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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和7年3月)

牛肉

供給

(1)国産

 1月の成牛と畜頭数は、86.1千頭(前年比101.1%)と前年を上回った。内訳を見ると、和牛:41.6千頭(前年比105.9%)、交雑牛:20.5千頭(同102.7%)、乳牛去勢:9.1千頭(同89.3%)となった。
 2月の成牛と畜頭数は、速報値(2月28日まで集計)で80.5千頭(前年比96.0%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(2月26日公表)によると、2月、3月の出荷頭数は、交雑種が増加するものの、和牛および乳用種の減少が見込まれることから前年同月を下回ると予測する。(2月78.5千頭(前年比93.1%)、3月87.0千頭(同96.6%))3か月平均(1月~3月)では、出荷頭数82.7千頭(前年比95.5%)、生産量26.3千トン(同95.2%)と前年を下回る予測となっている。

(2)輸入

 1月の輸入通関実績は、全体で32.6千トンと前年を下回った(前年比75.3%、前月比83.0%)。内訳ではチルド:13.4千トン(前年比78.8%、前月比83.6%)、フローズン:19.2千トン(前年比73.0%、前月比82.7%)となった。輸入相手国別では、チルドはニュージーランド、カナダが増加し、フローズンは、主要国全てで減少した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:豪州6.2千トン(前年比76.1%)、米国5.8千トン(同76.9%)、ニュージーランド0.7千トン(同119.1%)、カナダ0.5千トン(同115.1%)、メキシコ0.1千トン(同97.9%)
フローズン:豪州8.9千トン(前年比70.1%)、米国6.9千トン(同86.9%)、ニュージーランド1.2千トン(同65.4%)、カナダ1.1千トン(同41.7%)、メキシコ0.7千トン(同99.8%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、現地価格の高止まりを受けて低調に推移する中、チルドは、2月は前年同月の輸入量が少なかった事等から前年同月を上回る。3月は主要国を含むほとんどの輸入先からの減少が見込まれる事等から下回ると予測する。フローズンは、2月は主要国のうち豪州を除くほとんどの輸入先から、3月はほとんどの輸入先からの減少が見込まれる事から、2月、3月ともに下回ると予測する。3か月平均でも、チルド、フローズンともに下回ると見込んでいる。
令和7年2月合計:31.1千トン(前年比100.3%)、チルド:13.9千トン(同111.2%)、フローズン:17.2千トン(同93.0%)
令和7年3月合計:31.0千トン(前年比80.8%)、チルド:14.4千トン(同79.3%)、フローズン:16.6千トン(同82.2%)
直近3か月(1月~3月)平均合計:31.6千トン(前年比84.2%)、チルド:14.3千トン(同90.1%)、フローズン:17.3千トン(同79.9%)

需要

(1)家計
 総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は435g(前年比96.2%)、支出金額が1,633円(同93.2%)となり、購入量、支出金額ともに前年同月を下回った。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の1月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,240.3億円(前年比101.7%、既存店ベース100.3%)と前年を上回った。牛肉や輸入肉の相場高が継続し、なかでも輸入品の価格高騰が続き不調となった。牛肉は成人式などハレの日前後にブランド牛が動いた店舗もみられたが、それ以外では価格を抑えた切り落とし等が販売の中心となった。豚肉は、スライスやしゃぶしゃぶ用に回復傾向がみられたが、国産豚の価格上昇もあり伸び悩んだ。鶏肉は、鍋需要の受け皿となったが、鳥インフルエンザによる国産価格の上昇により好不調の判断がわかれた。
 日本チェーンストア協会が公表した1月販売概況によると、畜産品の売上は913.9億円(店舗調整後で前年比100.6%)となり、前年並みとなった。豚肉、鶏肉の動きは良かったが、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージは鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査1月度結果報告によると、年末年始の長期連休で活発な国内移動と単月訪日外国人客数が過去最高を更新したことにより外食産業は堅調だった。断続的な価格改定による単価上昇で外食全体の売上は超えているが、消費者の低価格志向が強まる中、一部で客数が前年割れのところもあり、業種間・企業間で差が見られた。
業態別:
①ファーストフード 前年比108.1%  年始需要や各種キャンペーンの影響から好調。価格改定による単価上昇で売上を維持しているが、一部店舗では客数減も。
②ファミリーレストラン 前年比107.2% 年始需要やクーポン、キャンペーンが好調。焼き肉は、年始需要と価格改定による客単価上昇などで売上伸長も、客数は伸び悩んだ。
③ディナーレストラン 前年比105.0% 中華圏で「春節」が始まりインバウンド需要が他業態よりも好調なところが多く、帰省等による需要も堅調だった。
④居酒屋 前年比104.8% 比較的堅調に推移し、立地によってはインバウンド需要もあった。低価格指向に合わせた業態へ転換した一部店舗では客単価が前年を下回った。
(4)輸出
 1月の輸出実績は637.8トン(前年比105.8%)と前年を上回った。台湾向け(83.9トン、前年比77.6%)、香港向け(88.2トン、前年比93.9%)は前年を下回ったが、米国向け(183.9トン、前年比142.6%)は前年を上回った。また、カンボジア向け(63.9トン、前年比151.0%)は前年を上回ったが、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、1月末の推定期末在庫量は136.2千トン(前年比101.8%、前月比96.9%)と前年を上回った。内訳は、輸入品:126.1千トン(前年比103.2%、前月比97.1%)と前年を上回り、国産品:10.1千トン(同87.2%、同94.4%)と前年を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、2月末:131.0千トン(同101.4%)、3月末:122.5千トン(同98.5%)と2月は前年を上回るが、3月は下回ると見込まれている。

市況

(1)2月~3月
 2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:2月28日時点)は、和牛去勢A5が2,563円(前年比99.4%)、A4が2,290円(同101.6%)、交雑去勢B3が1,529円(同99.0%)、乳牛去勢B2が1,109円(同131.2%)であった。
 2月は、量販店の決算セール等による需要喚起は盛り上がりに欠けたものの、和牛は出荷頭数の減少から需給が引き締まり前月を上回った。輸入牛肉の高値推移や消費者の節約志向等から、交雑牛は出荷頭数が増加したものの前月と同水準、乳牛去勢は出荷頭数減から前月を上回った。
 3月は、例年歓送迎会や花見需要等に期待が出来るものの、本年は全国的な寒波の影響や消費者の節約志向の高まり等から需給は均衡すると思われることから、和牛・交雑牛とも横ばいでの推移を見込む。乳牛去勢については、輸入代替需要が継続しているものの限定的であるため横ばいでの推移を見込む。

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