文字サイズ
標準
拡大

相場情報

全国食鳥新聞社サイトの鶏肉荷受相場、JA全農たまごが発表する鶏卵相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食鳥情勢(令和7年11月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和7年10月末実施)によると、9月の推計実績は処理羽数63,033千羽(前年比103.5%)、処理重量187.0千トン(同104.1%)となった。処理羽数が前年同月比103.5%で、前月時点の計画値から0.3%上方修正された。処理重量は同104.1%と、同じく前月時点の計画値から0.8%上方修正されている。産地からは、残暑が厳しく、前月に引き続き増体不良による歩留まりの低下や内臓廃棄が増加したという報告も多かったが、現在の育種は比較的暑さに強いようで熱死の発生は抑えられ比較的体重が乗った農場も多かったとのことであり、前月時点での予測をさらに上回る生産成績となったようだ。10月は中旬を過ぎて漸く暑さがやわらぎ、鶏の食欲も戻ってきているとのことだが、前半の残暑の影響もあり現時点での予測は処理羽数が前年同月比100.2%、処理重量は99.6%と、前月時点の予測からそれぞれ下方修正され、前年よりも処理重量は減少の見通しとなっている。11月も処理羽数、処理重量ともに前月予測から下方修正され、処理羽数は前年同月比98.8%、処理重量は97.2%と、前年同月よりそれぞれ減少の見込み。12月は処理羽数前年同月比+0.8%増加、処理重量は前年並みの予測となった。
 工場の人員については引き続き不足が課題となっている中、副産品(小肉・剣状軟骨など)・手羽中半割等の1.5次加工品は機械を導入し製造している産地が引き続き見られ、今後他産地にも広がっていくと予想される。

生産動向表

輸入動向

 財務省の貿易統計によると、令和7年9月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+8.2千トンの57.8千トン、国別ではブラジルが前月+5.8千トンの43.5千トン、タイが+1.8千トンの13.2千トンとなった。(独)農畜産業振興機構(ALIC)によると今後の見通しは、輸入量は10月は47.5千トン(前年比76.3%)、11月は49.8千トン(同95.7%)と10月・11月と減少する予測である。要因としては「輸入量は、10月は前年同月が6万トン越えと比較的多い状況であった中、主要輸入先の一つであるブラジルで発生した高病原性鳥インフルエンザによる生産や商流等への影響により、10月は大幅に、11月はやや、いずれも前年同月を下回ると予測する。なお、3カ月平均でも、前年同期をやや下回ると予測する。」とされている。
 令和7年9月の鶏肉調整品の輸入量は前月から+3.5千トンの45.0千トン、国別では中国が+2.3千トンの17.3千トン、タイが+1.3千トンの26.8千トンとなった。
 (株)食品産業新聞社発行の畜産日報によると、9月の輸入鶏肉(モモ肉)の価格はブラジル産で460円/kgから480円/kg(前年加重価格390円/kg)、タイ産が500円/kg中心(同450円/kg)となっている。要因としては「輸入品は、入船遅れなどの影響もあり、各社手元の在庫が少なく、市中はタイト気味。ブラジル産モモ正肉は唱え値も一段上げている。ブラジル産、タイ産ともに先物の入荷量も絞られてくるとみられ、年内は締まった展開が予想される。」と報告されている。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和7年9月の生鮮肉消費(購入)は数量4,065g(前年比97.5%)、金額6,519円(同103.3%)と、数量は前年を下回ったものの、金額は前年を上回った。鶏肉は数量1,441g(同94.4%)・金額1,599円(同109.0%)・単価110.9円/100g(前年同月+14.8円)と数量は前年を下回ったものの、金額・単価は前年を上回った。牛肉は数量・金額ともに下回った。一方豚肉は数量・金額ともに前年を上回った。

量販

 一般社団法人全国スーパーマーケット協会の販売統計調査によると、令和7年9月の食品売上高は全店ベースで前年比104.2%と前年を上回り、生鮮3部門の売上高は全店ベースで同102.8%、既存店ベースは同101.3%。畜産部門の売上高は約1,204億円で全店ベース同103.0%、既存店ベース同101.3%となった。また同社が取りまとめたスーパーマーケット景気動向調査によると、「相場の高騰傾向が続くなか、牛肉の低調と豚肉・鶏肉など値ごろ商品への需要シフトが続いているほか、前年より日曜日が少ない影響も受け伸び悩んだ。牛肉は高値が続き、国産を中心に買上点数が減少し苦戦傾向だが、猛暑によりBBQ、焼肉関連が好調に推移した店舗もみられた。豚肉は国産の価格高騰が続き、比較的安価な輸入豚が好調。鶏肉は価格高騰が続くなかでも比較的堅調に推移した。加工肉は不調とする店舗が多かった。利益確保が難しいとのコメントが多くみられた。」と報告されている。

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和7年9月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比107.3%の4.9千トンとなった。うち国内品は同103.2%の3.7千トン、輸入品については同122.4%の1.2千トンと国内品・輸入品ともに前年を上回る結果となった。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の9月末時点推定期末在庫では国産品33.9千トン(前年比102.2%)、輸入品130.3千トン(同95.4%)、合計で164.1千トン(同96.7%)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、9月の出回り量は国産品141.8千トン(前年比102.9%)、輸入品54.2千トン(同107.3%)、合計196.1千トン(同104.1%)となり、前月からは国産品・輸入品の出回り量が増加した。9月以降、「出回り量は、10月は前年同月をわずかに下回る一方、11月は前年同月をわずかに上回ると予測する。期末在庫は、10月はかなりの程度、11月はかなり大きく、いずれも前年同月を下回ると予測する。なお、過去5ヶ年の同月平均との比較では、10月はわずかに、11月はやや、いずれも下回る(10月:2.0%減、11月:5.9%減)と予測する。」とされている。

在庫状況表

鶏卵情勢(令和7年11月)

生産動向

 9月の餌付け羽数は、全国で8,351千羽(前年同月比115.4%)と前年を上回った。西日本は前年比113.6%と東海・中国・四国エリアで前年を大きく上回った。全国計において2024年1月から9月までの累計比は上回っているものの、2023年同月累計期間累計(75,864千羽)と比較すると同水準で推移している。
 10月は日中の気温は暖かいものの朝晩の気温低下により個卵重・産卵率は回復傾向となった。一方販売需要も徐々に回復し、産地在庫が小玉中心に低位な水準が続いた。高病原性鳥インフルエンザが各地で発生しており、今後の供給状況は不安定となる可能性もあり、より一層引き締まっていくことが予想される。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数
エリア別鶏卵生産量

消費動向

家計消費

 2025年9月の鶏卵の一人当たり家計消費量は841g(前年同月比95.0%)と前年を下回った。米を中心に他の食料品の値上げや高止まりが続いており、購入量の削減や食品節約志向が高まっているが、鶏卵にとって需要期に入るため消費回復に期待したい。
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 9月のドレッシング類原料卵の消費量については、前年同月比92.2%と2か月連続で前年を下回った。2025年1月から9月までの累計比は前年並みとなっている。
 9月の外食全体の売上高は前年同月比104.8%となった。夏休み明けの外食需要は落ち着き、物価高騰による節約志向が強まるが、低価格であるファーストフード業態の季節メニューや新商品が好調で全体の売上を押し上げる結果となった。
 9月の訪日外客数は3,266千人(前年同月比113.7%)となり、同月過去最高を更新した。また1月から9月までの累計では過去最速で3,000万人を突破した。
外食産業業態別売上高
訪日外客数
鶏卵の一人当り家計消費量

輸入・輸出動向

 2025年9月の鶏卵類輸入通関実績は2,883トン(前年同月比149,1%)と前年を上回った。殻付き卵や凍結卵白を中心に増え続けている。特に殻付き卵ではマレーシアが最も多くなっている。
 同月の殻付き卵輸出実績は、1,641トン(前年同月85.3%)と前年を大きく下回った。グアム、シンガポール向け出荷量が増えているが、香港向けが前年比82.9%と大きく下回った。アメリカ本土向けで約3年ぶりに出荷された。

鶏卵類輸入通関実績
殻付卵輸出実績

価格動向

 10月の東京相場Mサイズ基準値平均は326円/kg(前年同月比+51円/kg、前月比+6円/kg)となった。供給面において、徐々に気温が低下したことから産卵率と個卵重が回復傾向にある。需要面において、量販筋では季節需要の高まりから定番発注が堅調に推移している。外食筋では月見プロモーションが終了したことから、定番中心の取引となった。加工筋では高病原性鳥インフルエンザの発生以降、定期入荷量への影響を踏まえて集荷の動きが見られた。以上の状況から10月28日にM以下で上伸となった。
 今後について、供給面は需要の最盛期に向けて稼働羽数が増加していくものの、高病原性鳥インフルエンザの影響が懸念される。需要面において、量販筋では冬場の需要期に向けて、発注数量が徐々に増加していくことが予想される。外食筋では、秋冬メニューの開始や行楽需要を控え需要の伸長が期待される。加工筋では、高病原性鳥インフルエンザの発生に対するリスクヘッジから在庫確保に動くことが考えられる。
 以上のことから、今後の鶏卵相場は強含みとなることが予想される。
JA全農たまご東京M基準値月間平均
JA全農たまご東京M基準値月間平均

その他

(1)鶏卵生産者経営安定対策事業加入者の販売実績数量
販売実績数量
(2)鶏卵基金標準取引価格と補填単価
取引価格と補填価格
(3)2025年度鳥インフルエンザ発生状況について
 ①国内養鶏場での発生状況
11月11日時点で1道1県、4事例の発生(採卵鶏160万羽)
(北海道、新潟県)
 ②野鳥・環境での発生状況
11月11日時点で1道3県、20事例の発生
(北海道・山形県、宮崎県、鹿児島県)

ページトップ