文字サイズ
標準
拡大

相場情報

JA全農ミートフーズの発表する豚枝肉相場場情報を掲載しています。
※相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和7年5月)

豚肉

供給

(1)国産
 3月の全国豚と畜頭数は、1,353千頭と前年を下回った。(前年比98.7%)。地域別と畜頭数(数値は前年同月比):北海道105.4%、東北98.0%、関東98.1%、北陸甲信越98.1%、東海101.0%、近畿102.8%、中四国96.4%、九州・沖縄97.8%
 4月の全国と畜頭数は、1,338千頭(速報値4月30日まで集計、前年比95.0%)と前年を下回る見込みとなった。なお、稼働日数は昨年と同様で、1日当たりの平均と畜頭数は63,724頭(前年実績:67,072頭/日、前年差▲3,348頭/日)となった。
 肉豚生産出荷予測(農水省食肉鶏卵課:4月21日付け)によると、5月:1,339千頭(前年比98%)、6月:1,299千頭(同109%)、7月:1,303千頭(同99%)、8月:1,291千頭(同106%)、9月:1,284千頭(同100%)であり、今後5か月間の合計頭数は前年比約102%と前年を上回る見込み。
(2)輸入
 3月の輸入通関実績は、豚肉全体で66.0千トン(前年比88.7%、前月比91.7%)と前年を下回った。内訳は、チルドが33.5千トン(前年比98.4%、前月比121.2%)、フローズンは32.5千トン(同80.6%、同73.4%)となった。国別でみると、チルドではカナダが増加したものの米国、メキシコが減少し、フローズンではほとんどの主要国で減少した。
(参考)形態別相手国別輸入数量
チルド:カナダ17.3千トン(前年比114.6%)、米国12.4千トン(同85.6%)、メキシコ3.8千トン(同84.7%)
フローズン:スペイン9.1千トン(前年比81.1%)、メキシコ3.6千トン(同58.6%)、米国3.6千トン(同68.9%)、チリ2.7千トン(同83.5%)、カナダ2.2千トン(同57.8%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(4月24日公表)によると、4月の輸入量:87.2千トン(前年比88.3%)、5月の輸入量:82.3千トン(同87.5%)と、ともに下回ると見込まれる。チルドは、4月、5月ともに円安や現地相場高の影響により米国産の輸入量減少が見込まることから前年同月を下回ると予測する。フローズンについても、4月、5月ともに現地相場高の影響等により主要輸入先のうち北米産や欧州産の減少が見込まれること等から下回ると予測する。3か月平均では、チルド、フローズンともに前年同期を下回ると見込んでいる。
令和7年4月:合計87.2千トン(前年比88.3%)、チルド32.0千トン(同94.9%)、フローズン55.2千トン(同84.8%)
令和7年5月:合計82.3千トン(前年比87.5%)、チルド31.6千トン(同94.2%)、フローズン50.7千トン(同83.7%)
直近3か月(3月~5月)平均:合計79.0千トン(前年比88.7%)、チルド32.2千トン(同95.3%)、フローズン46.8千トン(同84.7%)

需要

(1)家計
 総務省発表の3月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,910g(前年比99.4%)、支出金額が2,991円(同103.4%)となり、購入量は前月同月並みだったが、支出金額は上回った。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の3月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,236.2億円(前年比102.3%、既存店ベース101.0%)と前年を上回った。全般的な相場高が継続し部門としての伸び悩みと豚肉・鶏肉への需要シフトが続いた。牛肉は価格が抑えられる切り落としや小間切れが販売の中心で、週末の売上も伸び悩んでいる。豚肉は、国産豚の価格上昇もあり輸入豚や味付肉が好調となった。鶏肉は、堅調に推移するも、価格に上昇傾向が見られ伸び悩む店舗もあった。加工品は、好不調の判断がわかれた。
 日本チェーンストア協会が公表した3月販売概況によると、畜産品の売上は895.0億円(店舗調整後で前年比101.7%)となり、前年を上回った。豚肉、鶏肉の動きは良かったが、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージは鈍かった。
 新学期になり学校給食は再開されたものの、コメ等の生活必需品の値上げや青果物価格高騰等により、消費者の節約志向がより高まり需要は伸び悩んだ。気温の乱高下等から肉豚生育に影響があり、国内出荷頭数は伸び悩んだ。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の2月の豚肉加工品仕向量は24.8千トン(前年比99.7%)と、加工品の値上げによる販売不振は続くが、前年並みとなった。内訳は、国産原料5.2千トン(前年比105.6%)・輸入原料19.6千トン(同98.2%)となった。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークは8.5千トン(前年比90.7%)と、前年を下回った。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測(4月24日公表)によると、3月末の推定期末在庫量は216.5千トン(前年比114.4%、前月比99.8%)となり、前年を上回った。内訳は、輸入品:192.1千トン(前年比115.6%、前月比99.6%)と前年を上回り、国産品:24.4千トン(同105.7%、同101.2%)も前年を上回った。また、今後の期末在庫は、4月は203.4千トン(同103.4%)と前年を上回り、5月は215.0千トン(同100.4%)と前年並みで推移するものと見られる。

市況

(1)4月~5月
 4月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:4月30日時点)は、597円/kg(前年比97.4%)と前年を下回った。
 4月は、国内出荷頭数は例年と比べると低位となったものの、気温の乱高下による青果物の高値推移や花見需要の伸び悩み等による需要の低迷から、月中盤まで580円/kg前後で推移した。中盤以降は、GW向けの手当等から高値推移となったが、月平均では、前年・前月ともに下回った。
 5月は、GWの反動やコメ等の生活必需品の値上がりから消費者の節約志向がより強まるものの、輸入チルド豚肉の減少や国内出荷頭数の減少等が想定されることから需給が引き締まる可能性が高く、相場は強含みでの推移を見込む。

ページトップ