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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和6年6月)

牛肉

供給

(1)国産
 4月の成牛と畜頭数は、96.5千頭(前年比103.6%)と前年を上回った。内訳を見ると、和牛:46.6千頭(前年比107.6%)、交雑牛:22.3千頭(同94.4%)、乳牛去勢:11.3千頭(同100.4%)となった。
 5月の成牛と畜頭数は、速報値(5月31日まで集計)で87.0千頭(前年比102.8%)と前年を上回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(5月29日公表)によると、5月の出荷頭数は、乳用種で減少するものの、和牛、交雑種で増加が見込まれることから、前年を上回ると予測する。6月は、全品種で減少が見込まれることから、前年同月を下回ると予測する。(5月 87.2千頭(前年比102.3%)、6月 83.6千頭(同94.0%))そのため、3か月平均(4月~6月)では、出荷頭数89.2千頭(前年比99.8%)、生産量28.7千トン(同100.1%)と前年並みの予測となっている。
(2)輸入
 4月の輸入通関実績は、全体で63.2千トンと前年を下回った(前年比93.1%、前月比164.8%)。内訳ではチルド:18.2千トン(前年比86.2%、前月比100.1%)、フローズン:45.0千トン(前年比96.2%、前月比223.1%)となった。輸入相手国別では、チルドはニュージーランドが増加したが、他の主要国は減少した。フローズンは豪州、ニュージーランドが増加し、米国、カナダ、メキシコは減少した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:豪州8.8千トン(前年比98.8%)、米国7.9千トン(同74.6%)、ニュージーランド0.7千トン(同267.0%)、カナダ0.5千トン(同74.2%)、メキシコ0.1千トン(同45.7%)
フローズン:豪州21.2千トン(前年比116.9%)、米国14.4千トン(同85.3%)、カナダ4.9千トン(同67.6%)、ニュージーランド3.0千トン(同116.6%)、メキシコ0.9千トン(同65.3%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、国内需要が低迷する中、5月は現地相場の高騰等により、米国産の減少が見込まれる一方、前年同月の豪州産輸入量が少なかった事から前年同月を上回ると見込んでいる。6月は、米国産の減少が見込まれる事から前年同月を下回ると見込んでいる。フローズンは米国産の減少が見込まれる事から5月、6月ともに下回ると見込んでいる。3か月平均でも、チルド、フローズンともに下回ると見込んでいる。
令和6年5月 合計:45.1千トン(前年比97.1%)、チルド:16.8千トン(同104.4%)、フローズン:28.3千トン(同93.4%)
令和6年6月 合計:42.8千トン(前年比98.0%)、チルド:15.9千トン(同96.4%)、フローズン:26.9千トン(同99.2%)
直近3か月(4月~6月)平均 合計:50.3千トン(前年比95.4%)、チルド:16.8千トン(同93.9%)、フローズン:33.5千トン(同96.4%)

需要

(1)家計
 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は450g(前年比92.8%)、支出金額が1,602円(同91.1%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った。(※2019年度同月比:購入量 78.9%、金額 93.2%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の4月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,182.9億円(前年比98.9%、既存店ベース97.8%)と前年を下回った。前年に比べ週末が少なく、降水量も多かった影響に加え、牛肉・豚肉の相場が高止まりし、価格が安定している鶏肉への需要シフトが顕著となり、単価が下落し不調となった。円安の影響で輸入牛・豚の価格が高騰し、国産肉の動きが堅調となった。牛肉は、ステーキや焼肉焼商材等も不調。豚肉は、小間切れやひき肉など値ごろな商材以外の動きは鈍かった。鶏肉は、相場が安定しており好調に推移。加工肉は値上げの影響で不振とする店舗が多い。
 日本チェーンストア協会が公表した4月販売概況によると、畜産品の売上は819.9億円(店舗調整後で前年比99.9%)となり、前年並みとなった。鶏肉の動きは良かったが、牛肉、豚肉の動きは鈍かった。鶏卵、ハム・ソーセージの動きは鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査4月度結果報告によると、桜の開花が遅れたことで花見需要が昨年より増え、春の歓送迎会の後押しもあり、全体売上は前年比106.0%、2019年比では115.1%となった。各地で国内外からの観光客の消費は活発であったが、物価高騰が続き、低価格重視の消費志向が高まる傾向にあり、売上は伸びたが利益が伴っていない。
業態別;
①ファーストフード 前年比105.4%、2019年度比128.6% 販促キャンペーンやお得メニューの充実、高付加価値メニューで夕食需要が高まり、好調となった。
②ファミリーレストラン 前年比107.0%、2019年度比106.1% 客単価の増加や歓送迎会や花見需要があり好調だったが、焼肉店は、昨年より休日数が減少し来客数は減少した。
③ディナーレストラン 前年比103.5%、2019年度比95.8% 花見需要のずれ込みで、訪日外国人客をはじめとした来客数と客単価が増加し、好調となった。
④居酒屋 前年比105.0%、2019年度比64.4% 週末の天候不順が多少影響したが、人流の回復傾向や年度初めの歓送迎会の需要があり、好調となった。
(4)輸出
 4月の輸出実績は779.0トン(前年比105.5%)と前年を上回った。台湾向け(210.4トン、前年比132.5%)、米国向け(102.5トン、前年比108.9%)は前年を上回ったが、香港向け(119.7トン、前年比99.8%)は前年並みとなった。また、カンボジア向け(95.2トン、前年比91.8%)は前年を下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、4月末の推定期末在庫量は136.0千トン(前年比84.9%、前月比109.4%)と前年を下回った。内訳は、輸入品;124.2千トン(前年比84.0%、前月比111.7%)、国産品;11.8千トン(同95.7%、同90.1%)となり、輸入品は前年実績を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、5月末;140.9千トン(同87.7%)、6月末;140.6千トン(同87.7%)と、5月、6月ともに前年を下回ると見込まれている。

市況

(1)5月~6月
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;5月31日時点)は、和牛去勢A5が2,468円(前年比96.4%)、A4が2,122円(同94.9%)、交雑去勢B3が1,581円(同105.0%)、乳牛去勢B2が991円(同105.1%)であった。
 5月は、GW需要の反動により需給が緩み和牛は前年・前月ともに下回った。交雑牛は和牛代替需要が継続しているものの、和牛と同様にGWの反動により需給が緩み前年を上回ったが、前月は下回った。乳牛去勢牛は、輸入牛肉の高騰等による代替需要に加え、「母の日」やホテル向け需要等から需給が引き締まり前年・前月を上回った。
 6月は、祝日がなく「父の日」以降はイベントに乏しいことに加え、梅雨入りにより消費が減退する季節となることから、和牛・交雑牛ともに弱含みで推移するものと見込まれる。一方、乳牛去勢牛は、輸入牛肉の高騰や輸入量の減少等から代替需要は底堅いものの、和牛・交雑牛同様に消費が減退する季節となることから弱含みでの推移を見込む。

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