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相場情報

全国食鳥新聞社サイトの鶏肉荷受相場、JA全農たまごが発表する鶏肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食鳥情勢(令和6年4月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和6年3月末実施)によると、2月の推計実績は処理羽数60,611千羽(前年比104.3%)、処理重量184.3千トン(同105.3%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.7%下方修正、処理重量は0.5%上方修正された。処理重量ベースで前月予測・前年実績以上の成績となったものの、農場によっては脚弱・鶏病などが発生しており、バラツキが大きかったとのこと。高病原性鳥インフルエンザの影響がなかったことに加えて、北海道・東北・中部・南九州産地の増体が良好だ。
 3月の計画は土・日・祝日が前年から2日増加したことによる処理工場稼働日数の減少に加え、寒暖差による育成率・増体の悪化等により処理羽数・処理重量が前年を下回る予想となっている。4月については土・日・祝日が前年から1日減少したことによる処理工場稼働日数の増加により処理羽数・処理重量ともに前年を上回る予想となっている。3月31日時点で、9県10例(内肉用鶏1例・肉用種鶏1例)、家きんより高病原性鳥インフルエンザの発生が報告されている。工場の人員不足については外国人技能実習生が来日するようになったものの、処理羽数の増加や従業員の高齢化などにより、人員確保が難しくなっているとの声も聞かれる。副産品(小肉・剣状軟骨など)や切身といった加工品の調整を行っている産地もあるようだ。

生産動向表

輸入動向

 財務省3月28日公表の貿易統計によると、令和6年2月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+0.7千トンの55.4千トンで、国別ではブラジルが前月▲1.3千トンの40.0千トンでタイが+1.7千トンの14.6千トンとなった。前年同月の実績に対しては+8.3千トンとなった。(独)農畜産業振興機構(ALIC)による今後の見通しでは、ブラジルが高病原性鳥インフルエンザの影響から回復したこと等により輸入量は3月が54.0千トン(前年比113.6%)、4月は50.6千トン(同106.7%)となっていることに加え、2月の出回り量は57.1トン(同111.2%)と増加傾向であることから国内の輸入在庫は緩やかに平常時並みへ減少するだろう。一方で加工筋向けの比較的安価なタイ産ムネ肉が入荷しているという情報もあるため注視したい。
 鶏肉調整品の輸入量は、前月から▲1.4千トンの34.3千トンで国別では中国が▲2.2千トン、タイが+1.1千トンとなった。前年同月実績32.1千トンとの差は+1.2千トンとなり、前月比は減少したが前年比は上回る結果となった。中国・タイともに生産は安定しているが、輸出元の需要の盛り上がりや為替(円安)の影響で価格高騰の状況が続いていることもあり、過去1年スパンで見れば減少傾向が続いてる。外食についてはコロナ禍が明けた影響等で昨年よりも回復しており、中食・総菜向け等の引き合いも安定的に継続している状況である。
 財務省が3月28日に公表した貿易統計によると、2月の輸入鶏肉(解体品)の価格は前年同月より7.9%上昇し、鶏肉調整品は前年同月より29.5%上昇した。解体品の国別価格は、ブラジル産の輸入価格が304円/kg(前月比9円高)、タイ産が376円/kg(同4円高)となっている(国別平均価格)。前年比ではブラジル・タイともに価格が上がっている状況ではあるものの、国内市場価格は下落基調であるため、今後の国産鶏肉への影響を注視したい。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和6年2月の生鮮肉消費(購入)は数量4,200g(前年比106.8%)、金額6,455円(同103.8%)と、数量・金額とも前年を上回った。鶏肉は数量1,584g(同113.0%)・金額1,605円(同108.8%)・単価101.3円/100g(前年同月▲3.9円)と、数量・金額が前年を上回り、単価は前年を下回った。調理食品が金額12,048円(同105.0%)、外食が13,631円(同113.6%)となっている。畜産の購入量は牛肉が前年を下回り、鶏肉・豚肉が前年を上回る結果となったため、消費者の節約志向の高まり等から比較的安価な食肉へ需要がシフトしたのではないだろうか。調理食品においては、共働き世帯の増加に伴う需要増や各社値上げ実施等から金額は前年を上回った。外食においては、イベント開催の回復や、入国規制緩和での外国人旅行客によるインバウンド需要もあり、回復傾向にあると考えられる。学校給食も4月に入り再開されるため、末端消費の動向に注視したい。

量販

 食品関連スーパー3団体の販売統計速報によると、令和6年2月の食品売上高は全店ベースで前年比106.0%と前年を上回った。生鮮3部門の売上高は全店ベースで同105.2%、既存店ベースは同104.5%となった。また、畜産部門の売上高は約1,183億円で全店ベース同104.0%、既存店ベース同103.1%となった。一般社団法人全国スーパーマーケット協会によると、2月はうるう年の影響や内食需要の高まりもあり、好調な販売動向となった。気温が高く鍋物需要が不振だったものの、畜産部門は節約志向の高まりなどから家庭内の調理機会が増加した影響で前年を上回る結果となった。牛肉については全国的に動きは鈍かったとコメントがあった。総菜部門は、三連休に伴う行楽需要の高まり等で前年を上回った。ハムやソーセージなどの加工肉は前月から引き続き動きが鈍い。消費者の節約志向の高まりにより、買上点数は減少傾向が続いているようだ。

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和6年2月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比105.7%の4.3千トンとなった。うち国内品は同107.8%の3.5千トンと前年を上回り、輸入品については同97.3%の0.8千トンと前年を下回った。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の2月末時点推定期末在庫では国産34.9千トン(前年比139.6%・前月差+3.7千トン)、輸入品124.1千トン(同96.9%・同▲1.8千トン)と合計で159.0千トン(同103.9%・同+2.0千トン)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、2月の出回り量は国産140.3千トン(前年比105.5%・前月差▲1.9千トン)、輸入品57.1千トン(同128.1%・同+12.7千トン)と合計で197.5千トン(同111.2%・同+10.7千トン)となった。3月以降の国産在庫については年度末の在庫消化がある程度進んだことに加え、輸入品の出回り量が増加していることから業務筋の動きが活発になっていることが伺える。在庫量は前年を上回る傾向は続くが徐々に国産在庫は減少すると予測する。輸入鶏肉の入荷量はブラジルの高病原性鳥インフルエンザの影響が解消したことに加え、タイ産ムネ肉の輸入量が増加すると見込まれている。しかし、為替(円安)の影響や国内在庫が増加していることから徐々に輸入量が絞られることが予想されることから、輸入品在庫は前年差ベースで暫く上回ることが予測されるものの、出回り量が増加傾向にあることから徐々に在庫は減少していくと予測する。

在庫状況表

鶏卵情勢(令和6年4月)

生産動向

餌付け羽数

 令和6年2月の全国の餌付け羽数は7,517千羽(前年同月比96.6%)と、前年を下回る推移であった。東日本は97.0%と前年を下回り、西日本も96.2%と前年を下回った。
 地域別に見ると北海道エリアで65.5%、東北エリアで75.8%と減少したが、関東エリアでは119.6%、北陸エリアでは120.7%と前年を上回る結果となった。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数

供給面

 供給面は、令和6年2月26日をもって成鶏更新・空舎延長事業の対象となる成鶏の出荷期間は終了となったが、一部産地では生産調整の影響が継続している。
 今後について、生産調整明け鶏群の生産復帰と昨シーズン鳥インフルエンザからの生産回復があり、ゴールデンウィークに向け増加傾向となることが予想される。
エリア別鶏卵生産量

配合飼料関連動向

令和6年4~6月期の配合飼料供給価格は令和6年1~3月期に対して約4,600円の値下げとなった。
飼料:とうもろこしのシカゴ相場5月限は、4月1日現在435セント/buでの取引となった。
原油:先物相場5月限については、4月1日現在83.71ドル/バレルとなった。
海上運賃:2月の海上運賃は約50ドル/トンとなった。
為替:東京外国為替市場は、4月1日151円38銭/ドルでの取引となった。

消費動向

家計消費

 令和6年2月の鶏卵の一人当り家計消費量は891g(前年同月比104.9%)。またコロナ禍前の令和元年比でも107.7%であった。鶏卵相場が前年を下回っており、店頭売価も前年と比較すると値下がりしていることで、消費も増加傾向で推移していると考えられる。
 春休みに伴う家庭調理機会の増加、量販店の特売増加見込みによりテーブルエッグの引き合いは堅調な推移になると考えられる。
鶏卵の一人当り家計消費量
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 令和6年2月の外食全体の売上は、前年同月比111.4%、令和元年同月比115.7%と好調に推移した。うるう年で営業日が1日増え休祝日の連休が2回あった影響を除くと、基本的に1月の傾向と大差なく、全体的にコロナ禍からの持ち直し傾向が堅調に続いている。客数も前年同月比107.4%と伸長した。
 令和6年2月の訪日外客数についても前年同月比189.0%、令和元年同月比107.1%とコロナ禍以降で最多、2月としては過去最高となった。
 加工筋は、依然荷動きは鈍いものの、在庫は減少傾向にあり、適正水準に近づくと考えられる。
 今後の業務・加工筋では、連休前需要の高まり、加工筋のメニュー改変による引き合いに期待が寄せられる。
外食産業業態別売上高
外食産業業態別売上高

小売動向

 令和6年2月の全国コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は8,574億円(前年比105.7%)日本チェーンストア協会が発表した令和6年2月の売上高(既存店ベース)は、10,556億円(前年比105.5%)となり前年実績を上回った。食料品は106.3%、畜産品は103.8%となった。
 経済産業省が発表した商業動態統計によるとドラッグストアの令和6年1月の売上高は前年比107.3%となり、33か月連続での前年比越えとなった。
小売動向表

価格動向

 令和6年3月の東京相場の月間平均は、Mサイズ211円(前年比△132円、前月比+21円)。
 供給面において、生産調整の影響から産地在庫は減少傾向となった。
 需要面において、量販筋では、相場価格商品を中心に発注数量増の傾向が続いている。総務省「小売物価統計調査報告」によると、鶏卵10個入りパックの小売価格について、令和5年において最高値となった6月以降も高価格が継続されている。一部特売も見られるが、依然として高止まりの状況となっている。
 問屋筋では、小玉中心にタイトとなる局面があり、スポット取引も見られた。定期取引は花見需要もあり、堅調な動きであった。
 加工筋について、玉子を使用したメニューの再開、量目の回復には時間を要しており、販売は依然軟調であるものの、在庫消化が進んでいると考えられる。
 これらの状況から東京相場は3月5日、26日、4月9日に上伸の展開となった。
 今後について、供給面では生産調整からの復帰鶏群と鳥インフルエンザからの生産回復により稼働羽数の増加が見込まれる。需要面では、大型連休に向けた行楽需要の盛り上がりやインバウンド需要に期待が寄せられる。
 これらの状況より、今後の相場展開は保合もしくは強含みの展開と予想する。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

輸出入動向

輸入動向

 令和6年2月の鶏卵類輸入通関実績は1,566トン(前年比93.8%)と前年を下回った。令和6年2月での殻付き卵の合計は52トンとなり令和5年8月から減少傾向にある。国内調達メインであるが、加工メーカーをはじめリスクヘッジを兼ねて国外調達も継続していると推測される。
鶏卵類輸入通関実績(6月累計)

輸出動向

 令和6年2月の殻付卵輸出実績は1,574トン。前年比は149.8%と上回っているものの、令和4年比では80.8%にとどまっている。昨シーズンの鳥インフルエンザ多発により、輸出余力が乏しくなっている間にメイン輸出先である香港では安価な中国産がシェアを伸ばしている。
殻付卵輸出実績

その他

鳥インフルエンザについて
①国内養鶏場での発生状況
令和6年4月1日時点で9県10事例の発生状況。
(採卵鶏で約73万羽)
②野鳥・環境での発生状況
令和6年3月22日時点で27都道県137事例で確認。
(北海道、青森県、岩手県、宮城県、新潟県、茨城県、群馬県、東京都、千葉県、神奈川県、富山県、岐阜県、
石川県、愛知県、滋賀県、大阪府、鳥取県、岡山県、香川県、高知県、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、
宮崎県、鹿児島県)

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