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相場情報

東京食肉市、大阪市食肉市場の発表する牛枝肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和7年6月)

牛肉

供給

(1)国産

 4月の成牛と畜頭数は、94.9千頭(前年比98.3%)と前年を下回った。内訳を見ると、和牛:48.0千頭(前年比103.1%)、交雑牛:22.7千頭(同101.6%)、乳牛去勢:9.1千頭(同81.3%)となった。
 5月の成牛と畜頭数は、速報値(5月31日まで集計)で83.2千頭(前年比94.5%)と前年を下回る見込みとなった。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(5月28日公表)によると、5月の出荷頭数は、交雑種が増加するものの、和牛および乳用種の減少が見込まれることから、前年同月を下回ると予測する。6月は、乳用種の減少が見込まれるものの、和牛および交雑種が増加することから、前年同月並みと予測する。(5月 85.7千頭(前年比96.8%)、6月 85.3千頭(同100.2%))3か月平均(4月~6月)では、出荷頭数88.8千頭(前年比98.4%)、生産量28.4千トン(同98.1%)と前年同期を下回る予測となっている。

(2)輸入

 4月の輸入通関実績は、全体で53.1千トンと前年を下回った(前年比84.0%、前月比171.5%)。内訳ではチルド:14.9千トン(前年比81.7%、前月比111.3%)、フローズン:38.3千トン(前年比84.9%、前月比217.3%)となった。輸入相手国別では、チルドはメキシコ以外の主要国が減少し、フローズンは主要国全てが減少した。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:豪州7.0千トン(前年比79.3%)、米国6.4千トン(同81.4%)、ニュージーランド0.7千トン(同94.1%)、カナダ0.5千トン(同90.5%)、メキシコ0.2千トン(同207.1%)
フローズン:豪州17.2千トン(前年比81.0%)、米国13.9千トン(同96.6%)、カナダ3.2千トン(同65.8%)、ニュージーランド2.2千トン(同75.4%)、メキシコ0.6千トン(同67.9%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、為替相場や現地価格の高止まりの影響などにより、チルドは、主要国先を含むほとんどの輸入先からの輸入量の減少が見込まれることから、5月、6月ともに前年同月を下回ると予測する。フローズンは、輸入品在庫量が比較的高水準であること等により、米国を除く主要輸入先からの輸入量の減少が見込まることから、5月、6月ともに下回ると予測している。3か月平均でも、チルド、フローズンともに下回ると見込んでいる。
令和7年5月合計:43.7千トン(前年比90.1%)、チルド:14.9千トン(同83.8%)、フローズン:28.8千トン(同93.7%)
令和7年6月合計:44.2千トン(前年比92.9%)、チルド:15.8千トン(同89.2%)、フローズン:28.4千トン(同95.2%)
直近3か月(4月~6月)平均 合計:46.9千トン(前年比88.4%)、チルド:14.8千トン(同82.9%)、フローズン:32.1千トン(同91.2%)

需要

(1)家計
 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は439g(前年比97.6%)、支出金額が1,618円(同101.0%)となり、購入量は前年同月を下回ったが、支出金額は上回った。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の4月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,228.5億円(前年比103.9%、既存店ベース102.2%)と前年を上回った。豚肉・鶏肉への需要シフトが続くものの前年比では改善傾向がみられた。牛肉は引き続き厳しい状況が続くが、価格が抑えられる切り落としや小間切れが堅調に推移し、豚肉は国産豚の価格上昇もあり、前年不振だった輸入豚が好調となった。鶏肉は、価格高騰傾向が見られ伸び悩んだ店舗もあった。加工品は味付け肉や冷凍加工品などが、値ごろ感と簡便性で需要が高まった。
 日本チェーンストア協会が公表した4月販売概況によると、畜産品の売上は838.2億円(店舗調整後で前年比104.5%)となり、前年を上回った。豚肉、鶏肉の動きは良かったものの、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージは鈍かった。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査4月度結果報告によると、春休みやお花見・大型連休などに加え、単月の訪日外国人客数が過去最高を更新したことから、需要が好調だったことに加え、価格改定による客単価上昇が続いており、外食全体の売上は好調だった。4月から仕入が値上げとなる品目が多く、外食企業の利益圧迫が懸念される。
業態別:
①ファーストフード 前年比104.4% 各種CPや期間限定商品、お得なランチメニューが好調。春休みの家族需要が追い風となり割安感のある商品が好調。
②ファミリーレストラン 前年比108.4% コスパ重視の消費が続く一方で、GW中は高価格メニューも堅調。焼肉は、春休みを中心に客足の戻りが見られた。
③ディナーレストラン 前年比107.7% 花見シーズンに過去最高の訪日者数が重なり、都心部を中心に好調。お得感のある平日ランチメニューが家族連れに好評。
④居酒屋 前年比104.3% 寒暖差の大きかった前月と比べて気候が安定したことで客足が戻りはじめ堅調。
(4)輸出
 4月の輸出実績は959.4トン(前年比123.2%)と前年を上回った。台湾向け(249.3トン、前年比118.4%)、香港向け(149.6トン、前年比125.0%)は前年を上回ったが、米国向け(95.0トン、前年比92.6%)は前年を下回った。また、カンボジア向け(117.6トン、前年比123.5%)は前年を上回ったが、不安定な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、4月末の推定期末在庫量は139.5千トン(前年比102.5%、前月比105.5%)と前年を上回った。内訳は、輸入品:129.5千トン(前年比104.3%、前月比106.4%)と前年を上回り、国産品:9.9千トン(同83.9%、同94.3%)と前年を下回った。なお、今後の期末在庫の推移は、5月末:144.8千トン(同102.5%)、6月末:149.6千トン(同101.6%)と4月、5月は前年を上回ると見込まれている。

市況

(1)5月~6月
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:5月31日時点)は、和牛去勢A5が2,486円(前年比100.7%)、A4が2,266円(同106.8%)、交雑去勢B3が1,625円(同102.8%)、乳牛去勢B2が1,177円(同118.8%)であった。
 5月は、GW需要の反動や消費者の節約志向等から消費が振るわず和牛は前年は上回ったが、前月は下回った。交雑は、和牛代替需要から需給が引き締まり前年・前月ともに上回った。乳牛去勢は、輸入牛肉代替需要が続いているものの、GWの反動等から需給が緩み前年は上回ったが前月は下回った。
 6月は、消費者の節約志向が継続する中で、「父の日」等のイベントがあるものの、昨年より早い梅雨入りにより消費が伸び悩むこと等から、和牛・交雑とも弱含みを見込む。一方、乳牛去勢は、輸入牛肉代替需要は根強いものの、消費の伸び悩み等により弱含みを見込む。

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