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相場情報

全国食鳥新聞社サイトの鶏肉荷受相場、JA全農たまごが発表する鶏卵相場情報を掲載しています。
※各社の相場情報サイトへリンクします

食鳥情勢(令和7年8月)

生産動向

 生産・処理動向調査((一社)日本食鳥協会令和7年7月末実施)によると、6月の推計実績は処理羽数62,288千羽(前年比102.5%)、処理重量187.5千トン(同100.4%)となった。処理羽数が前月時点の計画値から1.9%の上方修正、処理重量も4.0%上方修正となった。6月は特に後半は暑さで増体が鈍いという報告もあったが、病気の発生等は抑えられており、全体的に育成は堅調だったようだ。7月に入ってさらに気温が上がり、歩留まり低下や内臓廃棄が増えてきているものの、処理羽数が102.2%、処理重量は101.5%と堅調に推移する見通しで、前月時点の予測から大幅に上方修正。8月も処理羽数、処理重量ともに前月予測から上方修正され、処理羽数は前年同月比101.4%、処理重量は102.8%の見込みとなった。9月は処理羽数前年同月比2.5%、処理重量は同2.8%それぞれ増加の予測となっている。
 工場の人員については引き続き不足が課題となっている中、副産品(小肉・剣状軟骨など)・手羽中半割等の1.5次加工品は機械を導入し製造している産地が見られるようになってきた。この省人力化の流れは、今後他産地にも広がっていくと思われる。 

生産動向表

輸入動向

 財務省の貿易統計によると、令和7年6月の鶏肉(原料肉)の輸入量は前月から+3.0千トンの51.6千トン、国別ではブラジルが前月+0.8千トンの34.4千トン、タイが+2.7千トンの16.6千トンとなった。(独)農畜産業振興機構(ALIC)によると今後の見通しは、輸入量は7月は45.1千トン(前年比87.0%)と減少するも、8月は58.8千トン(同103.7%)と増加する予測である。要因としては「7月は主要輸入先であるブラジル産やタイ産の減少が見込まれること等から、前年同月を大幅に下回る一方、8月は特にブラジルからの輸入が前年同月を上回ると見込まれ、全体としても前年同月をやや上回ると予測する。なお、3カ月平均では、前年同期をかなりの程度下回ると予測する」とされている。
 令和7年6月の鶏肉調整品の輸入量は前月から+0.8千トンの44.0千トン、国別では中国が+1.6千トンの17.0千トン、タイが▲0.7千トンの26.1千トンとなった。国内の働き手不足やコロナ禍が明けた影響による外食筋の回復、共働き世帯の増加に伴い中食・総菜向け等の引き合いも継続している。
 (株)食品産業新聞社発行の畜産日報によると、6月の輸入鶏肉(モモ肉)の価格はブラジル産で460円/kgから490円/kg(前年加重価格410円/kg)、タイ産が500円/kg中心(同480円/kg)となっている。要因としては「荷動き自体は比較的落ち着いているものの、タイ産は引き続き韓国からの買付けが増加した影響で現地価格が高騰している。ブラジルでは高病原性鳥インフルエンザの続発が報告されているものの、現時点でほとんど影響は見られない」とされている。

輸入動向表

消費動向

家計

 総務省統計局発表の家計調査報告(全国・二人以上の世帯1世帯あたり)によると、令和7年6月の生鮮肉消費(購入)は数量4,049g(前年比99.4%)、金額6,552円(同102.9%)と、金額は前年を上回ったものの、数量は前年を下回った。鶏肉は数量1,458g(同93.0%)・金額1,572円(同103.1%)・単価107.8円/100g(前年同月+10.6円)と金額・単価ともに前年を上回ったものの、数量は前年を下回った。また、牛肉は数量は上回ったものの、金額は前年を下回った。豚肉は輸入豚肉が好調に推移し、数量・金額ともに前月を上回った。調理食品は共働き世帯の増加に伴う需要は底堅いようだ。外食においては、ほぼコロナ禍前の水準程度まで回復したものの、統計外となるインバウンドによる集客もあることからエリア・業態によって濃淡があるようだ。

量販

 一般社団法人全国スーパーマーケット協会の販売統計調査によると、令和7年6月の食品売上高は全店ベースで前年比105.0%と前年を上回り、生鮮3部門の売上高は全店ベースで同102.1%、既存店ベースは同100.5%。畜産部門の売上高は約1,225億円で全店ベース同104.0%、既存店ベース同102.3%となった。また同社が取りまとめたスーパーマーケット景気動向調査によると、「全般的に相場高が続き、牛肉の不振と豚肉・鶏肉への需要シフトが継続している。牛肉は国産、輸入共に高値推移が続くなか、中旬以降は気温上昇により焼肉需要には回復傾向もみられた。切り落としや味付肉など低価格・簡便な商材が比較的好調に推移した。国産豚の価格上昇が続き、輸入豚が好調に推移した。鶏肉はブラジルの鳥インフルエンザの影響もあり高騰が続く。特売が打てない、利益確保に悩むコメントが多くみられた」と報告されている。

量販表

加工筋

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによると令和7年6月度の鶏肉加工品仕向肉量は、前年比101.3%の4.7千トンとなった。うち国内品は同98.0%の3.6千トン、輸入品については同115.2%の1.0千トンと国内品は前年を下回り、輸入品は前年を上回る結果となった。

在庫状況

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)の6月末時点推定期末在庫では国産29.8千トン(前年比81.2%)、輸入品128.8千トン(同96.8%)、合計で158.6千トン(同93.4%)となった。
 (独)農畜産業振興機構(ALIC)が発表した鶏肉需給表では、6月の出回り量は国産品138.9千トン(前年比97.3%・前月差▲5.4千トン)、輸入品50.9千トン(同107.5%・同+3.1千トン)、合計189.8千トン(同99.9%・同▲2.3千トン)となり、前月からは国産品が減少し輸入品の出回り量が増加した。7月以降、「出回り量は7月、8月ともに前年同月をわずかに上回ると予測する。期末在庫は、7月はかなり大きく、8月はかなりの程度、いずれも前年同月を下回ると予測する。なお、過去5カ年の同月平均との比較でも、7月、8月ともに前年同月をやや下回る(7月:5.8%減、8月:3.1%減)と予測する」とされている。

在庫状況表

鶏卵情勢(令和7年8月)

生産動向

 6月の餌付け羽数は、全国で7,869千羽(前年同月比99.2%)と前年を下回った。西日本は前年比104.2%と特に東海エリアが前年を大きく上回った。一方、東日本では関東エリアが大きく下回り、前年比95.1%と5か月ぶりに前年を下回ったものの、東北エリアは118.2%と上回った。
 7月は気温上昇による個卵重の低下や生産ローテンションの影響により大玉の生産は減少した。そのため大玉減・小玉増のサイズ展開となった。暑さによる産卵率の低下がみられ、全体的な生産量は減少したものの、需要が落ち着いているため在庫を抱える産地も散見された。
エリア別餌付け羽数
当社推計全国飼養羽数
エリア別鶏卵生産量

消費動向

家計消費

 2025年6月の鶏卵の一人当たり家計消費量は880g(前年同月比97.1%)と2か月連続で前年を下回った。梅雨明けの気温上昇や高卵価が続いていることから消費の減退が考えられる。今後についても猛暑により需要は引き続き低調となることが予想されるが、特売やプロモーションによる需要増に期待したい。
鶏卵の一人当り家計消費量

業務・加工動向

 6月のドレッシング類原料卵の消費量については、前年同月比107.3%と前年を上回った。
 6月の外食全体の売上高は前年同月比106.0%となった。西日本において平年より早い梅雨明けにより暑さが到来し業態によっては客足の動きが鈍くなった。一方、物価高による節約志向の強まりの影響からファーストフード業態を中心に涼味麺等の季節メニューやキャンペーンが好調であった。
 6月の訪日外客数は3,377千人(前年同月比107.6%)と引き続き6月として過去最高を記録した。また上半期の累計では21,518千人となり、過去最速となる6か月で2,000万人を突破した。
外食産業業態別売上高
訪日外客数
鶏卵の一人当り家計消費量

輸入・輸出動向

 2025年6月の鶏卵類輸入通関実績は2,743トン(前年同月比164.1%)と前年同月を上回った。引き続き殻付卵の輸入が大幅に増加している。
 同月の殻付き卵輸出実績は、1,896トン(前年同月98.1%)と前年を下回ったが、国内需要の落ち着きから出荷量が回復傾向となっている。

鶏卵類輸入通関実績
殻付卵輸出実績

価格動向

 7月の東京相場Mサイズ基準値平均は328円/kg(前年同月比+128円/kg、前月比▲12円/kg)となった。供給面において、急な気温の上昇により、大玉の生産量は低下し小玉の生産量が増加傾向にある。需要面において、暑さによる不需要期に突入し、量販筋・外食筋共に荷動きの鈍化が見られた。加工筋では、定期中心の取引となり、スポット集荷の依頼は落ち着きを見せている。以上の状況から7月1日に大玉高、7月8日、14日にまちまち、7月24日、31日に下押しとなった。
 今後について、供給面は暑さによる鶏の食欲低下によって、産卵率と個卵重の低下が見込まれる。また、一部では熱死も見られるため、生産量への影響に注視する必要がある。需要面において、量販筋では、季節性の需要減退により家計消費が落ち込み、発注数量は減少傾向となることが予想される。外食筋では、大手ファストフードプロモーションが9月に控え、引き合いが強くなることが考えられる。加工筋では夏場の集荷に落ち着きが見られたものの、一部ではスポット集荷が見込まれる。
 以上のことから、今後の鶏卵相場は需給次第ではあるがサイズ間調整となることが考えられる。
JA全農たまご東京M基準値月間平均

その他

(1)鶏卵生産者経営安定対策事業加入者の販売実績数量
販売実績数量
(2)鶏卵基金標準取引価格と補填単価
取引価格と補填価格

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