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相場情報

全国食鳥新聞社サイトの鶏肉荷受相場、JA全農たまごが発表する鶏肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食鳥情勢(令和7年1月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和6年11月末実施)によると、11月の推計実績は処理羽数62,343千羽(前年比99.1%)、処理重量189.8千トン(同99.1%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は前月予測から0.5%上方修正、処理重量は1.3%上方修正となった。九州エリアが前年から処理羽数ベースで数値を伸ばしており、順調な生産状況だったようだ。
 12月の計画処理羽数・処理重量ともに前年を下回る予想となっており、前月予想から処理重量ベースで2.1%下方修正となっている。昼夜の温度差による飼育管理が難しいことも影響しているのではないだろうか。土・日・祝日数は前年から1日減り9日間。1月については、土・日・祝日が前年と同じ10日間。処理羽数・処理重量ともに前年を上回る見通しだ。前月予想から処理重量ベースで0.8%上方修正となっている。一部産地で脚弱・大腸菌症が発生しているものの、概ね順調な生産状況のようだ。しかし、高病原性鳥インフルエンザの影響により今後処理羽数は減少することが懸念される。工場の人員不足については外国人技能実習生が都市部への就業に集中していることに加え、来日が遅れている産地が一部あるようだ。また、従業員の高齢化もあり人員確保が難しくなっているとの声も聞かれる。副産品(小肉・剣状軟骨など)や機械で加工することが難しい手羽中半割といった加工品の調整を行っている産地もあるようだ。この傾向は暫く続く見通しだ。

生産動向表

輸入動向

 財務省12月26日公表の貿易統計によると、令和6年11月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から▲10.3千トンの52.0千トン、国別ではブラジルが前月▲7.7千トンの35.7千トン、タイが▲2.5千トンの15.4千トンとなった。(独)農畜産業振興機構(ALIC)による今後の見通しでは、輸入量は12月が52.0千トン(前年比101.9%)、1月は47.4千トン(同86.7%)となっている。食料品全般の値上がりや消費者の生活防衛意識の高まりなどから、比較的安価な輸入鶏肉の需要が増加することを見越し、積極的に在庫を抱えている業者もあるようだ。また、主要輸出国であるブラジル・タイの国内需要の高まりに加え、中東方面の需要も高まっていることから、輸出国での余剰感はあまり無い。ただし、不透明な為替動向や他国の輸入状況次第では状況が変化する可能性はある。
 鶏肉調整品の輸入量は、前月から▲1.7千トンの46.2千トンで国別では中国が+1.4千トン、タイが▲2.9千トンとなった。前年同月実績46.6千トンとの差は▲0.4千トンとなり、前年比では下回る結果となった。国内の働き手不足やコロナ禍が明けた影響による外食筋の回復、共働き世帯の増加に伴う中食・総菜向け等の引き合いも継続している。冷食関係でも輸入鶏肉を使用したメニューが増えており、鶏肉調整品自体の需要も高い水準を維持している。今後は価格次第では国内需要も見据え輸入量が拡大する可能性がある。
 財務省12月26日公表の貿易統計によると、11月の輸入鶏肉(解体品)の価格は前年同月より+2.2%となった。解体品の国別価格は、ブラジル産の輸入価格が333.8円/kg(前月比+18円)、タイ産が453円/kg(同+29円)となっている(国別平均価格)。為替が円安に推移していることや、ブラジル・タイの国内需要の高まりから価格上昇したと考える。中国がブラジルからの輸入量を前年から絞っているものの、中東向けが増加傾向にある。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和6年11月の生鮮肉消費(購入)は数量4,279g(前年比104.6%)、金額6,650円(同99.8%)と、重量は前年を上回り、金額は前年を下回った。鶏肉は数量1,586g(同105.2%)・金額1,629円(同103.8%)・単価102.7円/100g(前年同月▲1.3円)と、数量・金額は前年を上回ったものの、単価は前年を下回った。これは購入単価が高いモモ肉から比較的安価なムネ肉へシフトしたことや、ディスカウントストアなどの価格が低く抑えられた店舗での購入機会が増加したためではないだろうか。調理食品が金額12,853円(同100.1%)、外食が16,205円(同108.3%)となっている。畜産の購入数量は牛肉・豚肉・鶏肉いずれも前年を上回る結果となった。輸入品含めた牛肉・豚肉の高騰が続いたことから安価な鶏肉へのシフトが進んでいると推察される。調理食品は共働き世帯の増加に伴う需要は底堅いようだ。外食においては、ほぼコロナ禍前の水準程度まで回復したものの、統計外となるインバウンドによる集客もあることからエリア・業態によって濃淡があるようだ。

量販

 一般社団法人全国スーパーマーケット協会の販売統計調査によると、令和6年11月の食品売上高は全店ベースで前年比106.1%と前年を上回った。生鮮3部門の売上高は全店ベースで同106.1%、既存店ベースは同104.4%となった。また、畜産部門の売上高は約1,258億円で全店ベース同104.8%、既存店ベース同103.0%となった。同社が取りまとめたスーパーマーケット景気動向調査によると「牛肉や輸入肉は相場高が継続するなか、豚肉や鶏肉を中心に好調となった。牛肉は切り落としや小間切れなどが販売の中心となっており、不振が続く。中旬以降、気温が低下したことで鍋関連の動きがよく、スライスやしゃぶしゃぶ用の国産豚肉、鶏肉が好調となった。鶏肉には、前年高病原性鳥インフルエンザ発生からの反動増もみられたが、今年も影響を懸念する声が聞かれ始めた。加工肉は高値傾向で不振が続いているとのコメントが多い。」とコメントがあった。鍋物商材などの季節商品の動きが良かったようだ。

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和6年11月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比101.5%の4.8千トンとなった。うち国内品は同109.7%の3.9千トンと前年を上回り、輸入品については同76.6%の0.9千トンと前年を下回った。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の11月末時点推定期末在庫では国産30.8千トン(前年比99.7%・前月差▲1.4千トン)、輸入品139.3千トン(同116.1%・同▲1.8千トン)と合計で170.1千トン(同112.8%・同▲3.2千トン)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、11月の出回り量は国産145.7千トン(前年比100.0%・前月差▲2.9千トン)、輸入品53.8千トン(同107.2%・同▲3.9千トン)と合計で199.4千トン(同101.8%・同▲7.0千トン)となった。前月からは国産・輸入品が共に減少しているが、脚弱や大腸菌症発生などから生産が振るわなかったこともあり、不足感が強い1ヶ月だった。11月以降の国産品在庫については年末用の凍結在庫の消化が進み、一時的に減少していくと予想する。輸入品については1月の輸入量が昨年ブラジルで発生した高病原性鳥インフルエンザからの回復で急増したこともあり、相対的に前年から減少しているものの、日本国内の需要が堅調なことから輸入量は安定して推移すると予測する。在庫は増加傾向にあるものの、外食筋・加工筋の引き合いがあるため、急増することは考えにくい。

在庫状況表

鶏卵情勢(令和7年1月)

生産動向

 12月は、年末の需要期に合わせた生産体制となったが、全国的に発生している高病原性鳥インフルエンザの影響により、西日本エリアは12月半ば頃までひっ迫した状況が続いた。また、東日本エリアでは12月以降高病原性鳥インフルエンザが頻発し、非常に厳しい状況となった。高病原性鳥インフルエンザの発生状況として、1月15日時点で14道県29事例発生し、約489万羽(うち採卵鶏は約438.4万羽)が殺処分の対象となっている。1月に入っても発生が相次いでおり、引き続き鶏卵供給への影響が懸念される。
 11月の餌付け羽数は、全国計で7.320千羽(前年同月比93.2%)となり、前年を下回った。尚、エリア別では東日本が前年比89.0%、西日本が前年比98.5%となり、東日本では今年初めて90%を下回る結果となった。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数
エリア別鶏卵生産量

消費動向

家計消費

 2024年11月の鶏卵の一人当たり家計消費量は887g(前年同月比101.3%)と、前年を上回る結果となった。11月以降、鶏卵相場は前年を上回る形で推移しており、前年よりも売価帯が高くなっているが、家計消費量は落ち込まなかった。今後も家計消費量への影響を注視したい。
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 11月のドレッシング類原料卵の消費量については、前年同月比96.9%と3ヶ月連続で前年を下回る結果となった。
 11月の外食全体の売上高は前年同月比110.5%となった。ファストフード業態やファミリーレストラン業態を中心に各社たまごを使用したメニューのプロモーションや引き続き好調な訪日外客数に支えられ、堅調に推移した。また、気温が下がったことで鍋など温かいメニューの注文も増えたこと、飲酒業態は休日の多い曜日回りがプラスとなったほか、大きめの宴会の件数も緩やかに回復している。
 11月の訪日外客数は3,187千人(前年同月比130.6%)と10ヶ月連続で同月過去最高を更新した。また、11月までの累計は33,380千人となり、これまで過去最高であった2019年の年間累計を上回った。航空便数が2024年冬ダイヤ時点において2019年と同等の水準まで回復している中、先月に引き続き紅葉シーズンによる訪日需要の高まりにより、中国、韓国、台湾、米国などで前年同月に比べて訪日外客数が増加したことが押し上げの要因となった。
外食産業業態別売上高
訪日外客数
鶏卵の一人当り家計消費量

輸入・輸出動向

 2024年11月の鶏卵類輸入通関実績は1,954トン(前年同月比65.2%)となった。2024年4月以降、前年を大きく下回る形で推移しているものの、高病原性鳥インフルエンザ発生時のリスクヘッジの観点から、一部国外調達が継続していると考えられる。
 同月の殻付き卵輸出実績は1,990トン(前年同月比107.1%)と4ヶ月連続で前年を上回ったが、2022年比では72.6%にとどまっている。

鶏卵類輸入通関実績
殻付卵輸出実績

価格動向

 12月の東京相場Mサイズ基準値平均は290円/kg(前年同月比+43円/kg、前月比+9円/kg)となった。供給面において、気温の低下による産卵率及び個卵重の増加やB卵の発生率の低下により、生産量は増加傾向にあった。しかし、年末年始にかけて高病原性鳥インフルエンザが多発したことで、供給量が大きく減少した。需要面において、量販筋では働き方改革の影響もあり、年始に休業する量販店が多くみられ、駆け込み需要もあったことで年末の最終週は発注量が増加した。また、外食筋では忘年会や新年会などの宴会需要により引き合いが強かった。12月3日の上伸以降保合のまま止市を迎え、2025年の初市相場は225円/kgと65円の下落でスタートした。
 今後について、供給面は年始の滞貨玉により現時点では大きく需給が揺らいではいないものの、非常に早いペースで高病原性鳥インフルエンザが発生していることから、供給不足となることが懸念される。需要面において、訪日外客数が増加傾向にありインバウンド需要が高まってきているが、量販筋などは年始から好材料に乏しい状態となっている。
 以上のことから、需要の増加は見込めないが、広域に発生している高病原性鳥インフルエンザの影響に加え、餌付け羽数が減少し飼養羽数が1億3000万羽を切ることから、さらなる供給量の低下が予想されるため、今後の鶏卵相場は上伸で推移すると予想される。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

その他

(1)鶏卵生産者経営安定対策事業加入者の販売実績数量
販売実績数量
(2)鶏卵基金標準取引価格と補填単価
取引価格と補填価格
(3)2024年度鳥インフルエンザ発生状況について
①国内養鶏場での発生状況
 1月15日時点で14道県、29事例の発生(採卵鶏約438.4万羽)。
 (北海道、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、茨城県、新潟県、愛知県、岐阜県、島根県、香川県、愛媛県、宮崎県、鹿児島県)
②野鳥での発生状況
 1月15日時点で16道県、97事例の発生。
 (北海道、岩手県、秋田県、宮城県、福島県、新潟県、埼玉県、千葉県、福井県、愛知県、滋賀県、鳥取県、徳島県、高知県、福岡県、鹿児島県)

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