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相場情報

JA全農ミートフーズの発表する豚枝肉相場場情報を掲載しています。
※相場情報サイトへリンクします

食肉情勢(令和7年3月)

豚肉

供給

(1)国産
 1月の全国豚と畜頭数は、1,404千頭と前年並みとなった。(前年比99.3%)。地域別と畜頭数(数値は前年同月比):北海道106.2%、東北96.2%、関東98.6%、北陸甲信越97.4%、東海101.2%、近畿100.3%、中四国104.5%、九州・沖縄98.7%
 2月の全国と畜頭数は、1,283千頭(速報値2月28日まで集計、前年比93.4%)と前年を下回る見込みとなった。なお、稼働日数は昨年より1日少なく、1日当たりの平均と畜頭数は71,300頭(前年実績:72,350頭/日、前年差▲1,050頭/日)となった。
 肉豚生産出荷予測(農水省食肉鶏卵課:2月21日付け)によると、3月:1,457千頭(前年比106%)、4月:1,403千頭(同100%)、5月:1,342千頭(同99%)、6月:1,307千頭(同110%)、7月:1,303千頭(同99%)であり、今後5か月間の合計頭数は前年比約103%と前年を上回る見込み。
(2)輸入
 1月の輸入通関実績は、豚肉全体で80.6千トン(前年比111.7%、前月比105.2%)と前年を上回った。内訳は、チルドが32.1千トン(前年比92.5%、前月比92.8%)、フローズンは48.5千トン(同129.5%、同115.4%)となった。国別でみると、チルドではカナダが増加した。フローズンでは主要国全てで増加した。
(参考)形態別相手国別輸入数量
チルド:カナダ16.6千トン(前年比101.5%)、米国12.4千トン(同82.2%)、メキシコ3.0千トン(同94.7%)
フローズン:スペイン15.8千トン(同130.5%)、メキシコ5.0千トン(同101.7%)、米国4.9千トン(同123.6%)、デンマーク3.8千トン(同109.9%)、チリ3.2千トン(同100.6%)
 (独)農畜産業振興機構の需給予測(2月26日公表)によると、2月の輸入量:80.8千トン(前年比125.2%)、3月の輸入量:75.6千トン(同101.7%)と、ともに上回ると見込まれる。チルドは、2月はカナダ産の増加が見込まれること等から、前年同月を上回る一方、3月は前年同月のメキシコ産が多かったこと等から下回ると予測する。フローズンは、価格優位性によりブラジル産の増加が引き続き見込まれること等や紅海周辺の情勢悪化による物流の混乱により、前年2月の欧州産輸入量が少なかった事から、2月、3月ともに前年同月を上回ると予測する。3か月平均では、チルドは前年同期を下回り、フローズンは上回ると見込んでいる。
令和7年2月:合計80.8千トン(前年比125.2%)、チルド32.7千トン(同101.1%)、フローズン48.1千トン(同149.5%)
令和7年3月:合計75.6千トン(前年比101.7%)、チルド32.4千トン(同95.3%)、フローズン43.2千トン(同107.1%)
直近3か月(1月~3月)平均:合計79.0千トン(前年比112.4%)、チルド32.4千トン(同96.4%)、フローズン46.6千トン(同127.7%)

需要

(1)家計
 総務省発表の1月度家計調査報告によると、全国二人以上の1世帯当たり豚肉購入数量は1,789g(前年比98.1%)、支出金額が2,901円(同101.2%)となり、購入量は前年同月を下回ったが、支出金額は前年同月を上回った。
(2)小売
 日本スーパーマーケット協会など食品関連スーパー3団体の1月の販売統計速報によると、畜産部門の売上高は1,240.3億円(前年比101.7%、既存店ベース100.3%)と前年を上回った。牛肉や輸入肉の相場高が継続し、なかでも輸入品の価格高騰が続き不調となった。牛肉は成人式などハレの日前後にブランド牛が動いた店舗もみられたが、それ以外では価格を抑えた切り落とし等が販売の中心となった。豚肉は、スライスやしゃぶしゃぶ用に回復傾向がみられたが、国産豚の価格上昇もあり伸び悩んだ。鶏肉は、鍋需要の受け皿となったが、鳥インフルエンザによる国産価格の上昇により好不調の判断がわかれた。
 日本チェーンストア協会が公表した1月販売概況によると、畜産品の売上は913.9億円(店舗調整後で前年比100.6%)となり、前年並みとなった。豚肉、鶏肉の動きは良かったが、牛肉は鈍かった。鶏卵の動きは良かったが、ハム・ソーセージは鈍かった。
 月を通じて寒波による生育不良や物流の混乱に加え、豚熱による生産頭数減少などにより国内出荷頭数は減少した。野菜の高騰により例年より鍋物需要は振るわなかったものの、輸入豚肉の高値推移や消費者の節約志向等により国産豚肉の需要は増加した。
(3)加工品
 日本ハム・ソーセージ工業協同組合発表の1月の豚肉加工品仕向量は26.1千トン(前年比106.5%)と、加工品の値上げによる販売不振は続くが、前年を上回った。内訳は、国産原料5.2千トン(前年比111.7%)・輸入原料20.9千トン(同105.3%)となった。なお、上記仕向量とは別枠のシーズンドポークは8.9千トン(前年比99.5%)と、前年並みとなった。

在庫

 (独)農畜産業振興機構の需給予測(2月26日公表)によると、1月末の推定期末在庫量は214.0千トン(前年比110.3%、前月比102.8%)となり、前年を上回った。内訳は、輸入品:190.5千トン(前年比110.0%、前月比102.6%)と前年を上回り、国産品:23.5千トン(同113.0%、同104.4%)も前年を上回った。また、今後の期末在庫は、2月は220.8千トン(同118.0%)、3月は226.0千トン(同119.4%)と前年を上回って推移するものと見られる。

市況

(1)2月~3月
 2月の東京市場枝肉卸売価格(速報値:2月28日時点)は、620円/kg(前年比104.4%)と前年を上回った。2月は、寒波による生育不良、豚熱の発生等から国内出荷頭数が減少したことに加え、物流の混乱等も重なり供給面が不安定となった。また、輸入豚肉の高値推移からの代替需要や消費者の節約志向等から国産豚肉需要が増加したため、需給がひっ迫し前年・前月を上回った。
 3月は、歓送迎会や花見等による需要増に期待が出来るものの、月後半では学校給食の休止や各食肉会社の決算期となり例年並みの需要が見込まれ、一方で寒さが和らぐことで国内出荷頭数が増加していくことが想定されるため、月平均では弱含みを見込む。

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