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相場情報

全国食鳥新聞社サイトの鶏肉荷受相場、JA全農たまごが発表する鶏肉相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食鳥情勢(令和7年4月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和7年3月末実施)によると、2月の推計実績は処理羽数58,897千羽(前年比97.2%)、処理重量179.2千トン(同97.2%)となった。処理羽数は前月時点の計画値95.9%より1.3%の上方修正となった。産地からの報告では2月は寒さの影響による増体不良で農場によって成績のバラつきが大きく商品化率が低下し、工場廃棄が増加したとのこと。
 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和7年3月末実施)によると、3月は前月時点の予測よりも処理羽数が2.4%上方修正、処理重量は0.2%上方修正の見通しで、処理羽数は前年増の一方、処理重量は前年割れと、寒さによる増体不良の影響が見込まれるとのこと。4月は処理羽数、処理重量ともに前月予測から上方修正される。しかし、処理羽数は前年同月比0.1%減、処理重量は同1.3%減の見込みとなるようだ。5月は処理羽数前年同月比0.8%増、処理重量は同1.0%減の予測である。工場の人員不足については外国人技能実習生が都市部への就業に集中しており働き手の足りない産地が多いとのこと。また、従業員の高齢化もあり人員確保が難しくなっているとの声も聞かれる。副産品(小肉・剣状軟骨など)や機械で加工することが難しい手羽中半割といった加工品の調整を行っている産地もあり、この傾向は暫く続く見通しだ。

生産動向表

輸入動向

 財務省の貿易統計によると、令和7年2月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から▲4.6千トンの47.7千トン、国別ではブラジルが前月▲6.1千トンの31.5千トン、タイが+1.4千トンの15.5千トンとなった。日本経済新聞によると、2月の鶏肉輸入量が前月よりも大幅に減少した背景にはアジア圏で主要産地であるブラジル産の鶏肉の買い意欲が高まり、日本勢の調達が難しくなったことにあるとのこと。(独)農畜産業振興機構(ALIC)によると今後の見通しでは、輸入量は3月が43.1千トン(前年比81.9%)、4月は42.9千トン(同82.5%)と減少していく予測である。世界的に鶏肉への需要が高まり、値上がり基調が続くことが予想され、日本への輸入がより難しくなっていくと考えられる。
 鶏肉調整品の輸入量は、前月から▲4.8千トンの33.8千トンで国別では中国が▲3.5千トンの10.5千トン、タイが▲1.1千トンの22.7千トンとなった。前年同月実績(34.3千トン)から▲0.5千トン下回る結果となった。国内の働き手不足やコロナ禍が明けた影響による外食筋の回復、共働き世帯の増加に伴い中食・総菜向け等の引き合いも継続している。しかし、主要国である中国では、鶏肉調製品生産量は増加傾向にあるものの、自国内での需要も増加しているため日本への輸出量が減少している。
 (株)食品産業新聞社発行の畜産日報によると、2月の輸入鶏肉(モモ肉)の価格はブラジル産で400円/kgから420円/kg(前年加重価格360円/kg)、タイ産が450円/kg(同400円/kg)となっている。為替が円安に推移し続けている影響や中東だけでなくアジア圏の国々から需要が増加傾向にあることによって価格が上昇したと予測する。また、輸入品は先の入荷が少ないと予測されているため価格は上げ基調が続いている。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和7年2月の生鮮肉消費(購入)は数量3,947g(前年比93.1%)、金額6,290円(同97.4%)と、数量・金額ともに前年を下回った。鶏肉は数量1,499g(同94.6%)・金額1,601円(同99.8%)・単価106.8円/100g(前年同月+5.5円)と、数量・金額は前年を下回ったものの、単価は前年を上回った。また、牛肉と豚肉も数量・金額ともに前年を下回る結果となった。日本経済新聞によると、コメや野菜が高騰しているため割高な牛肉を購入する余裕がなく需要が減少したと考えられるとのこと。豚肉も前月に引き続き為替による高値基調によって需要家からの積極的な引き合いが乏しくなった。調理食品は共働き世帯の増加に伴う需要は底堅いようだ。外食においては、ほぼコロナ禍前の水準程度まで回復したものの、統計外となるインバウンドによる集客もあることからエリア・業態によって濃淡があるようだ。

量販

 一般社団法人全国スーパーマーケット協会の販売統計調査によると、令和7年2月の食品売上高は全店ベースで前年比103.5%と前年を上回った。生鮮3部門の売上高は全店ベースで同103.2%、既存店ベースは同102.2%となった。また、畜産部門の売上高は約1,185億円で全店ベース同100.7%、既存店ベース同99.7%となった。同社が取りまとめたスーパーマーケット景気動向調査によると「引き続き全般的に相場高が継続しており、部門としての伸び悩みと鶏肉への需要シフトが続いている。牛肉は引き続き、価格が抑えられる切り落としや小間切れなどが販売の中心となったが前年並みを確保した。豚肉は国産豚の価格上昇もあり伸び悩んだ。鶏肉は気温低下による鍋需要も追い風に好調となった店舗が多い。ハムなどの加工肉は回復傾向となるも、価格競争の厳しさを指摘するコメントがみられた。」とのこと。消費者の節約志向は引き続き高いようだ

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和7年2月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比91.7%の4.0千トンとなった。うち国内品は同92.1%の3.3千トン、輸入品については同90.3%の0.7千トンとどちらも前年を下回った。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の2月末時点推定期末在庫では国産25.7千トン(前年比73.8%・前月差▲0.5千トン)、輸入品139.2千トン(同112.1%・同+0.06千トン)と合計で164.9千トン(同103.7%・同▲0.5千トン)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、2月の出回り量は国産137.2千トン(前年比97.4%・前月差▲5.2千トン)、輸入品47.6千トン(同83.4%・同▲0.5千トン)と合計で184.9千トン(同93.4%・同▲5.6千トン)となった。前年からは国産・輸入ともに出回り量は減少している。前年と比べて国内の生産処理重量は減少しており、輸入量も前年に比べて大幅に減少しているため、2月は不足感が強い1ヶ月であった。2月以降の国産品在庫については暖かくなり処理重量が増加し、国産の在庫が徐々に増加していくと予想する。輸入品については価格が高騰していることから在庫はあまり減少しないと予測する。在庫は国産の処理重量が増加すると考えるが、輸入品の日本への入りが少ないことから急増することは考えにくい。

在庫状況表

鶏卵情勢(令和7年4月)

生産動向

 3月の高病原性鳥インフルエンザの発生は、採卵鶏での発生はないものの、4月8日時点、野鳥での発生は18道県164事例にものぼり、依然として予断を許さない状況が続いている。
 2月の餌付け羽数は、全国で8,271千羽(前年同月比101.6%)と前年を上回った。2024年1月~12月の累計では全国で前年比93.9%と年間での餌付け羽数は減少傾向であったが、2月餌付け羽数のエリア別では東日本が前年比118.5%、西日本は前年比101.1%となった。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数
エリア別鶏卵生産量

消費動向

家計消費

 2025年2月の鶏卵の一人当たり家計消費量は860g(前年同月比96.5%)と、前年を下回った。高卵価に伴う家計消費の顕著な落ち込みは見られないものの、昨年から発生した採卵鶏での高病原性鳥インフルエンザの感染拡大に伴い、各メディアでの報道や店頭価格の見直しを控えていることから、今後の家計消費量への影響が懸念される。
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 2月のドレッシング類原料卵の消費量については、前年同月比98.8%と前年を下回った。
 2月はうるう年だった前年より1日少なかったことや、価格改定による客単価上昇等も影響したが、雨天日が少なかったこと、各社各様の販促キャンペーンやインバウンド需要も好材料となり、外食全体の売上は前年比106.0%となった。物価高騰が続く中で、価格据え置き等低価格を売りにしたブランドやキャンペーンが好調を継続している。
 2月の訪日外客数は3,258,100人(前年同月比116.9%)となった。2月として過去最高であった2024年の2,788,224人を大きく上回り同月過去最高を記録し、また2月として初めて300万人を突破した。一部市場において旧正月(春節)休暇が2月初旬まで続き、旅行需要の高まりがみられた他、前月に引き続きスノー需要が高まる時期である中、豪州と米国を中心に訪日外客数が増加したことが、今月の押し上げ要因となった。
外食産業業態別売上高
訪日外客数
鶏卵の一人当り家計消費量

輸入・輸出動向

 2025年2月の鶏卵類輸入通関実績は1,999トン(前年同月比127.7%)となり、3ヵ月連続で前年を上回った。2月も高病原性鳥インフルエンザ発生時のリスクヘッジの観点から、一部国外調達が継続していると考えられる。
 同月の殻付き卵輸出実績は1,630トン(前年同月比103.5%)と7ヶ月連続で前年を上回った。

鶏卵類輸入通関実績
殻付卵輸出実績

価格動向

 3月の東京相場Mサイズ基準値平均は327円/kg(前年同月比+116円/kg、前月比+12円/kg)となった。供給面において、高病原性鳥インフルエンザの影響により稼働羽数が大幅に減少し、生産量は低位に推移している。特に気温の低下により、小玉の供給量が減少している。需要面において、量販筋は相場高騰の影響で落ち着きが見られた。外食筋では大手ファストフードチェーン店のプロモーションによる集荷が続き、加工筋では在庫確保のため引き合いが強かった。以上の状況から3月11日に上伸の展開となった。
 今後について、供給面は高病原性鳥インフルエンザの影響により、生産量は継続して不足することが予想される。需要面において、大型連休に向けた行楽需要の盛り上がりや、昨年度より増加傾向にあるインバウンド需要によって、引き合いが強くなる一方で、量販筋では相場が高止まりしたことによってある程度需要が縮小し、外食筋での大手ファストフードチェーン店のプロモーションは4月中旬に終了するため、需要の落ち込みが予想される。
 以上のことから、今後の鶏卵相場は例年通りの推移となることが考えられる。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

その他

(1)鶏卵生産者経営安定対策事業加入者の販売実績数量
販売実績数量
(2)鶏卵基金標準取引価格と補填単価
取引価格と補填価格
(3)2024年度鳥インフルエンザ発生状況について
①国内養鶏場での発生状況
 4月8日時点で14道県、51事例の発生(採卵鶏約842万羽)。
 (北海道、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、茨城県、新潟県、愛知県、岐阜県、島根県、香川県、愛媛県、宮崎県、鹿児島県)
②野鳥での発生状況
 4月8日時点で18道県、164事例の発生。
 (北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、福島県、新潟県、埼玉県、千葉県、長野県、福井県、愛知県、滋賀県、鳥取県、徳島県、高知県、福岡県、鹿児島県)

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