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食鳥情勢(令和4年9月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和4年6月末実施)によると7月の推計実績は処理羽数58,429千羽(前年比97.5%)・処理重量173.3千トン(同96.5%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は0.9%下方修正され、処理重量は前月時点の計画値と変わらずとなっている 。処理重量が前月時点の予測と同じことから、気温上昇による増体の鈍りについては各産地で日齢を伸ばす等の工夫をして予測通りに育成できたとみられるが、処理羽数については計画値を下方修正していることから、熱中症や床面の環境悪化などによる大腸菌症による斃死など、今回の酷暑の影響が少なからず出たのではないかと推察される。
 8月の処理羽数・処理重量はともに前年を上回る見通しとなっている。地区別で見ると中部地区で処理羽数が前年を下回っているが、関東地区で処理羽数・処理重量が前年を上回っている。8月も酷暑が続くことが予想され、増体の鈍りや育成率の低下が懸念される。また、海外技能実習生の不足に加え新型コロナ感染拡大での工場の人員不足は深刻であり、加工品(手羽中二ツ割・砂肝スライス等)や副産品(小肉・ハラミ等)の調整は続くとみられ、年末特殊品(骨付もも・雑煮用切り身等)の製造への影響が懸念される。

生産動向表

輸入動向

 財務省8月30日公表の貿易統計によると令和4年7月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から6.6千トン減の45.6千トンで、国別ではブラジルが▲6.3千トン、タイが▲0.3千トンとなっている。前年同月の実績に対しては0.9千トン増となった。新型コロナウイルスの影響によるタイの人手不足が回復し、生産量も増加傾向にある。(独)農畜産業振興機構(ALIC)による今後の見通しでは、8月が47.3千トン(前年比100.8%)、9月が47.2千トン(前年比104.4%)となっている。7月実績は前月輸入量より減少したが、8月以降は増加が予想される。年内は現状の価格見通しが続く予想。タイの人手不足も回復し、徐々に副産物も製造量が増える予測もある。為替の影響もあり、現状の水準で価格は動いてはいるが、外部冷蔵庫への入庫困難な状況が深刻化しており、デマレージ(超過保管料)が発生している状況が起き一部在庫消化に動き出している業者もある様子で、緩やかに下がり基調の話も聞こえている。今後の動向に注視したい。
 鶏肉調整品の輸入量は前月から2.4千トン減の43.8千トンで、国別では中国が▲0.4千トン、タイが▲2.0千トンとなった。前年同月の実績に対してはほぼ同数量となった。タイの人手不足が回復し、徐々に国内向けにオファーがきているが為替の影響により価格帯は現状の水準である。外食についてはコロナ第7波の影響を受け失速気味であるが、中食・総菜向け等の引き合いは継続して強い状況なので、今後の動向に注視したい。
 財務省が8月30日に公表した貿易統計によると7月の輸入鶏肉(解体品)の価格は前年同月より68.5%上昇し、鶏肉調整品は前年同月より22.8%上昇した。依然として、世界的なコストアップや為替相場の円安により高値が続いており、ブラジル産の価格が352円/kg(前月比51円高)、タイ産が460円/kg(同32円高)となっている(国別平均価格)。ブラジル産は世界的なコスト高や円安の影響もあり価格が上昇しており年内は現状の水準との予測であるが、国内市場価格は緩やかに下がり基調。タイ産については人手不足の回復やEU向けが落ち着いてきたとの話もあるため、今後の国産鶏肉への影響に注視したい。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和4年7月の生鮮肉消費(購入)は数量4,055g(前年比94.3%)、金額6,209円(同101.8%)と、数量は前年を下回ったが金額は前年を上回った。鶏肉は数量1,439g(同99.9%)・金額1,345円(同106.3%)・単価93.2円/100g(前年同月+5.6円)と、数量は前年を下回ったものの、金額・単価は上回る結果となった。調理食品が金額12,431円(同101.3%)、外食が12,801円(同116.8%)となっている。外食においては、7月前半は営業制限のあった前年を大きく上回ったものの、月後半にはコロナ第7波の拡大に伴い失速し、外食全体の売上を押し下げた。

量販

 食品関連スーパー3団体の販売統計速報によると、令和4年7月の食品売上高は全店ベースで前年比101.3%と前年を上回った。生鮮3部門の売上高は全店ベースで同99.7%、既存店ベースは同98.5%となった。また、畜産部門の売上高は約1,110.2億円で全店ベース同100.6%、既存店ベース同99.2%となった。一般社団法人全国スーパーマーケット協会によると、ここ数か月、相次ぐ食品値上げと、外出・外食の再開気運により厳しい状況が続いていたが、7月は一転して感染の再拡大に伴う外食の抑制や食品備蓄の動きなど、内食需要の大幅な回復がみられたとのこと。畜産部門においては相場高騰が続くなかで、日曜日が一日多い曜日巡りの恩恵や、感染再拡大による食品備蓄の動きにより、前月よりやや回復傾向がみられた。牛肉は、気温上昇により国産牛を中心に焼肉用が比較的好調も、輸入牛は価格高騰により不振となっている。豚肉価格も高騰しているが、冷しゃぶなど涼味提案で動きがよかった。ハムなどの加工肉は備蓄需要回復も、値上げの影響で伸び悩んだ。価格高騰が利益を圧迫しているとの指摘もみられ比較的価格の安定している鶏肉に需要がシフトし好調に推移しているとのこと。

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和4年7月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比92.6%の4.6千トンとなった。うち国内品は同103.9%の3.9千トンと前年を上回り、輸入品については同59.3%の0.7千トンと前年を下回った。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の推計期末在庫では国産28.9千トン(前年比83.6%・前月差▲1.6千トン)、輸入品121.1千トン(同106.5%・同+2.1千トン)と合計で150.0千トン(同101.2%・同+0.4千トン)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表(令和4年9月6日更新)では、7月の出回り量は国産134.5千トン(前年比98.4%・前月差▲6.4千トン)、輸入品43.5千トン(同82.6%・同▲5.3千トン)と合計で178.0千トン(同94.04%・同▲11.7千トン)となった。8月以降の国産在庫については、競合する輸入鶏肉の高騰等から引き合いが強く、引き続き在庫は減少していくと予想する。輸入鶏肉の入荷量は前述の(独)農畜産業振興機構(ALIC)予測でもあるように7月、8月とも前年を上回る見通しであり、外食・総菜向け等の引き合いは堅調なことから、輸入在庫は8月は前年をわずかに上回る一方、9月は前年をわずかに下回ると予測する。

在庫状況表

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