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食肉情勢(令和4年5月)

牛肉

供給

(1)国産
 令和4年3月の成牛と畜頭数は、90.3千頭(前年同月比101.1%)と前年並みとなった。内訳を見ると、和牛:39.6千頭(前年同月比98.7%)、交雑牛:20.0千頭(同106.2%)は前年を上回り、乳牛去勢:12.3千頭(同 93.2%)は前年を下回った。
 令和4年4月の成牛と畜頭数は、速報値(4月30日まで集計)で89.9千頭(前年比99.4%)と前年並みとなっている。
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(4月26日公表)によると、4月の出荷頭数は和牛・交雑牛の増加により、前年をやや上回る見込みとなっている。そのため、3か月平均(3~5月)では、出荷頭数(前年同期比101.4%)、生産量(同102.1%)と前年並みの予測となっている。
(2)輸入
 令和4年3月の輸入通関実績は、全体で33.9千トン(前年同月比73.4%、前月比89.8%)と前年を下回り、内訳ではチルド;16.9千トン(前年比74.0%、前月比102.9%)、フローズン;17.0千トン(前年比72.9%、前月比79.7%)となった。輸入相手国別では、米国や豪州での現地価格が高騰した影響を受け、前月に引き続き主要国からの輸入量は減少しているが、フローズンではメキシコやニュージーランドが増加している。
(参考:形態別相手国別輸入数量)
チルド:米国9.7千トン(前年比82.7%)、豪州5.4千トン(同63.3%)、カナダ0.7千トン(同49.9%)、ニュージーランド0.4千トン(同60.4%)、メキシコ0.3千トン(同75.5%)、
フローズン:豪州6.1千トン(前年比64.9%)、米国4.8千トン(同58.0%)、メキシコ2.2千トン(同228.4%)、カナダ1.5千トン(同42.0%)、ニュージーランド1.2千トン(同151.6%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、4月および5月の輸入数量は、米国・豪州における現地価格の高止まりに加え、船積みの混乱や入船遅れ等から前年を大幅に下回ると見込まれている。
令和4年4月 チルド;19.3千トン(前年同月比75.5%)、フローズン;26.3千トン(同88.5%)
令和4年5月 チルド;19.3千トン(前年同月比85.5%)、フローズン;23.7千トン(同87.6%)
直近3か月(3~5月)平均 チルド;18.6千トン(前年同月比78.5%)、フローズン;22.3千トン(同83.4%)と下回る見込み

需要

(1)家計
 総務省発表の令和4年2月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は459g(前年比87.4%)、支出金額が1,571円(同94.1%)となり、支出金額・購入量ともに前年同月を下回った。(※前々年度同月比:購入量 87.9%、金額 94.4%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の3月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,129億円(前年同月比100.8%、既存店ベース99.1%)と前年同月を上回った。内食需要が堅調で、大型パックを中心に動きがよく、また、気温の上昇とともに焼き肉用(牛肉)の動きが良かった。
 日本チェーンストア協会が公表した3月販売概況によると、畜産品の売上は869.1億円(店舗調整後で前年同月比99.8%)となり、前年並みとなった。
 牛肉の動きは鈍かったが、豚肉、鶏肉はまずまずの動きだった。また、ハム・ソーセージの動きは鈍かったと報告されている。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査3月度結果報告によると、月後半からコロナによる制限が解除され通常営業に戻ったことで、前年比105.9%となった。一方で、新型コロナ禍以前の2019年比では86.3%にとどまっている。人手不足、円安、国際流通の停滞等による原料費の高騰などにより、依然として厳しい情勢である。
業態別;
①ファーストフード 前年同月比106.6%、2019年度同月比102.6% 好調だが、外国人従業員の確保が難しく、一部で営業の機会損失が発生
②ファミリーレストラン 前年同月比104.0%、2019年度同月比 75.0% 焼肉店は深夜営業の再開と食べ放題メニューが奏功し、前年同月比108.4%
③ディナーレストラン 前年同月比108.8%、2019年度同月比 65.4% 歓送迎会などの需要に一部復活の動きはあったが、コロナ前の6割程度となった
④居酒屋 前年同月比 96.2%、2019年度同月比 29.0% 前年を下回り、コロナ前の3割弱と厳しい環境が続いている

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測によると、令和4年3月末の推定期末在庫量は127.8千トン(前年比108.8%、前月比104.5%)と前年を上回った。内訳は、輸入品;114.7千トン(前年同月比109.3%、前月比104.1%)、国産品;13.2千トン(同105.0%、同106.8%)となり、輸入品・国産品ともに前年実績を上回っている。なお、今後の期末在庫の推移は、4月末;126.3千トン(同107.4%)、5月末;129.4千トン(同105.0%)と、いずれも前年を上回って推移するものと見込まれている。

市況

(1)4月~5月
 令和4年4月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;4月28日時点)は、和牛去勢A5が2,680円(前年比95.5%)、A4が2,468円(同93.8%)、交雑牛B3が1,589円(同 93.3%)、乳牛去勢B2が1,151円(同113.1%)であった。
 令和4年5月の国内出荷予測頭数((独)農畜産業振興機構公表)は、和牛が37.3千頭(前年比103.4%)、交雑牛が19.6千頭(同 111.2%)、乳用牛が24.8千頭(同 101.0%)と、前年を上回り、出荷頭数(87.9千頭・同 101.4%)・生産量(28.1千トン・同102.1%)は、前年並みの予測である。
 4月の枝肉相場は、和牛や交雑牛ではまん延防止等重点措置の影響がなくなり外食需要の回復や好調な輸出需要に支えられ、前月より上昇したものの、前年には及ばなかった。特に、輸入牛肉の代替需要から乳牛去勢牛の引き合いが強く、前月・前年ともに大きく上回った。
 5月の枝肉相場は、和牛や交雑牛では需要に大きな盛り上がりがないため、軟調に推移することが見込まるため、和牛は前年並み、交雑牛は前年を下回る相場展開が見込まれる。また、乳牛去勢牛についても輸入代替需要が続いていることから引き続き底堅い相場展開が見込まれる。

豚肉

供給

(1)国産
 令和4年3月の全国の肉豚出荷頭数は、1,502千頭(前年比98.9%)と前年並みとなった。
 地域別出荷頭数(数値は前年同月比);北海道102.8%、東北99.4%、関東97.5%、北陸甲信越98.7%、東海105.5%、近畿103.7%、中四国97.8%、九州・沖縄97.7%
 令和4年4月の全国と畜頭数は、1,320千頭(速報値;4月30日まで集計、前年同月比91.1%)と前年を下回る見込みとなった。なお、稼働日数は昨年より1日少なく、1日当たりの平均と畜頭数は66,000頭(前年実績:69,001頭/日、前年差△3,001頭/日)と下回った。
 肉豚生産出荷予測(農水省食肉鶏卵課;令和4年4月19日付け)によると、令和4年5月;1,329千頭(前年同月比102%)、6月;1,325千頭(同98%)、7月;1,315千頭(同100%)、8月;1,303千頭(同98%)、9月;1,357千頭(同98%)であり、今後5か月間の合計頭数は前年比約99%と前年並みとなっている。
(2)輸入
 令和4年3月の輸入通関実績は、豚肉全体で71.9千トン(前年同月比104.2%、前月比100.1%)と前年並み、チルドが39.1千トン(前年同月比95.0%、前月111.2%)、フローズンは32.9千トン(同117.8%、同89.4%)となった。国別でみると、チルドではメキシコが増加し、フローズンではEU域内でのASF発生による相場の低迷や中国の輸入減少等からスペインの大幅な増加が目立つ結果となった。
(参考)形態別相手国別輸入数量
チルド   ;米国20.3千トン(前年同月比 101.5%)、カナダ16.4千トン(同 82.9%)、メキシコ2.4千トン(同176.7%)
フローズン;スペイン10.9千トン(同 180.6%)、メキシコ6.7千トン(同 123.3%)、デンマーク3.8千トン(同 100.6%)、米国2.2千トン(同 69.7%)、カナダ1.4千トン(同 51.2%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(4月26日公表)によると、4月の輸入量は、90.5千トン(前年同月比91.7%)と前年を下回る見込みとなっている。5月の輸入量は、74.0千トン(同103.9%)と前年を上回る見通しとなっている。チルド・フローズンとも現地価格の高騰を受け低調な数量が継続すると見込まれる(5月のフローズンは前年同月の輸入量がコロナにより大きく減少していたため前年を上回る)。
令和4年4月:チルド35.5千トン(前年同月比87.5%)、フローズン55.0千トン(前年同月比94.7%)
令和4年5月:チルド32.5千トン(同94.2%)、フローズン41.5千トン(同113.2%)
直近3か月(3~5月)平均:チルド35.4千トン(同期比91.3%)、フローズン44.0千トン(同期比107.6%)、合計79.3千トン(同期比99.7%)

需要

(1)家計
 総務省発表の令和4年2月期家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,848g(前年同月比102.7%)、支出金額が2,640円(同101.8%)となり、購入量・金額ともに前年をやや上回った。(※2019年度同月比:購入量 102.1%、金額 103.7%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の3月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,129億円(前年同月比100.8%、既存店ベース99.1%)と前年同月を上回った。内食需要が堅調で、大型パックを中心に動きがよく、また、気温の上昇とともに焼き肉用(牛肉)の動きが良かった。
 日本チェーンストア協会が公表した3月販売概況によると、畜産品の売上は869.1億円(店舗調整後で前年同月比99.8%)となり、前年並みとなった。牛肉の動きは鈍かったが、豚肉、鶏肉はまずまずの動きだった。また、ハム・ソーセージの動きは鈍かったと報告されている。
 4月の荷動きは、食品類の値上げラッシュにより家計の財布のひもが固くなったことで、軟調となった。前月不調だったウデ・モモは学校給食の再開とともに動きが出てきた。バラは輸入ベリーの品薄感から代替需要もあり冷蔵・冷凍とも良好な荷動きとなった。月後半からは、上記に加えて量販店および外食向け需要がGWに向け盛り上がりを見せたため、ロース・ヒレなどにも動きが出ていた。一方で、輸入物はベリーの需要は依然強いが全体的には動きは弱く、円安から先高感も強く不透明な状態が続いている。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の令和4年2月の豚肉加工品仕向量は28.0千トン(前年同月比105.0%)と、前年を上回った。内訳は、国産原料5.5千トン(前年同月比106.2%)・輸入原料22.5千トン(同104.7%)で、国産原料、輸入原料ともに前年を上回った。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークは8.7千トン(前年同月比90.7%)と、前年を下回った。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測(4月26日公表)によると、令和4年3月末の推定期末在庫量は180.1千トン(前年比99.0%、前月比99.5%)となり、前年並みとなった。内訳は、輸入品;156.1千トン(前年比98.9%、前月比99.9%)が、国産品;24.0千トン(前年比99.6%、前月比96.7%)ともに前年並み。また、今後の期末在庫は、4月が173.2千トン(同93.8%)、5月が171.4千トン(同92.4%)と、いずれも前年を下回って推移するものと見られる。

市況

(1)4月~5月
 令和4年4月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;4月28日時点)は、513円/kg(前年比104.1%)と前年を上回った。3月下旬のまん延防止等重点措置の解除により、外食需要がゆるやかに回復していく中で内食需要が減少し軟調に推移したが、関東での豚熱発生による出荷頭数の減少やGW向け需要への数量確保の動きから上昇に転じた。なお、東京市場「上物」は、月間平均価格が4か月連続で500円超となり、前年より堅調に推移している。
 5月の相場は、肉豚出荷頭数が1,329千頭(101.5%)と増加する見込みであるものの、輸入豚肉の現地価格高騰や供給不足を背景に、需給が引き締まる可能性が高く上げ基調となる見込み。

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