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食肉情勢(令和3年9月)

牛肉

供給

(1)国産
 令和3年7月の成牛と畜頭数は、91.8千頭(前年同月比96.7%)となった。内訳を見ると、和牛45.0千頭(前年同月比97.9%)、交雑牛19.4千頭(同94.0%)、乳牛去勢13.2千頭(同 96.6%)と、全ての品種で前年を下回った。
 令和3年8月の成牛と畜頭数は、速報値(8/31まで集計)で79.2千頭(前年比97.5%)で、前年をわずかに下回った。
 (独)農畜産業振興機構が8月28日に公表した牛肉の需給予測によると、9月の出荷頭数は和牛と乳牛の出荷頭数の減少により、前年を下回ると予測するとともに、3ヶ月平均(7~9月)でも、和牛・乳牛の出荷頭数の減少により、出荷頭数(前年同期比98.8%)・生産量(同97.9%)ともに前年同期を下回ると見込んでいる。
(2)輸入
 令和3年7月の輸入通関実績によると牛肉輸入量は全体で52.1千トン(前年比98.9%、前月比99.6%)と前年をわずかに下回った。内訳は、チルドが25.0千トン(前年比107.3%、前月比104.8%)、フローズンが27.1千トン(前年比92.3%、前月比95.3%)である。チルドは前年がコロナ禍による北米現地工場の稼働の停止等により輸入量が少なく、かつ、本年が米国からの輸入量が増加傾向に転じたことで前年を上回り、フローズンは外食需要の回復の遅れと現地価格の高騰により、前年を下回ることとなった。主な国別でみると、チルドは米国14.0千トン(前年比 130.1%)、豪州8.2千トン(同 77.5%)、カナダ1.0千トン(同 141.9%)、フローズンは豪州11.3千トン(前年比 93.6%)、米国7.5千トン(同 64.3%)、カナダ3.2千トン(同 131.6%)、ニュージーランド2.2千トン(同 189.6%)メキシコ1.8千トン(同 178.5%)となっている。
 (独)農畜産業振興機構が8月26日に公表した牛肉の需給予測によると、8月の輸入数量は、チルドは前年が北米・豪州での現地価格の高騰や入船遅れ等の影響により大きく数量が落ち込んだことで前年を大幅に上回る一方、フローズンは外食需要の不振と現地価格の高騰で、前年を下回ることが見込まれる。9月の輸入量は、チルド・フローズンともに、前年が豪州での生産量の減少に伴う現地価格の高騰により、大きく減少したため、前年同月を上回ることが予測される。7~9月の3か月平均でもこの傾向を受けて、輸入量全体では前年を上回る(前年比104.9%)とともに、チルドは前年同期をかなり大きく上回る(同115.0%)一方、不振が続く外食需要の影響で、フローズンはかなりの程度下回る(同97.5%)ことが見込まれる。

需要

(1)家計
 総務省発表の令和3年6月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は551g(前年比97.7%)、支出金額が1,765円(同97.5%)となり、購入量・金額とも、前年を下回った。(※前々年度同月比:購入量 105.0%、金額 108.6%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の7月の販売統計速報によると畜産部門の売上高は1,114億円(前年同月比97.4%、既存店ベース96.2%)と前年同月を下回った。気温上昇で食肉では焼肉・しゃぶしゃぶ用が好調な一方で、ハム等の加工肉やひき肉等の前年の反動による伸び悩みが主たる原因である。
 日本チェーンストア協会が公表した7月販売概況によると、畜産品の売上は862億円(店舗調整後で前年同月比98.6%)となり、前年を下回る結果となった。鶏卵が唯一好調な一方、牛肉・豚肉・鶏肉や、ハム・ソーセージ類の荷動きが鈍かったとの報告がなされている。
(3)外食
 日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査7月度結果報告によると、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が沖縄・大阪・首都圏に適用され、前月に続き酒類提供の制限や時短営業が続いた。東京五輪も原則無観客での開催となったことで期待された経済効果も限定的なものとなり、7月の全体売上は前年比こそ102.1%となったものの、前々年比では86.3%にとどまり、依然として厳しい状況が続いている。業態別では、①ファーストフードでは全体売上は前年比108.6%(前々年比103.9%)とテイクアウト・デリバリー需要の受け皿となり、全業態で唯一前々年比を上回った。牛丼等の和風では大手企業の積極的なメディア露出により売上回復への貢献が報告されている。外食産業には致命的といえる酒類提供の制限・時短営業が続く中、②ファミリーレストラン全体での売上は前年比93.5%・前々年比71.2%、休業を選択した店舗も多かった焼肉では前年比86.5%・前々年81.4%で足踏み状態が続く。③ディナーレストランは前年比88.3%・前々年比57.8%、④喫茶は前年比105.8%・前々年比72.1%、⑤居酒屋は前年比62.6%・前々年比33.2%と全ての業態で回復途上で、本格回復への道のりは依然として険しい。

在庫

 (独)農畜産業振興機構が8月26日に公表した牛肉の需給予測によると、令和3年7月末の推定期末在庫量は130.4千トン(前年比90.5%、前月比102.3%)と前年を大きく下回った。内訳は、輸入品在庫が116.8千トン(前年比83.7%、前月比102.0%)、国産品在庫が13.6千トン(同131.9%、前月比102.3%)となり、輸入品は前年実績を大幅に下回り、国産品は大きく上回った。なお、同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた今後の期末在庫の推移は、8月が132.4千トン(同92.9%)、9月が131.4トン(同96.6%)と、引き続き前年を大幅に下回って推移するものと予測している。

市況

(1)8月~9月
 令和3年8月の東京市場枝肉卸売価格(速報値8/31時点)は、和牛去勢A5が2,551円(前年比107.2%)、和牛去勢A4が2,223円(同109.0%)、和牛去勢A3が1,966円(同 107.5%)、交雑牛B3が1,565円(同 113.2%)、乳牛去勢B2が994円(同112.1%)であった。
 (独)農畜産業振興機構が8月26日に公表した9月の国内出荷予測頭数を品種別にみると、和牛が37.9千頭(前年比98.5%)、交雑牛が19.3千頭(同 105.8%)、乳用牛が27.5千頭(同 96.4%)と、交雑牛以外は前年を下回り、全体では86.3千頭と出荷頭数(同 99.4%)・生産量(同97.9%)ともに前年を下回ると予測している。
 8月の市況は、月末に向けて徐々に値を下げる弱含みな展開となった。新型コロナウイルスの感染拡大や豪雨等の悪天候の影響で盆商戦は盛り上がりに欠け、消費が伸び悩んだためである。9月は堅調な輸出推移と政府の補助事業の下支えが続き、秋シーズンのスライス需要の本格化に季節需要の後押しが期待される中、出荷頭数の減少が予測されており、弱保合の相場展開が予測される。なお、新型コロナウイルス感染の影響に伴う行政対応による枝肉相場への影響には引続き注視が必要である。

豚肉

供給

(1)国産
 令和3年7月度の全国の肉豚出荷頭数は1,313.1千頭(前年比96.8%)となった。7月の全国地域別出荷頭数を前年同月比で見ると、北海道100.7%、東北99.0%、関東92.8%、北陸甲信越93.6%、東海102.1%、近畿93.1%、中四国94.0%、九州・沖縄97.3%である。
 令和3年8月の全国と畜頭数は速報値で1,298.2千頭(8/31まで集計)で、前年同月比97.4%となっている。稼働日数は昨年より1日多く、1日当たりの平均と畜頭数はで61,819頭(前年は63,493頭/日、前年比△1,674頭/日)となっている。
 農水省食肉鶏卵課の令和3年8月24日付肉豚生産出荷予測によると、今後の出荷予測頭数は令和3年9月1,337千頭(前年同月比99%)、10月1,434千頭(同97%)、11月1,442千頭(同99%)、12月1,447千頭(同97%)、翌年1月1,394千頭(同98%)で、下期合計で前年比98.2%と前年をわずかに下回ると予測している。
(2)輸入
 令和3年7月の輸入通関実績は豚肉全体で74.7千トン(前年同月比99.5%、前月比99.2%)となった。内訳は、堅調な内食需要によりチルドが35.4千トン(前年同月比102.2%、前月比99.4%)と前年比を上回る一方、フローズンは現地価格高や低迷する外食需要の影響で39.3トン(同97.2%、同98.9%)と前年比を下回った。主な国別では、チルドは米国18.6千トン(前年同月比 123.2%)、カナダ15.1千トン(同88.5%)、メキシコ1.7千トン(同67.8%)となり、フローズンはスペイン11.2千トン(同111.4%)、メキシコ7.9千トン(同129.0%)、デンマーク5.7千トン(同93.3%)、米国2.7千トン(同75.6%)、カナダ2.9トン(同102.2%)となっている。
 (独)農畜産業振興機構が8月26日に公表した豚肉の需給予測では、8月の輸入量は、前年が新型コロナウィルス感染症の影響により北米からの輸出量が大きく減少したため、チルド・フローズンともに前年を上回ると予測している。9月は、チルドが北米・EUの輸出国内での需要の増加および現地価格の高騰により前年同月をわずかに下回る一方で、フローズンは前年同月の輸入量が大きく落ち込んだため、前年をやや上回ると見込みとなっている。7月から9月までの3か月平均では、チルド(前年比101.6%)・フローズン(同104.2%)ともに前年を上回る予測で、輸入数量は増加基調となっている。

需要

(1)家計
 総務省発表の令和3年6月期家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,810g(前年同月96.2%)、支出金額が2,506円(同93.6%)となり、購入量・金額とも、前年を下回った。(※前々年度同月比:購入量 102.4%、金額 104.1%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の7月の販売統計速報によると畜産部門の売上高は1,114億円(前年同月比97.4%、既存店ベース96.2%)と前年同月を下回った。気温上昇で食肉では焼肉・しゃぶしゃぶ用が好調な一方で、ハム等の加工肉やひき肉等の前年の反動による伸び悩みが主たる原因である。
 日本チェーンストア協会が公表した7月販売概況によると、畜産品の売上は862億円(店舗調整後で前年同月比98.6%)となり、前年を下回る結果となった。鶏卵が唯一好調な一方、牛肉・豚肉・鶏肉や、ハム・ソーセージ類の荷動きが鈍かったとの報告がなされている。
 8月は新型コロナウイルスの感染拡大や豪雨等の悪天候が続き、盆商戦は盛り上げには欠けたもの、内食需要は底堅く、末端の荷動は概ね堅調な推移となった。国産物・冷蔵品ではバラ・カタロースは好調、ウデやスネ等のスソ物も堅調な荷動きとなった一方で、先月まで堅調だったモモの荷動きがやや失速、ロースも鈍い荷動きとなった。国産物・冷凍品は、冷蔵品と同様、バラ・カタロースを中心に荷動きが見られた。輸入品チルドは、通関遅れの恒常化でベリー・ロイン系を中心に引き合いが強いが、フローズンは緊急事態宣言による酒類提供の制限や時短営業による外食需要の低迷のため、厳しい状態が続いている。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の令和3年6月の豚肉加工品仕向量は31.7千トン(前年同月比96.1%)となった。内訳は、国内物6.3千トン(前年同月比97.9%)、輸入物25.4千トン(同95.6%)と国産・輸入ともに減少した。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークは10.0千トン(前年同月比98.0%)もわずかに減少した。

在庫

 (独)農畜産業振興機構が8月26日に公表した豚肉の需給予測によると令和3年7月末の推定期末在庫量は184.6千トン(前年比81.9%、前月比98.3%)となり、前年を大きく下回った。内訳は、輸入品の在庫が160.6千トン(前年比78.7%、前月比98.9%)、国産品が23.9千トン(前年比111.9%、前月比94.5%)となり、輸入品は前年実績を下回り、国産品は前年実績を上回った。同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた今後の期末在庫の推移は、8月が181.8千トン(同82.3%)、9月が178.0千トン(同83.5%)と、引き続き前年を大幅に下回るものと予測している。

市況

(1)8月~9月
 令和3年8月の東京食肉市場枝肉相場は速報値(8/31時点)で626円/kg(前年比98.8%)となった。8月は出荷頭数の減少と季節需要もあり、上旬の市況は700円台まで続伸する活発な展開となったが、お盆前には500円台まで市況は下落した。しかし盆明け以降の出荷頭数の伸び悩みにより、中旬から下旬には市況は再び上昇し、600円台前半の堅調な推移を続けた。全国的に出荷頭数が伸び悩むなか、需要面は焼き材とスソ物中心の底堅い内食需要に支えられ、供給面では通関遅れが恒常化している不安定な輸入品の入荷状況もあり、月間平均ではほぼ前年並みの相場を維持することとなった。
 農水省食肉鶏卵課の令和3年8月24日付肉豚生産出荷予測の9月出荷予測頭数は1,337千頭(前年同月比99%)とほぼ前年並の出荷頭数を見込んでいる。需要面では底堅い内食需要が続く中で学校給食が再開され後押が予想されること、供給面では通関遅れによる輸入品入荷状態の不安定化は続くものの、例年は彼岸前後から国内出荷頭数が回復基調に転じることから、前月に比べて弱含みな相場展開が予測される。なお、出荷頭数や新型コロナウイルスの影響に伴う行政対応等による相場への影響には引続き注視が必要である。

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