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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和6年7月)

牛肉

供給

(1)国産
 5月の成牛と畜頭数は、88.0千頭(前年比103.9%)と前年を上回った。内訳を見ると、和牛:42.2千頭(前年比110.4%)、交雑牛:20.7千頭(同101.0%)、乳牛去勢:10.8千頭(同97.5%)となった。
 6月の成牛と畜頭数は、速報値(6月30日まで集計)で83.3千頭(前年比94.2%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(6月26日公表)によると、6月の出荷頭数は、全品種で減少が見込まれることから、前年を下回ると予測する。7月は、交雑種の出荷頭数が減少するものの、和牛、乳用種で増加が見込まれることから、前年同月を上回ると予測する。(6月 83.7千頭(前年比94.1%)、7月 99.3千頭(同103.7%))そのため、3か月平均(5月~7月)では、出荷頭数90.1千頭(前年比100.1%)、生産量28.9千トン(同100.3%)と前年並みの予測となっている。
(2)輸入
 5月の輸入通関実績は、全体で48.5千トンと前年を上回った(前年比104.6%、前月比76.7%)。内訳ではチルド:17.8千トン(前年比110.5%、前月比97.8%)、フローズン:30.7千トン(前年比101.4%、前月比68.2%)となった。輸入相手国別では、チルドはニュージーランド、豪州が増加したが、米国、カナダ、メキシコは減少した。フローズンも増減はチルドと同様となった。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:米国8.3千トン(同99.8%)、豪州7.8千トン(前年比124.8%)、カナダ0.7千トン(同99.6%)、ニュージーランド0.6千トン(同198.2%)、メキシコ0.2千トン(同67.8%)
フローズン:豪州13.6千トン(前年比109.0%)、米国8.7千トン(同82.9%)、ニュージーランド3.8千トン(同208.9%)、カナダ3.2千トン(同97.5%)、メキシコ1.0千トン(同59.0%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、チルドは、国内需要が低迷する中、現地相場の高騰等による米国産輸入量の減少が見込まれることから、6月、7月は前年同月を下回ると予測する。フローズンは、6月は現地相場の高騰等による米国産輸入量の減少が見込まれることから下回ると予測するが、7月は、国内の輸入品在庫量が多く、前年同月の輸入量が少なかったことから上回ると予測している。3か月平均では、チルドは下回り、フローズンは上回ると見込んでいる。
令和6年6月 合計:42.3千トン(前年比96.9%)、チルド:16.4千トン(同99.4%)、フローズン:25.9千トン(同95.5%)
令和6年7月 合計:42.6千トン(前年比110.1%)、チルド:17.3千トン(同89.4%)、フローズン:25.3千トン(同131.0%)
直近3か月(5月~7月)平均 合計:44.5千トン(前年比103.7%)、チルド:17.0千トン(同98.3%)、フローズン:27.5千トン(同107.5%)

需要

(1)家計
 総務省発表の5月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は477g(前年比92.1%)、支出金額が1,795円(同97.9%)となり、購入量、支出金額ともに前年を下回った。(※2019年度同月比:購入量 88.2%、金額 102.6%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の5月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,214.5億円(前年比99.5%、既存店ベース98.6%)と前年並みとなった。前月より小幅に改善も不調が続く。値ごろ感のある鶏肉へ需要シフトが強まり、単価が下落。輸入肉の価格が高騰していることで、全体的に数量が伸び悩んだ。牛肉は、GW時期のBBQ用は伸び悩んだが、焼肉やステーキなどは動きが良かった。豚肉は、小間切れやひき肉など値ごろな商材に需要が集中し、鶏肉は販売が伸長している。加工肉は値上げの影響で不振とする店舗が多い。
 日本チェーンストア協会が公表した5月販売概況によると、畜産品の売上は851.8億円(店舗調整後で前年比99.8%)となり、前年並みとなった。鶏肉の動きは良かったが、牛肉、豚肉の動きは鈍かった。鶏卵、ハム・ソーセージの動きも鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査5月度結果報告によると、新型コロナ感染症対策が5類移行となって1年が経過し、人流の活性化で外食全体の売上は前年比106.3%、2019年比では、115.0%となった。円安傾向の継続により旺盛な訪日外国客が売り上げを押し上げている一方で、物価高騰に悲鳴を上げる国内消費者はより一層の節約志向に傾き、高品質で値頃感のある商品への支持が強まっている。
業態別;
①ファーストフード 前年比106.1%、2019年度比127.7% 割引率が高い販促が奏功し、物価高騰に対応した低価格路線が好調だった。客単価高めの新メニューが連休明け好調だった。
②ファミリーレストラン 前年比107.0%、2019年度比105.5% 10人程度の小規模宴会の需要が増え、キャンペーン等により好調だった。焼肉店は高品質で値頃感のあるメニューが好評だった。
③ディナーレストラン 前年比103.3%、2019年度比100.5% 連休後、やや客足が落ちたが、法人利用の鈍い回復をインバウンド需要で補った状況となった。
④居酒屋 前年比106.1%、2019年度比67.2% ターミナル駅周辺の集客が目立って増えたが、夜遅くの集客は伸び悩んでいる。
(4)輸出
 5月の輸出実績は552.9トン(前年比98.2%)と前年を下回った。台湾向け(137.2トン、前年比136.2%)、米国向け(90.6トン、前年比164.8%)は前年を上回ったが、香港向け(95.4トン、前年比98.9%)は前年を下回った。また、カンボジア向け(25.5トン、前年比20.6%)は前年を大きく下回り、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、5月末の推定期末在庫量は141.3千トン(前年比88.0%、前月比103.9%)と前年を下回った。内訳は、輸入品;129.0千トン(前年比87.0%、前月比103.9%)と前年を下回り、国産品;12.3千トン(同100.1%、同104.2%)と前年並みとなった。なお、今後の期末在庫の推移は、6月末;141.0千トン(同87.9%)、7月末;141.4千トン(同88.9%)と、6月、7月ともに前年を下回ると見込まれている。

市況

(1)6月~7月
 6月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;6月30日時点)は、和牛去勢A5が2,380円(前年比92.8%)、A4が1,987円(同91.3%)、交雑去勢B3が1,511円(同104.1%)、乳牛去勢B2が1,014円(同111.1%)であった。
 6月は、GW需要の反動に加え、消費者の節約志向が一層高まった事等から需給が緩み、和牛は前年・前月ともに下回った。交雑牛は和牛代替需要等から前年を上回ったものの、前月は下回った。乳牛去勢牛は、輸入牛肉の高騰による代替需要等から前年・前月を上回った。
 7月は、梅雨明け後に焼肉需要が期待できるものの、消費者の生活防衛意識が依然として高いことに加え出荷頭数が多いことから、需給が緩み和牛は弱含みでの推移を見込む。一方で、交雑牛や乳牛去勢牛は、和牛や輸入牛肉の代替需要等が継続すると想定され、強含みまたは横ばいでの推移が見込まれる。

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