海外粗飼料情勢
輸入粗飼料情勢 / 令和6年10月号
1. 米国産アルファルファヘイ
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- カリフォルニア州南部インペリアルバレー
- 現在、DIP(節水助成金)プログラムに参加していない圃場で、7番刈りが進んでいます。DIPプログラムとは、多年作物の使用する灌漑水について、一定期間(45-60日)の使用停止を行うことにより、エーカーフット当たりに対価が支払われるものです。※圃場面積が 20 エーカー未満の場合は DIP プログラムに参加できません。
DIPプログラムに参加した圃場では、圃場運営が再開され、灌漑が行われています。順調に進めば、30日後には収穫される予定です。
アルファルファの需要は低調で、米国内、米国外ともに引き合いは少ないです。9月16日のIIDの発表によれば、灌漑面積は137,284エーカー、昨年同期は128,950エーカー、先月は135,219エーカーでした。
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- ワシントン州コロンビア盆地
- 4番刈りが終盤となり、一部の生産者では5番刈りを行っています。朝と晩は冷えてきましたが、天候は良好で、典型的な品質で収穫が進行中です。
需要サイドは、引き続き低調ですが、米国内の酪農家および肥育農家からの大規模な成約がありました。
現在の価格水準が生産者の損益分岐点を大きく下回っているため、当地ではアルファルファの作付面積が大幅に減少しています。これらの作付面積は、より収益性の高い他の作物へと移行しており、現在は、チモシーへの移行が多いようです。
2. 米国産チモシーヘイ
(1)米国コロンビア盆地
2番刈りがほぼ終了しました。例年よりも数週間早めに刈り取りを行ったため、全体的に品質が良かったです。1番刈りと同様に需要が強く、価格は例年の予想よりも高値での取引がされています。また、今年は馬糧用が好調で3タイでの収穫が多くみられました。生産者がアルファルファより収益性の高い作物を探しているため、今秋はチモシーの作付面積が増加しています。
(2)カナダ(アルバータ州南部)
現在2番刈り進んでいます。
5、6月の春先に干ばつに見舞われ、例年の灌漑用水の50%が使用許可されるアナウンスがあり、その後、降雨があったものの、60%に回復したまででした。
1番刈りは主にプレミアムとチョイスグレード(65~70%)が収穫され、スタンダード、スタンダードプラス、ユーティリティが30%程度収穫されました。国内からの需要は依然として堅調に推移しています。
(3)カナダ(アルバータ州中部)
1 回目の収穫の品質と収量は良好で、8月初旬に終了しました。主にプレミアム品が収穫されました。収量は例年よりやや少なく、国内需要は堅調に推移しています。
ZHI(全農ヘイ)では、SDGsへの取り組みの一環として、ビニールラップの削減のためにユニタイズ製品の供給を開始しています。
3.米国産スーダングラス
スーダンの収穫は終了しました。2024年産のスーダンは、作付け面性が減少し、2番刈りを行わない圃場もあるため、供給力は大幅に減少しています。日本からのスーダンへの需要は、8月以降増加しています。これは、円安が進んだことと、チモシーの値段が上昇した事により、スーダンに比較的魅力が出てきたことが伺えます。
なお、スーダンは単年度作物であるため、DIPプログラムの対象にはなりません。
4.米国産バミューダ
牧草生産のみを行っている(種子の収穫を行わなかった)圃場は、6番刈りが行われています。今年はDIPプログラムが始まったため、発生量は限定的です。一方、台湾および日本、テキサス州やアリゾナ州の国内市場からの引き合いは継続しており、需要は堅調に推移しています。今年は、昨年からの繰越在庫が少なく、生産量も減少しているため、来年は供給が厳しくなることが見込まれます。
5. 米国産クレイングラス
今年は、クレイン相場が安かったため、例年より少し遅めの収穫を進めた生産者が多かったです。通常であれば、最初の灌漑が3月後半から4月の上旬ですが、今年半月から1か月程度遅れて、作業が進んだようです。よって、生産量としては、DIPプログラムへの参加もあり、約1回の収穫分は減産されていると予想されます。日本および韓国向けの需要は低迷しており、現時点での需要見通しでは、全体の供給量に問題はありません。
9月16日のIIDの発表によれば、灌漑面積は22,541エーカー、昨年同期は21,870エーカー、先月は21,067エーカーでした。
6. 米国産ライグラス、フェスクストロー
2024 年の収穫は終了しました。今年の収穫は、7月8日頃に始まり、8月中旬に終了しました。天候は概ね良好で、数回のにわか雨がありましたが、品質に大きな影響はありませんでした。通常アニュアルライグラスの収穫よりもフェスクやペレニアルライグラスの収穫が優先されるので、一部のアニュアルライグラスは多少の雨あたりを受けています。
現在、経済が鈍化しており、住宅や商業施設向けを含めた牧草種子の在庫は重く、キャリーオーバーが多いため、今後、生産量は少なくなる可能性が高いです。
7. 豪州産品目
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- オーツヘイ
- 西豪州は概ね刈り取りが完了し、多くの圃場ではベーリングが行われています。生育状態は良好です。当初は上級品の発生が中心になる見込みでしたが、地域によっては収穫後ベーリングを待つ段階で降雨があり、中~下級品も満遍なく発生する見通しです。
南豪州は降雨の少なさが以前より指摘されていましたが、生産量は平年を大きく下回る見込みです。また生育の遅れから収穫スケジュールが他の州よりも1~2週間遅れています。出来栄えは典型的な干ばつ型(細軸、茶葉の発生、高分析値)となる予想です。
ビクトリア州はおおむね順調ですが、直近で雨が少なかったことから、一部産地では生育の遅れが見られます。刈り取りにはもう2週間程度かかる見通しです。収量は平年並みか平年を若干下回る予想で、ベーリング前に降雨がなければ上級品の発生が中心となる見込みです。
10月の天候は西豪州で平年を上回る降水量が予想されています。多すぎる降雨はダメージや黒点の要因となるため、雨に当たりすぎることなく収穫を終えられるかが注視されています。
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- 小麦ヘイ/ストロー
- 現行の23年産について、圃場での乾燥時に雨当たりとなってしまった地域が多く、収量は限定的でした。そのため各産地の在庫は払底に近い状態です。
24年産新穀について、収穫時期が近づいています。各州の出来栄えは、オーツヘイと同じ状況で、西豪州とビクトリア州では生育は順調である一方南豪州では雨が少なく収量が落ち込む見通しです。
8. 海上運賃情勢
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- 北米航路
- 太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港については、おおむね正常通りに稼働しています。
太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港発の貨物について、ポートランドにおける輸出用コンテナ不足が発生しており、動静遅延・デリバリーに支障が引き続き出ています。
US東海岸港湾の労働組合ILA(国際港湾労働者協会)と使用者団体USMXとの労使交渉は、10/3賃上げに関する暫定合意に達したため、10/1からの大規模なストライキは終結いたしました。現行の基本契約は2025年1月15日まで延長され、ターミナルでの自動化に関する協議は残っていますので、引き続き交渉の行方には注視が必要です。
カナダの港湾労働組合である国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)ローカル514は、ストライキ権確立を問う組合員投票を実施しました。今後は、72時間前のストライキ通告を経て、ストライキに突入するかどうか注視されます。
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- 豪州航路
- 豪州貨物の多くはシンガポール港等のハブ港を経由し、本邦へ輸入されます。これらハブ港において、スエズ運河を回避し喜望峰ルートへ変更を余儀なくされたスケジュール乱れの貨物が集中し、一部の貨物で遅延が発生しています。
以上
令和6年10月29日
全国農業協同組合連合会(JA全農)
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