勢は、輸入代替需要が継続しており、前月を下回ったものの前年は上回った。
 12月の相場は、和牛・交雑ともに最需要期を迎えることから強含みでの推移を見込む。乳牛去勢は輸入牛肉代替需要が継続するものの限定的であることから横ばいを見込む。

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