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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和8年4月号

はじめに

 新年度の始まりとともに、粗飼料事業のメンバーにも動きがありました。今月より全農ヘイ株式会社(ZHI)に赴任いたしました、尾﨑淳一です。
 全農畜産生産部・単味・粗飼料課で6年、くみあい飼料で10年、粗飼料を担当してきましたが、このたびZHIの工場があるワシントン州パスコ市へ赴任しました。
 前任者はオレゴン州ポートランドですが、パスコ駐在は今回、私が初めてですので“初代”となります。
 畜産生産の現場に近い皆様に向け、牧草生産地のすぐそばから、現地の空気感も含めた情報発信を心がけていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

1. 米国産アルファルファヘイ

  • カリフォルニア州南部
     2026年3月時点の栽培面積は147,744エーカーで前年よりも増加しています。現在は2番刈の刈取りが中心となっておりますが、不安定な天候により高成分品の生産は少なく、雑草などの混入による低品質品が中心に収穫されています。
     米国内需要は低価格品への需要が強い一方で、高品質高価格帯の荷動きは鈍いです。中東勢の購買は比較的安定的になされていますが、例年と比較するとゆっくりとした購買のようです。中国需要は当地からは高成分品への需要がありますが、2026年度産は低価格品へ需要が移っています。
  • ワシントン州コロンビア盆地
     当地では少ない旧穀在庫の最後の売買と新穀の収穫準備で忙しくなりつつあります。2月には一時的な買い付けの活発化と価格上昇が見られた後、3月後半にかけて市場は落ち着きを取り戻しました。牧草生産農家に残る在庫は順調に少なくなっています。現在残っている貨物の大半は中・低品質のものです。
     今年の春、コロンビア盆地一帯の気候は穏やかに推移しており、牧草の生育状況は過去数年と比較しても順調に早く進んでいます。3月にはカスケード山脈でも多少の雨や雪が観測されましたが、貯水池を満たすには至らなかったため、キッタスバレーおよびヤキマバレーの灌漑地区では、取水制限が実施される見込みです。コロンビア盆地での「4月の慈雨」や山間部での降雪が状況を好転させてくれることが望まれますが、春も深まりつつある今となっては、そうした恵みを得られる可能性は次第に低くなっています。生産者の間では、今後も暖かな気候が続くようであれば、昨年に比べて1週間ほど早く、場合によってはそれよりもさらに早い時期に1番刈を開始できるだろうという見通しが立てられています。
     ここ数ヶ月にわたり当情勢報告にてお伝えしてまいりましたとおり、今年のアルファルファの作付面積は減少しています。

2. 米国産チモシーヘイ

(1)米国コロンビア盆地
 春を迎え当地の圃場と生育状況は良好です。温暖な気温、コロンビア川を水源とする十分な農業用水、冬枯れや風害による圃場への被害は極めて少ないこと、これらがチモシーの生産を順調に進めています。ただ、暖冬であったために雑草の種子が例年(厳しく冷え込んだ冬)よりも比較的に生き残っていると見られ、チモシー圃場に雑草が混入する可能性が懸念されます。生産者たちは、5月中旬頃からの収穫開始を見込んでいます。

(2)エレンズバーグ
 当地においての懸念は貯水量の少なさです。冬期の降雨量、降雪量が少なく農業用水の取水制限が実施されるかどうかに注目がなされています。栽培面積は昨年対比で微増とみられますが、水不足による単収の減少と生産量がどれほどの影響を需給に与えるのか引き続き注視が必要です。

(3)アイダホ(天水地域)
 天水地区である当地においても降雨量が少なく、低い土壌水分が単収、生産量に与える影響がいかほどか注視していく必要があります。一般的に、干ばつ傾向時の品質は柔らかく、嗜好性が良いとされますので良品が期待できます。収穫時期は今年は7月上旬が見込まれます。

3.米国産クレイングラス

 2026年3月時点の栽培面積は23,445エーカーであり昨年同時期対比で微増です。
 1番刈は4月中旬から始まる見込みで、スケジュールは例年どおりです。韓国需要が非常に強く、旧穀在庫は払底しており、新穀の登場が待たれています。肥料、燃料価格の上昇と韓国からの強い需要により、圃場での新穀価格は昨年と比較すると上昇することが見込まれます。

4.米国産バミューダ

 2026年3月時点の栽培面積は約84,500エーカーと大きく伸びています。新穀は今月4月初めごろから一部の圃場で開始されており、これらは主に米国内需要に向けられます。クレイングラスと同様に韓国の需要が非常に強い状況です。韓国の需要は高価格帯品よりも中品質へ向いているようです。
 さらに、韓国需要はバミューダストローへ特に強く継続していくとみられます。しかしながら、このストローへの強い需要は韓国がスペインからの粗飼料輸入を停止していることが背景にあるとみられ、需要の動向には注意が必要です。

5. 米国産スーダン

 4月上旬において、広範囲にわたってスーダンの作付けが行われています。作付は6月まで続きます。今年の栽培面積に関する報告を見ると、現時点での面積は昨年同時期比約2倍を示しています。これは、当地域において砂糖大根の作付けが行われていないことが要因であると考えられます。しかしながら、資材調達コストの上昇や、水不足への懸念があるため、作付けシーズンの中盤から終盤にかけても生産者が引き続き前年よりも大きく栽培面積を増やすかどうか不透明な状況です。

6. 米国産ライグラス、フェスクストロー

 ウィラメットバレーの圃場は、4月上旬時点において良好な圃場状態にあり、順調に生育しています。生育期のこの段階における単収は平年並みになると見込まれています。4月上旬は乾燥した天候となっていますが第3週目には降雨があり引き続き順調に進むと見込まれます。
 ストローの需要は、韓国需要が引き続き堅調であり、日本需要も安定しています。当地の懸念事項は輸出用コンテナの確保です。現時点では需要に応じた確保が進んでおりますが、輸出用コンテナ需給には引き続き注視をしていく必要があります。

7. 豪州産品目

  • オーツヘイ
     2025/2026年産のオーツヘイについて、西豪州は上級品~下級品までバランスよく発生、南豪州は収穫時期の降雨の影響で中級~下級品の発生が中心、ビクトリア州についても収穫時期の降雨の影響で中級~下級品の発生が中心となっています。
     2026/2027の新穀は4月から作付けを開始する予定です。圃場を耕すために使用するディーゼル燃料や肥料価格の高騰を受け、一部の農家はこれらの使用量が比較的少ない豆類や大麦・オーツの作付けを検討しており、オーツヘイの生産量の増加が期待されますが、豪州は天水栽培であることから今後の天候に注視する必要があります。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     2025/2026年産の小麦ストローは旺盛な国内需要や韓国のスペイン産牧草類の輸入停止による需要増加により、輸出向けの余力が限定的となっております。特にCWS(Chopped Wheat Straw:茎を短く裁断し収穫される)は韓国からの引き合いが強く、在庫は払底しています。

 2026/2027年産の新穀の作付は4月から開始する予定です。小麦は比較的肥料の使用量が多いため、一部の農家では豆類や大麦・オーツへの作付けに移行する可能性があります。

8. 海上運賃情勢

  1. 北米航路
     中東情勢による燃料価格の上昇により、各船会社は4月の船積貨物から緊急燃料サーチャージの適用を開始しております。この影響で4月以降に日本へ入港する貨物の価格が上昇する見込みです。
  2. 豪州航路
     中東情勢による燃料価格の上昇により、各船会社は4月の船積貨物から緊急燃料サーチャージの適用を開始しております。この影響で4月以降に日本へ入港する貨物の価格が上昇する見込みです。また、豪州からシンガポールを経由して日本に輸送される貨物について、中東の港に寄港できなくなった本船がシンガポールで代わりに荷下ろしをしている影響でシンガポールでの積替が遅延しており、日本への到着が遅れる可能性があります。
  3. 欧州航路
     中東情勢による燃料価格の上昇により、各船会社は4月の船積貨物から緊急燃料サーチャージの適用を開始しております。この影響で4月以降に日本へ入港する貨物の価格が上昇する見込みです。今回の中東情勢を受けてホルムズ海峡は事実上の閉鎖、また紅海情勢によるスエズ運河の通航制限により、貨物は喜望峰まわりでの輸送が行われているため、欧州から日本までの輸送日数が延びることが懸念されます。

あとがき

 ここ1か月の燃料代が急上昇しているのは、ここワシントン州パスコも同様です。今朝(2026/4/15)給油した際、ガソリンスタンドに掲示されたお値段は写真のとおりでした。1リットルあたり206円!(1ガロン≒3.8リットル、1ドル=160円換算)
 同僚とこのお値段について立ち話すると「少し前まで3ドル前後だったのに…」とのこと。1.5倍以上にもなっており、大きな関心事であることはいうまでもありません。
 数字で見れば理解できても、こうして掲示板の価格を前にすると、改めて「ガソリンは生活インフラそのもの」だと実感します。車社会のこの土地で、今日のこのお値段は、単なる物価上昇以上の重みを持って受け止められました。

以上

令和8年4月28日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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