相場情報
食鳥情勢(令和7年2月)
生産動向
生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和7年1月末実施)によると、12月の推計実績は処理羽数67,605千羽(前年比99.1%)、処理重量206.9千トン(同99.9%)となった。前月時点の計画値より処理羽数は前月予測から2.4%上方修正、処理重量は0.8%上方修正となった。関東以西のエリアにて前年から処理羽数を落としているようだ。
1月は計画処理羽数・処理重量ともに前年を上回る予想となっており、前月予想から処理重量ベースで1.0%上方修正となっている。産地により濃淡はあるようだが、全国的には順調のようだ。土・日・祝日数は前年同数で10日間。2月については、土・日・祝日数が前年と同じ10日間だが、前年はうるう年のため処理日ベースでは1日少ない産地が多いようだ。処理羽数・処理重量ともに前年を下回る見通しだ。前月予想から処理重量ベースで1.7%下方修正となっている。産地別に見ると九州エリアの処理羽数が前年から落ち込む見通しだ。工場の人員不足については外国人技能実習生が都市部への就業に集中していることに加え、来日が遅れている産地が一部あるようだ。また、従業員の高齢化もあり人員確保が難しくなっているとの声も聞かれる。副産品(小肉・剣状軟骨など)や機械で加工することが難しい手羽中半割といった加工品の調整を行っている産地もあるようだ。この傾向は暫く続く見通しだ。
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輸入動向
財務省1月23日公表の貿易統計によると、令和6年12月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から▲2.1千トンの49.9千トン、国別ではブラジルが前月▲1.4千トンの34.3千トン、タイが▲0.5千トンの14.9千トンとなった。(独)農畜産業振興機構(ALIC)による今後の見通しでは、輸入量は1月が50.9千トン(前年比93.1%)、2月は45.3千トン(同81.7%)となっている。食料品全般の値上がりや消費者の生活防衛意識の高まりなどから、比較的安価な輸入鶏肉の需要が増加することを見越し、積極的に在庫を抱えている業者もあるようだ。また、主要輸出国であるブラジル・タイの国内需要の高まりに加え、中東方面の需要も高まっていることから、輸出国での余剰感はあまり無い。ただし、不透明な為替動向や中国のブラジルからの輸入量が自国の生産が順調であることが影響し減少しているため、他国の輸入状況次第では状況が変化する可能性はある。
鶏肉調整品の輸入量は、前月から▲0.6千トンの45.6千トンで国別では中国が▲1.0千トン、タイが+0.3千トンとなった。前年同月実績44.3千トンとの差は+1.3千トンとなり、前年比では上回る結果となった。国内の働き手不足やコロナ禍が明けた影響による外食筋の回復、共働き世帯の増加に伴う中食・総菜向け等の引き合いも継続している。冷食関係でも輸入鶏肉を使用したメニューが増えており、鶏肉調整品自体の需要も高い水準を維持している。今後は価格次第では国内需要も見据え輸入量が拡大する可能性がある。
財務省1月23日公表の貿易統計によると、12月の輸入鶏肉(解体品)の価格は前年同月より+10.2%となった。解体品の国別価格は、ブラジル産の輸入価格が322.3円/kg(前月比▲11円)、タイ産が446円/kg(同▲7円)となっている(国別平均価格)。為替が12月頭に円高に推移した影響や、ブラジルの主要輸入国の一つである中国の輸入量減少が影響し、価格が下落したと予測する。しかし、中東向けが増加傾向にあることや、生産国の自国消費も増加しているため、急激な下落は暫く無いのではないだろうか。
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消費動向
家計
総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和6年12月の生鮮肉消費(購入)は数量4,698g(前年比94.4%)、金額8,895円(同102.4%)と、重量は前年を下回り、金額は前年を上回った。鶏肉は数量1,801g(同95.5%)・金額1,993円(同102.2%)・単価110.7円/100g(前年同月+7.2円)と、数量は前年を下回ったものの、金額・単価は前年を上回った。これは鍋物需要等から購入単価が高いモモ肉に需要が集中したことに加え、量販店の店頭売価が上がったことが影響していると予測する。調理食品が金額17,078円(同103.2%)、外食が16,882円(同104.5%)となっている。畜産の購入数量は牛肉・豚肉・鶏肉いずれも前年を下回ったが、金額はいずれの畜種も上回る結果となった。輸入品を含めた高騰が続いたことから数量は減少したと予測する。調理食品は共働き世帯の増加に伴う需要は底堅いようだ。外食においては、ほぼコロナ禍前の水準程度まで回復したものの、統計外となるインバウンドによる集客もあることからエリア・業態によって濃淡があるようだ。
量販
一般社団法人全国スーパーマーケット協会の販売統計調査によると、令和6年12月の食品売上高は全店ベースで前年比104.8%と前年を上回った。生鮮3部門の売上高は全店ベースで同105.2%、既存店ベースは同104.2%となった。また、畜産部門の売上高は約1,523億円で全店ベース同103.1%、既存店ベース同102.0%となった。同社が取りまとめたスーパーマーケット景気動向調査によると「引き続き牛肉や輸入肉の相場高が継続するなか、豚肉や鶏肉を中心に好調となった。牛肉は、年末にブランド牛に動きもみられたが、切り落としや小間切れなどが販売の中心となり、ステーキや焼肉関連は不振が続く。スライスやしゃぶしゃぶ用の国産豚肉は回復傾向がみられたが、鍋関連は水産へのシフトを指摘するコメントも。鶏肉は鳥インフルエンザの動向を懸念する声が聞かれた。加工肉は高値傾向で不振が続いている。」とコメントがあった。消費者の節約志向は高いようだ。
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加工筋
日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和6年12月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比95.6%の4.2千トンとなった。うち国内品は同104.0%の3.4千トンと前年を上回り、輸入品については同69.0%の0.7千トンと前年を下回った。
在庫状況
(独)農畜産業振興機構(ALIC)の12月末時点推定期末在庫では国産29.6千トン(前年比88.1%・前月差▲1.2千トン)、輸入品134.9千トン(同116.7%・同▲4.4千トン)と合計で164.5千トン(同110.2%・同▲5.6千トン)となった。
(独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、12月の出回り量は国産155.6千トン(前年比101.9%・前月差+9.9千トン)、輸入品54.3千トン(同98.3%・同+0.5千トン)と合計で209.9千トン(同100.9%・同+1.5千トン)となった。前月からは国産は増加、輸入品は減少している。生産はほぼ前年並みであったが出回り量が増加していることから需給は締まっていたと考える、特に中旬以降は不足感が強い1ヶ月だった。12月以降の国産品在庫については年末用の凍結在庫の消化も進み、生産量が需要に対して不足していることから減少していくと予想する。輸入品については昨年1月の輸入量が昨年ブラジルで発生した高病原性鳥インフルエンザからの回復で急増したこともあり、相対的に前年から減少しているものの、日本国内の需要が堅調なことから輸入量は安定して推移すると予測する。在庫は昨年と比較すると増加傾向にあるものの、外食筋・加工筋の引き合いがあるため、急増することは考えにくい。
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鶏卵情勢(令和7年2月)
生産動向
12月の餌付け羽数は、全国で8,800千羽(前年同月比97.5%)と8ヶ月連続で前年を下回った。また、2024年1月~12月の累計でも全国で前年比93.9%と年間で見ても餌付け羽数の減少が見られた。尚、エリア別では東日本が前年比96.0%であったのに対し、西日本は前年比91.5%と、西日本中心に生産意欲が低い結果となった。
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消費動向
家計消費
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業務・加工動向
12月の外食全体の売上高は前年同月比106.6%となった。12月は雨天が少なく天候に恵まれたうえ、年末帰省などの国内移動や単月で過去最高となる訪日外客数により、外食需要は好調であった。一方で、仕事納めが27日となった曜日まわりにより、オフィス立地の飲酒業態などの売上はほぼ横ばいとなった。
12月の訪日外客数は3,489,800人(前年同月比127.6%)と過去最高であった2024年10月の3,312,193人を上回り、単月過去最高を記録した。スクールホリデーのほかクリスマス・年末年始に合わせた旅行需要の高まりが多くの市場で見られ、1964年の統計開始以降、初めて単月として340万人を突破した。また、2024年の年間訪日外客数は36,869,900人と2023年比で147.1%となり、過去最高であった2019年の31,882,049人を約500万人上回り、年間の過去最高を更新した。
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輸入・輸出動向
2024年12月の鶏卵類輸入通関実績は2,403トン(前年同月比113.3%)となった。1~12月の累計では前年比60.9%と前年を大きく下回ったが、単月の実績では2023年11月以来、1年1ヶ月ぶりに前年を上回った。
同月の殻付き卵輸出実績は1,872トン(前年同月比108.6%)と5ヶ月連続で前年を上回った。
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価格動向
今後について、供給面は高病原性鳥インフルエンザの影響が長期化すると考えられ、餌付け羽数においても前年を下回る推移となっており、供給量が減少することが予想される。需要面は家計消費が堅調に推移しているが、特売の取り止めなど、高病原性鳥インフルエンザによる供給量の減少が原因で販売を抑制する動きが見られる。一方で、外食筋では大手ファストフードチェーン店でのプロモーションの集荷を開始することや、加工筋でも今後の高病原性鳥インフルエンザの発生を踏まえた集荷の動きが見られ、引き合いが強くなることから、需要の高まりが期待される。
以上のことから、需要面に好材料が多いが、供給量の増加は見込めないため、今後の鶏卵相場は強含みで推移すると予想される。
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その他
(1)鶏卵生産者経営安定対策事業加入者の販売実績数量
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(2)鶏卵基金標準取引価格と補填単価
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(3)2024年度鳥インフルエンザ発生状況について
2月11日時点で14道県、51事例の発生(採卵鶏約842万羽)。
(北海道、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、茨城県、新潟県、愛知県、岐阜県、島根県、香川県、愛媛県、宮崎県、鹿児島県)
②野鳥での発生状況
2月12日時点で17道県、113事例の発生。
(北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、福島県、新潟県、埼玉県、千葉県、福井県、愛知県、滋賀県、鳥取県、徳島県、高知県、福岡県、鹿児島県)