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食肉情勢(令和3年10月)

牛肉

供給

(1)国産
 令和3年8月の成牛と畜頭数は、81.5千頭(前年同月比100.4%)と前年並みとなった。内訳を見ると、和牛35.6千頭(前年同月比99.8%)・交雑牛17.8千頭(同99.7%)はほぼ前年並み、乳牛去勢12.9千頭(同 98.3%)は前年をわずかに下回った。
 令和3年9月の成牛と畜頭数は、速報値(9/30まで集計)で84.6千頭(前年比98.0%)で、前年をわずかに下回った。
 (独)農畜産業振興機構が9月28日に公表した牛肉の需給予測によると、10月の出荷頭数は和牛・乳牛の出荷頭数の減少により、前年を下回ると予測するとともに、3ヶ月平均(8~10月)でも、和牛・乳牛の出荷頭数の減少により、出荷頭数(前年同期比99.1%)・生産量(同98.5%)ともに前年同期を下回ると見込んでいる。
(2)輸入
 令和3年8月の輸入通関実績によると牛肉輸入量は全体で53.8千トン(前年比113.9%、前月比103.3%)と前年をかなり上回った。内訳は、チルドが23.3千トン(前年比120.6%、前月比93.5%)、フローズンが30.4千トン(前年比109.3%、前月比112.4%)と、チルド・フローズンともに前年を上回った。前年同月の輸入量が、豪州での生産量の減少に伴う現地価格の高騰やコロナ禍による北米現地工場の稼働の停止等により、大きく減少したためである。輸入量を主な国別でみると、チルドは米国12.8千トン(前年比 129.6%)、豪州7.7千トン(同 100.9%)、カナダ1.3千トン(同 161.6%)、フローズンは豪州12.1千トン(前年比 99.2%)、米国8.8千トン(同 84.4%)、カナダ3.6千トン(同 134.5%)、ニュージーランド2.9千トン(同 329.1%)メキシコ1.8千トン(同 141.9%)と、チルドは米国、フローズンはニュージーランドの伸びが目立つ。
 (独)農畜産業振興機構が9月28日に公表した牛肉の需給予測によると、9月の輸入量は、チルド・フローズンともには前年を上回るものと見込んでいる。前年の輸入量が豪州の生産量の減少に伴う現地価格の高騰、およびコロナ禍による北米現地工場の稼働停止等で、大幅に減少したためである。10月の輸入量は、チルドは前年が北米からの輸入量がコロナの感染拡大の影響で大きく減少したため、前年をわずかに上回り、フローズンは米国での現地価格の高騰等により、前年をわずかに下回と予測する。この結果、8~10月の3か月平均では、輸入量全体では前年を上回る(前年比107.0%)とともに、チルドは前年同期をかなり大きく上回り(同113.8%)、フローズンも前年をやや上回(同104.5%)り、輸入量は回復傾向と見込んでいる。

需要

(1)家計
 総務省発表の令和3年7月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は570g(前年比100.2%)、支出金額が1,813円(同100.9%)となり、購入量・金額とも、気温上昇による焼肉用等を中心とした需要増加により、5か月ぶりに前年を上回った。(※前々年度同月比:購入量 109.2%、金額 119.4%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の8月の販売統計速報によると畜産部門の売上高は1,248億円(前年同月比100.6%、既存店ベース99.3%)と前年同月を上回った。食肉ではステーキ・焼肉・しゃぶしゃぶが好調で、伸び悩んでいたひき肉類の販売も回復に転じたとの報告がなされている。
 日本チェーンストア協会が公表した8月販売概況によると、畜産品の売上は924億円(店舗調整後で前年同月比102.3%)で、前年を上回った。牛肉・豚肉・鶏肉の荷動きは好調で、鶏卵・ハム・ソーセージ類の荷動きも比較的良好との報告がなされている。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査8月度結果報告によると、新型コロナ感染症の拡大で、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が全国的に拡大されるなか、酒類提供の制限や時短営業が続いた。このため、お盆需要は盛り上げに欠けるなか、台風・大雨等の悪天候の直撃をうけて、全体売上は前年実績を下回る91.4%、前々年比でも75.6%と低迷が続いている。業態別では、①ファーストフードの全体売上は前年比101.0%(前々年比97.7%)とテイクアウト・デリバリー需要の受け皿となり、全業態で唯一前年比を上回った。このうち牛丼等の和風では大手企業の五輪期間に合わせたテイクアウトキャンペーン実施で前年比99.9%と前年並みを維持した。他業態では、外食産業には致命的といえる酒類提供の制限・時短営業が続く中、②ファミリーレストラン全体での売上は前年比79.4%・前々年比59.2%、休業を選択した店舗も多かった焼肉では前年比73.4%・前々年比61.8%で足踏み状態が続き、③ディナーレストランは前年比75.5%・前々年比50.2%、④喫茶は前年比91.5%・前々年比61.9%、⑤居酒屋は前年比33.0%・前々年比11.9%と全ての業態で前年比・前々年比ともに下回り、依然として深刻な状況が続いている。

在庫

 (独)農畜産業振興機構が9月28日に公表した牛肉の需給予測によると、令和3年8月末の推定期末在庫量は134.8千トン(前年比94.6%、前月比103.4%)と前年をやや下回った。内訳は、輸入品在庫が121.1千トン(前年比91.5%、前月比103.7%)、国産品在庫が13.7千トン(同134.0%、前月比100.7)となり、輸入品は前年実績をやや下回り、国産品は大きく上回った。なお、同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた今後の期末在庫の推移は、9月が137.3千トン(同101.0%)、10月が139.1トン(同104.5%)と、前年を上回って推移するものと予測している。

市況

(1)9月~10月
 令和3年9月の東京市場枝肉卸売価格(速報値9/30時点)は、和牛去勢A5が2,644円(前年比109.4%)、和牛去勢A4が2,295円(同110.4%)、和牛去勢A3が2,051円(同 108.6%)、交雑牛B3が1,489円(同 113.2%)、乳牛去勢B2が1,008円(同121.9%)であった。
 (独)農畜産業振興機構が9月28日に公表した10月の国内出荷予測頭数を品種別にみると、和牛が40.4千頭(前年比93.6%)、交雑牛が20.8千頭(同 105.7%)、乳用牛が28.7千頭(同 96.9%)と、交雑牛以外は前年を下回り、全体では91.6千頭と出荷頭数(同 97.3%)・生産量(同96.9%)ともに前年を下回ると予測している。
 9月は緊急事態宣言下で、連休需要も盛り上がらず、落ち着いた荷動きに終始し、出荷頭数が伸び悩むなか、相場は堅調な推移となった。10月は和牛・乳牛の出荷頭数の減少が予測されるなか、緊急事態宣言の解除で外食の需要の回復が期待されるとともに、堅調な輸出推移と政府の補助事業の下支えが続くなか、季節需要の後押しも見込まれ、強保ち合いの相場となることが予測される。なお、新型コロナウイルス感染の影響に伴う行政対応による枝肉相場への影響には引続き注視が必要である。

豚肉

供給

(1)国産
 令和3年8月度の全国の肉豚出荷頭数は1,326千頭(前年比104.4%)となった。8月の全国地域別出荷頭数を前年同月比で見ると、北海道103.3%、東北102.4%、関東102.7%、北陸甲信越102.2%、東海121.5%、近畿111.6%、中四国111.7%、九州・沖縄103.3%となった。
 令和3年9月の全国と畜頭数は速報値で1,334千頭(9/30まで集計)で、前年同月比99.0%となっている。稼働日数は昨年より1日多く、1日当たりの平均と畜頭数はで63,505頭(前年実績:64,167頭/日、前年比△662頭/日)となっている。
 農水省食肉鶏卵課の令和3年9月22日付肉豚生産出荷予測によると、今後の出荷予測頭数は令和3年10月1,434千頭(前年同月比97%)、11月1,442千頭(同99%)、12月1,492千頭(同98%)、翌年1月1,418千頭(同100%)、同2月1,311千頭(同98%)で、今後5か月間合計頭数で前年比98.4%と前年をわずかに下回ると予測している。
(2)輸入
 令和3年8月の輸入通関実績は豚肉全体で78.2千トン(前年同月比114.2%、前月比104.7%)となった。内訳は、チルドが34.1千トン(前年同月比108.8%、前月比96.2%)、フローズンは44.2トン(同118.8%、同112.5%)で、チルド・フローズンともに前年比を上回った。前年が新型コロナウイルスの感染拡大で、北米からの輸入量が大きく減少したことによる。主な国別では、チルドは米国16.3千トン(前年同月比 108.6%)、カナダ16.1千トン(同109.2%)、メキシコ1.6千トン(同108.0%)となり、フローズンはスペイン11.8千トン(同138.8%)、メキシコ8.6千トン(同127.2%)、デンマーク8.6千トン(同160.3%)、米国3.0千トン(同81.9%)、カナダ2.7トン(同97.2%)となった。
 (独)農畜産業振興機構が9月28日に公表した豚肉の需給予測では、9月の輸入量は、前年が新型コロナウィルス感染症の影響により北米からの輸出量が大きく減少したため、チルド・フローズンともに前年を上回ると予測している。また10月の輸入量もチルドが北米国内での需要増加による現地価格の高騰で、前年同月をわずかに下回る一方で、フローズンは前年同月の輸入量が大きく落ち込んだため、前年をかなりの程度上回ると見込みである。この結果、8月から10月までの3か月平均では、輸入量全体で前年を上回る(前年比109.8%)とともに、チルド(前年比102.0%)・フローズン(同117.0%)ともに前年を上回り、輸入量は回復傾向となると見込んでいる。

需要

(1)家計
 総務省発表の令和3年7月期家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,782g(前年同月96.6%)、支出金額が2,527円(同94.6%)となり、購入量・金額とも、前年を下回った。(※前々年度同月比:購入量 103.6%、金額 107.2%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の8月の販売統計速報によると畜産部門の売上高は1,248億円(前年同月比100.6%、既存店ベース99.3%)と前年同月を上回った。食肉ではステーキ・焼肉・しゃぶしゃぶが好調で、伸び悩んでいたひき肉類も回復に転じたとのが報告がなされている。
 日本チェーンストア協会が公表した8月販売概況によると、畜産品の売上は924億円(店舗調整後で前年同月比102.3%)で、前年を上回った。牛肉・豚肉・鶏肉の荷動きは好調で、鶏卵・ハム・ソーセージ類の荷動きも比較的良好との報告がなされている。
 9月は出荷頭数が伸び悩むなか、連休の手当買いや気温低下による鍋物需要の高まり等の季節需要の後押しもあり、末端の荷動きは堅調な推移となった。国産物・冷蔵品ではスライス用のバラ・カタロースは好調、切り落とし用のウデ・モモ、スネ等のスソ物も堅調な荷動きで、これまで振るわなかったロースも荷動きが見られた。国産物・冷凍品は、バラ・カタロースを中心に堅調な荷動きとなる一方、学校給食の再開の遅れ等により、スソ物の荷動きは例年より鈍いものとなった。輸入品チルドは、通関遅れが恒常化するなか、ベリー・ロイン系を中心に引き合いが強く、フローズンは緊急事態宣言による酒類提供の制限や時短営業による外食需要の低迷により、厳しい状態が続いている。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の令和3年7月の豚肉加工品仕向量は32.7千トン(前年同月比98.0%)となった。内訳は、国内物6.1千トン(前年同月比96.5%)、輸入物26.5千トン(同98.4%)と国産・輸入ともに減少した。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークは11.0千トン(前年同月比104.2%)とわずかながら増加した。

在庫

 (独)農畜産業振興機構が9月28日に公表した豚肉の需給予測によると令和3年8月末の推定期末在庫量は188.5千トン(前年比85.3%、前月比102.1%)となり、前年を大きく下回った。内訳は、輸入品の在庫が165.6千トン(前年比82.6%、前月比103.1%)、国産品が22.9千トン(前年比112.5%、前月比95.8%)となり、輸入品は前年実績を下回り、国産品は前年実績を上回った。同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた今後の期末在庫の推移は、9月が194.2千トン(同91.1%)、10月が193.7千トン(同94.9%)と、前年を下回って推移するものと予測している。

市況

(1)9月~10月
 令和3年9月の東京食肉市場枝肉相場は速報値(9/30時点)で 602円/kg(前年比96.8%)と前年を下回った。9月は出荷頭数が伸び悩むなか、底堅い内食需要と恒常化している輸入品の不安定な入荷状況もあり、相場は上旬から中旬にかけて600円台前半の展開が続き、連休前には600円台後半まで上昇した。しかし、下旬にかけて出荷頭数が回復するなか、市況は落ち着きを取り戻し、下旬に500円台後半まで相場は下落した。この結果、相場は月間平均で前年をやや下回るとともに、ここ4か月連続で前年を下回り、軟調な推移となっている。
 農水省食肉鶏卵課の令和3年9月22日付肉豚生産出荷予測の10月出荷予測頭数は1,434千頭(前年同月比97%)と前年を下回る出荷頭数だが、対過去5年平均では99%とほぼ平年並となっている。例年10月~11月は年間で最も国内出荷頭数が増加する時期で、底堅い内食需要が継続するなかで、出荷頭数が回復し、弱含みな相場展開が見込まれる。なお、出荷頭数や新型コロナウイルスの影響に伴う行政対応等による相場への影響には引続き注視が必要である。

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