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相場情報

JA全農ミートフーズの発表する豚枝肉相場場情報を掲載しています。
※相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和6年6月)

豚肉

供給

(1)国産
 4月の全国豚と畜頭数は、1,409千頭と前年を上回った(前年比106.2%)。地域別と畜頭数(数値は前年同月比);北海道111.2%、東北102.2%、関東106.5%、北陸甲信越105.1%、東海109.5%、近畿113.3%、中四国107.2%、九州・沖縄105.9%
 5月の全国と畜頭数は、1,366千頭(速報値5月31日まで集計、前年比100.0%)と前年並みの見込みとなった。なお、稼働日数は昨年より1日多く、1日当たりの平均と畜頭数は65,067頭(前年実績:68,302頭/日、前年差▲3,235頭/日)となった。
 肉豚生産出荷予測(農水省食肉鶏卵課;5月22日付け)によると、6月;1,309千頭(前年比99%)、7月;1,299千頭(同104%)、8月;1,299千頭(同103%)、9月:1,329千頭(同103%)、10月:1,451千頭(同101%)であり、今後5か月間の合計頭数は前年比約101%と前年を上回る見込み。
(2)輸入
 4月の輸入通関実績は、豚肉全体で98.8千トン(前年比90.1%、前月比132.9%)と前年を下回った。内訳は、チルドが33.7千トン(前年比101.1%、前月比99.1%)、フローズンは65.1千トン(同85.3%、同161.3%)となった。国別でみると、チルドではカナダ、メキシコが増加し、米国が減少した。フローズンでは米国、カナダが増加し、スペイン、メキシコ、デンマークが減少した。
(参考)形態別相手国別輸入数量
チルド;カナダ17.3千トン(前年比128.6%)、米国12.5千トン(同74.1%)、メキシコ3.9千トン(同130.6%)
フローズン:スペイン17.6千トン(前年比60.6%)、米国10.5千トン(同114.7%)、メキシコ8.5千トン(同92.0%)、カナダ6.6千トン(同173.9%)、デンマーク5.6千トン(同43.5%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(5月29日公表)によると、5月の輸入量:88.7千トン(前年比98.9%)、6月の輸入量:83.9千トン(同103.2%)と5月は下回り、6月は上回ると見込まれる。チルドは、5月は現地相場高の影響で米国産が減少することから、前年同月を下回ると見込まれる。6月は価格優位性等によりメキシコ産が増加することから、前年同月を上回ると見込まれる。フローズンは、5月は現地相場高の影響から減少が見込まれるEU産の代替として、米国産、カナダ産及びその他の国からの輸入量が増加するため、6月は前年同月のデンマーク産輸入量が少なかったため、両月とも前年を上回ると見込まれる。
令和6年5月:合計88.7千トン(前年比98.9%)、チルド33.5千トン(同95.6%)、フローズン55.2千トン(同101.0%)
令和6年6月:合計83.9千トン(前年比103.2%)、チルド32.3千トン(同104.3%)、フローズン51.6千トン(同102.5%)
直近3か月(4月~6月)平均:合計90.5千トン(前年比96.8%)、チルド34.0千トン(同102.6%)、フローズン56.6千トン(同93.6%)

需要

(1)家計
 総務省発表の4月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,791g(前年比95.3%)、支出金額が2,695円(同95.7%)となり、購入量、金額ともに前年を下回った。(※2019年度比:購入量 101.1%、金額 108.1%)
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の4月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,182.9億円(前年比98.9%、既存店ベース97.8%)と前年を下回った。前年に比べ週末が少なく、降水量も多かった影響に加え、牛肉・豚肉の相場が高止まりし、価格が安定している鶏肉への需要シフトが顕著となり、単価が下落し不調となった。円安の影響で輸入牛・豚の価格が高騰し、国産肉の動きが堅調となった。牛肉は、ステーキや焼肉焼商材等も不調。豚肉は、小間切れやひき肉など値ごろな商材以外の動きは鈍かった。鶏肉は、相場が安定しており好調に推移。加工肉は値上げの影響で不振とする店舗が多い。
 日本チェーンストア協会が公表した4月販売概況によると、畜産品の売上は819.9億円(店舗調整後で前年比99.9%)となり、前年並みとなった。鶏肉の動きは良かったが、牛肉、豚肉の動きは鈍かった。鶏卵、ハム・ソーセージの動きは鈍かった。
 5月前半は、好天に恵まれたもののGW需要の反動から需給が緩んだ。5月後半は、昨夏の猛暑の影響により出荷頭数が落ち込み、需給が引き締まった。また、豚熱発生により地域間の需給バランスが崩れた。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の4月の豚肉加工品仕向量は30.7千トン(前年比108.7%)と、加工品の値上げによる販売不振は続くが、前年を上回った。内訳は、国産原料5.9千トン(前年比108.4%)・輸入原料24.8千トン(同108.7%)となった。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークは10.4千トン(前年比99.6%)と、前年並みとなった。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測(5月29日公表)によると、4月末の推定期末在庫量は196.7千トン(前年比87.6%、前月比104.0%)となり、前年を下回った。内訳は、輸入品;174.1千トン(前年比85.3%、前月比104.8%)と前年を下回り、国産品;22.7千トン(同110.2%、同98.3%)と前年を上回った。また、今後の期末在庫は、5月は217.0千トン(同88.9%)、6月は224.8千トン(同91.8%)と前年を下回って推移するものと見られる。

市況

(1)5月~6月
 5月の東京市場枝肉卸売価格(速報値;5月31日時点)は、714円/㎏(前年比111.0%)と前年を上回った。5月の相場は、GW需要の反動から需要が減退し弱含みで推移していたが、中旬以降は昨夏の猛暑の影響から出荷頭数が落ち込み需給が引き締まり上昇した。また、月末にかけて東北や関東での豚熱発生により需給がひっ迫したことで、一時的に800円/㎏台まで高騰し、月平均では前年・前月を上回った。
 6月の相場は、輸入チルド豚肉の輸入量が低調であること、国内出荷頭数が前年を下回る見込みであること、などから需給が引き締まり強含みでの推移を見込む。一方で、急激な相場高騰が継続すると需要移行(減退)が発生する可能性があり、その際は需給が緩み相場は弱含みで推移する可能性がある。

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