文字サイズ
標準
拡大

相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和6年12月)

牛肉

供給

(1)国産

 10月の成牛と畜頭数は、99.5千頭(前年比103.6%)と前年を上回った。内訳を見ると、和牛:48.6千頭(前年比109.4%)、交雑牛:22.2千頭(同99.3%)、乳牛去勢:10.9千頭(同98.6%)となった。
 11月の成牛と畜頭数は、速報値(11月30日まで集計)で103.6千頭(前年比95.2%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(11月27日公表)によると、11月は和牛及び乳用種の減少が見込まれるが、交雑種の増加が見込まれることから前年並みと予測し、12月は、乳用種が減少するものの、和牛、交雑種の増加が見込まれることから、上回ると予測する。(11月 108.6千頭(前年比99.3%)、12月 105.0千頭(同107.2%))そのため、3か月平均(10月~12月)では、出荷頭数103.8千頭(前年比102.5%)、生産量33.4千トン(同103.3%)と前年を上回る予測となっている。

(2)輸入

 10月の輸入通関実績は、全体で43.9千トンと前年を上回った(前年比109.0%、前月比115.1%)。
内訳ではチルド:15.7千トン(前年比93.6%、前月比102.0%)、フローズン:28.2千トン(前年比120.0%、前月比124.0%)となった。輸入相手国別では、チルドはニュージーランド、カナダ、メキシコが増加し、フローズンは、豪州、米国、カナダ、ニュージーランドが増加した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:豪州7.4千トン(前年比93.1%)、米国6.8千トン(同90.2%)、ニュージーランド0.8千トン(同152.7%)、カナダ0.4千トン(同107.2%)、メキシコ0.2千トン(同105.3%)
フローズン :豪州13.4千トン(前年比121.4%)、米国9.1千トン(同112.7%)、カナダ2.2千トン(同108.7%)、ニュージーランド1.7千トン(同149.1%)、メキシコ0.7千トン(同96.1%
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、国内需要の低迷により低調に推移する中、11月は豪州産の増加が見込まれること等から前年同月を上回ると予測し、12月は下回ると予測する。フローズンは、輸入品在庫量が高水準であるものの、豪州産のうち主に加工用ひき材などに使用されるトリミングの増加が見込まれること等から、11月、12月ともに前年同月を上回ると予測する。3か月平均では、チルドは下回り、フローズンは上回ると見込んでいる。
令和6年11月合計:37.6千トン(前年比112.5%)、チルド:15.0千トン(同103.9%)、フローズン:22.6千トン(同119.3%)
令和6年12月合計:37.0千トン(前年比102.5%)、チルド:14.8千トン(同98.6%)、フローズン:22.2千トン(同105.4%)
直近3か月(10月~12月)平均 合計:39.6千トン(前年比108.2%)、チルド:14.9千トン(同96.7%)、フローズン:24.7千トン(同116.6%)

需要

(1)家計
 総務省発表の10月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は422g(前年比97.9%)、支出金額が1,631円(同100.6%)となり、購入量は前年同月を下回ったが、支出金額は前年並みとなった。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の10月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,229.2億円(前年比101.1%、既存店ベース99.5%)と前年を上回った。10月は、全般的に相場高が継続する中、気温が高く推移したため鍋関連の動きが鈍くやや不調となった。牛肉は、輸入肉が不振だが国産牛は前年並みで推移した。豚肉は、ひき肉や小間切れなどの低価格商品の動きが良かった。鶏肉は節約志向の中で比較的堅調だが、鳥インフルエンザ発生の影響を心配するコメントもみられる。加工品は高値傾向で不振が続いていたが、一部で回復傾向もみられる。
 日本チェーンストア協会が公表した10月販売概況によると、畜産品の売上は866.9億円(店舗調整後で前年比101.0%)となり、前年並みとなった。豚肉、鶏肉の動きは良かったが、牛肉の動きは鈍かった。鶏卵、ハム・ソーセージの動きも鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査10月度結果報告によると、10月は前年に比べ日曜日が少ない曜日周りとなり、業態によっては客足などに影響が出たところもあった。販促などキャンペーンの堅調に加え、まだ気温の高い日があり夏向けの商品も堅調であったことや、月間の訪日外国人観光客が過去最高を記録したことなどから売上を伸ばした。なお依然としてコメをはじめ原材料費の高騰も続いており、経営の圧迫要因となっている。
業態別:
①ファーストフード 前年比106.6% 季節限定メニュー、割引キャンペーンやコラボ企画が好評。高温傾向により冷たいメニューが堅調。訪日外国人需要もあり売上伸長。
②ファミリーレストラン 前年比105.7% 鍋物は不振も秋メニューフェアや特産食材のキャンペーンが奏功し、集客増。焼肉店は、休日減で客数減もキャンペーン等で売上を伸長。
③ディナーレストラン 前年比101.3% 休日が一日少ないことで客数に影響があった店舗が一部であったが、インバウンド需要の好調が続き売上増。
④居酒屋 前年比105.3% ビジネス街立地の店で休前日の好調に加え、インバウンドなどの集客が増え、売上堅調。高温傾向により、ビールの売れ行きが堅調。
(4)輸出
 10月の輸出実績は809.1トン(前年比96.7%)と前年を下回った。台湾向け(162.6トン、前年比99.2%)は前年並みとなり、米国向け(139.4トン、前年比213.8%)は前年を上回ったが、香港向け(134.7トン、前年比82.9%)は前年を下回った。また、カンボジア向け(34.1トン、前年比19.9%)は前年を大きく下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、10月末の推定期末在庫量は156.3千トン(前年比103.6%、前月比100.3%)と前年を上回った。内訳は、輸入品:145.1千トン(前年比105.2%、前月比100.3%)と前年を上回り、国産品:11.2千トン(同86.2%、同99.1%)と前年を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、11月末:149.6千トン(同107.8%)、12月末:142.4千トン(同109.7%)と11月、12月ともに前年を上回ると見込まれている。

市況

(1)11月~12月
 11月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:11月30日時点)は、和牛去勢A5が2,624円(前年比99.8%)、A4が2,349円(同105.1%)、交雑去勢B3が1,573円(同103.9%)、乳牛去勢B2が1,119円(同141.5%)であった。
 11月は、部分肉賞味期限の長期化や加工業者の労働環境改善等により、例年より早く年末向けの商品確保が始まったことから需要が高まり各品種で前月を上回った。一方で、消費者の節約志向が継続しており、和牛A5は前年を下回ったものの、和牛A4ならびに他品種では前年を上回った。
 12月は、需要の最盛期を迎えるものの、年末向け手当が一部完了していることから和牛A5については横ばいを見込む。一方で、和牛A4は一部の量販店で和牛回帰の動きがあることから強含みでの推移を見込む。また、交雑牛は、需要は底堅いものの出荷頭数の増加が見込まれるため横ばいを見込む。一方で、乳牛去勢は、輸入牛肉の流通価格水準が低下してきているものの、代替による需要が安定しつつあり、横ばいを見込む。

ページトップ