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相場情報

全国食鳥新聞社サイトの鶏肉荷受相場、JA全農たまごが発表する鶏肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食鳥情勢(令和7年7月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和7年6月末実施)によると、5月の推計実績は処理羽数67,020千羽(前年比103.2%)、処理重量197.8千トン(同100.1%)となった。処理羽数が前月時点の計画値から0.9%の上方修正となった。また、6月は前月時点の予測よりも処理羽数が0.1%上方修正、処理重量は2.1%下方修正の見通し。7月は処理羽数は前年同月比1.3%、処理重量は同2.6%それぞれ減少の見込みとなった。また、8月については処理羽数が前年同月比3.2%、処理重量は同3.7%それぞれ減少の予測となっている。
 工場の人員については引き続き不足が課題となっている中、副産品(小肉・剣状軟骨など)・手羽中半割等の1.5次加工品は機械を導入し製造している産地が見られるようになってきた。この省人力化の流れは、今後他産地にも広がっていくと思われる。

生産動向表

輸入動向

 財務省の貿易統計によると、令和7年5月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+0.8千トンの48.5千トン、国別ではブラジルが前月+3.3千トンの33.7千トン、タイが▲2.8千トンの14.0千トンとなった。(独)農畜産業振興機構(ALIC)によると今後の見通しでは、輸入量は6月が50.1千トン(前年比101.5%)と増加するも、7月は45.1千トン(同87.0%)と減少する予測である。要因としては「6月は外食や中食などの好調な需要を背景に、輸入量の増加が見込まれること等から、前年同月をわずかに上回る一方、7月はタイ産の船積遅れ等から、前年同月をかなり大きく下回ると予測する。なお、3カ月平均では、前年同期をかなりの程度下回ると予測する。」と報告されている。
 令和7年5月の鶏肉調整品の輸入量は43.3千トンと前月並み。国別では中国が▲1.6千トンの15.3千トン、タイが+1.8千トンの26.8千トンとなった。国内の働き手不足やコロナ禍が明けた影響による外食筋の回復、共働き世帯の増加に伴い中食・総菜向け等の引き合いも継続している。
 (株)食品産業新聞社発行の畜産日報によると、5月の輸入鶏肉(モモ肉)の価格はブラジル産で460円/kgから490円/kg(前年加重価格390円/kg)、タイ産が500円/kg中心(同420円/kg)となっている。要因としては「これまでブラジルの船積み数量が少なかったことに加え、先般のHPAI発生を受け、市中はややタイト感が出ている。タイ産は他国からの引合い増加で、オファーがほとんど出てこない状況が続いている。」と報告されている。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和7年5月の生鮮肉消費(購入)は数量4,205g(前年比99.6%)、金額6,986円(同104.5%)と、金額は前年を上回ったものの、数量は前年を下回った。鶏肉は数量1,564g(同99.7%)・金額1,664円(同105.0%)・単価106.4円/100g(前年同月+5.4円)と金額・単価ともに前年を上回ったものの、数量は前年を下回った。また、牛肉は数量・金額ともに前年を下回る結果となった。要因としては輸入牛肉の価格高騰によるものではないかと考える。豚肉は前月に引き続き為替による高値基調により、金額は前月を上回った。調理食品は共働き世帯の増加に伴う需要は底堅いようだ。外食においては、ほぼコロナ禍前の水準程度まで回復したものの、統計外となるインバウンドによる集客もあることからエリア・業態によって濃淡があるようだ。

量販

 一般社団法人全国スーパーマーケット協会の販売統計調査によると、令和7年5月の食品売上高は全店ベースで前年比105.0%と前年を上回り、生鮮3部門の売上高は全店ベースで同102.3%、既存店ベースは同101.0%。畜産部門の売上高は約1,272億円で全店ベース同104.4%、既存店ベース同102.9%となった。また同社が取りまとめたスーパーマーケット景気動向調査によると、「全般的に相場高が続き、豚肉・鶏肉への需要シフトが継続しているが、前年からの反動もあり改善傾向がみられた。牛肉は依然として厳しい状況が続くものの、切り落としや味付肉など低価格・簡便な商材は好調に推移した。連休・母の日のステーキ・焼肉などハレの日関連は好不調が分かれた。国産豚の価格上昇が続く一方、前年不振だった輸入豚が好調に推移した。鶏肉はブラジルの鳥インフルエンザの影響もあり高騰傾向が続き、利益確保に悩む店舗が多くなっている。」と報告されている。

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和7年5月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比102.3%の4.7千トンとなった。うち国内品は同102.0%の3.8千トン、輸入品については同103.3%の0.9千トンとどちらも前年を上回った。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の5月末時点推定期末在庫では国産27.0千トン(前年比74.4%)、輸入品128.2千トン(同97.8%)、合計で155.2千トン(同92.7%)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、5月の出回り量は国産144.3千トン(前年比98.6%・前月差▲5.0千トン)、輸入品47.8千トン(同97.0%・同▲3.7千トン)、合計192.1千トン(同98.2%・同▲8.8千トン)となり、前月からは国産・輸入ともに出回り量は減少した。6月以降の出回り量は「6月、7月ともに前年同月をわずかに上回ると予測する。期末在庫は、6月はかなりの程度、7月はかなり大きく、いずれも前年同月を下回ると予測する。なお、過去5カ年の同月平均との比較でも、6月はやや、7月はかなりの程度、いずれも下回る(6月:3.0%減、7月:6.9%減)と予測する。」と報告されている。

在庫状況表

鶏卵情勢(令和7年7月)

生産動向

 6月は高病原性鳥インフルエンザの発生は採卵鶏では見られず、野鳥での発生も6月17日の北海道のみ、19道県227事例となった。これを受けて、農林水産省は高病原性鳥インフルエンザの清浄化宣言を開始し、日本が清浄国となったことを発表した。
 5月の餌付け羽数は、全国で8,845千羽(前年同月比111.6%)と前年を上回った。エリア別では東日本が前年比118.2%、西日本は前年比103.9%と各エリアとも5カ月連続で前年を上回った。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数
エリア別鶏卵生産量

消費動向

家計消費

 2025年5月の鶏卵の一人当たり家計消費量は920g(前年同月比98.2%)と、前年を下回った。5月も卵価は高止まりとなり前年同月比166%の相場水準となったことや原材料費等のコスト増高に伴う価格転嫁の動きが進み、依然高水準ではあるものの一定程度家計消費量への影響が出始めたと考えられる。
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 5月のドレッシング類原料卵の消費量については、前年同月比107.4%と前年を上回った。5月累計でも前年比102.1%と堅調な推移となっている。
 5月の外食全体の売上高は前年同月比110.8%となった。大型連休による家族需要、インバウンド需要が引き続き好調であったこと、大阪周辺では、大阪・関西万博の集客効果が働いた。
 5月の訪日外客数は3,693千人(前年同月比121.5%)となった。祝日やスクールホリデーに合わせた訪日需要が見られたことから、5月として過去最高であった2024年3,040千人を大きく上回り単月過去最高を記録した。
外食産業業態別売上高
訪日外客数
鶏卵の一人当り家計消費量

輸入・輸出動向

 2025年5月の鶏卵類輸入通関実績は2,649トン(前年同月比98.6%)と前年同月を下回った。ただし落ち幅は限定的であり、4月までの国内需給の逼迫から、殻付卵は輸入が大幅に増加している。
 同月の殻付き卵輸出実績は、前月と比較し国内の需給も緩んだことから一部では出荷が再開となり、1,763トン(前年同月103.7%)と前年を上回った。

鶏卵類輸入通関実績
殻付卵輸出実績

価格動向

 6月の東京相場Mサイズ基準値平均は340円/kg(前年同月比+140円/kg、前月比±0円/kg)となった。供給面において、2月1日に千葉県にて高病原性鳥インフルエンザが発生してから、家禽では約5ヶ月以上高病原性鳥インフルエンザは発生していないものの、842万羽の殺処分の影響は継続しており、稼働羽数が減少していることから、生産量は低位に推移している。気温の上昇により一部では大玉の発生が低下している。需要面において、量販筋と外食筋では急な気温の上昇からか定番の数量に落ち着きが見られた。加工筋では、前月に続き在庫確保のため引き合いが強いが、スポット集荷の依頼は徐々に落ち着きを見せている。以上の状況から4月24日から6月31日まで保合となっている。
 今後について、供給面は7月に最も稼働羽数が少なくなることが予想され、生産量は低位のまま推移し、気温の上昇からさらに大玉の発生が減少することが考えられる。需要面において、量販筋では、夏場の食欲低下により需要の落ち込みが予想される。外食筋では、各社プロモーションを展開するため、大きな需要の減退はないことが考えられる。加工筋では依然から在庫確保に動いていたこともあり、定番分は維持しつつも、スポット集荷は減少傾向となることが見込まれる。
 以上のことから、今後の鶏卵相場はサイズ間調整となることが考えられる。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
販売実績数量

その他

(1)鶏卵生産者経営安定対策事業加入者の販売実績数量
販売実績数量
(2)鶏卵基金標準取引価格と補填単価
取引価格と補填価格
(3)2024年度鳥インフルエンザ発生状況について
①国内養鶏場での発生状況
 5月31日時点で14道県、51事例の発生(採卵鶏約842万羽)。
(北海道、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、茨城県、新潟県、愛知県、岐阜県、島根県、香川県、愛媛県、宮崎県、鹿児島県)
②野鳥での発生状況
 6月27日時点で19道県、227事例の発生。
(北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、福島県、新潟県、埼玉県、千葉県、長野県、福井県、愛知県、滋賀県、鳥取県、徳島県、高知県、福岡県、熊本県、鹿児島県)

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