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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年7月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     現在は5番刈の収穫が進められています。高気温の影響で4番刈以降の品質はいわゆるサマーヘイと呼ばれる低成分のものが中心で上級品は収穫されていない模様です。7月に入り国内酪農家や肥育農家からの需要の高まりにより相場は堅調のようです。中国は品質が需要に合わないため、当地からの購買にはあまり積極的ではない様子です。また、品質や価格面から韓国からの需要についても旺盛ではないと見られます。
     7月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、141,639エーカーが灌漑されています(前年同月:133,709エーカー、先月:145,182エーカー)。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地では、6月上旬に暴風雨が発生し一部の牧草が雨あたりとなったものの、収穫自体は比較的円滑に行われました。乾燥した気候が継続したため、チモシーの品質はコロンビア盆地南部から北部にかけて良好です。収穫時期のはじめは特に2020年産の上級品が不足していた輸出業者による購買が積極的であり、上級品の購買において指値注文のよる価格競争も見られました。
 エレンスバーグにおいても、収穫時期でのいくつか降雨が見られたものの、収穫は概ね問題なく進んだ模様です。米国各地では旱魃の影響が深刻ですが、当地においてはカスケード山脈での冬場の降雪が十分であったため、水資源の利用による制約は無く単収も例年通りとなっているようです。
 天水地域では収穫は例年に比べ2週間程度早く始まりました。当地では比較的旱魃による影響を一定受けており、収穫前では単収が25%減少となる見方が多かったものの、実際に収穫すると想定より更に単収が低かったという声があります。一方で、乾燥した気候が続いたため品質は良好のようです。ただし、収穫が終盤に向かうにつれて直近の高気温の影響を受け茶葉の量が多くなる等の影響がある可能性があります。

3. スーダングラス

 7月上旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、39,406エーカーが灌漑されています(前年同月:40,809エーカー、先月:39,909エーカー)。
 高湿度の影響から、収穫時期後半になると茶葉混入が見られるようになるのが一般的で、ここ1-2週間に収穫されたものについても茶葉による影響が見られます。早播き5月下旬に収穫開始となり現在は2番刈の収穫が行われています。2番刈においては上級品の発生は限定的となっている模様です。遅播きスーダンは6月以降に作付けされており、約60日後に収穫となります。早播きの作付け当初は相場見通しが難しく生産者の作付け意欲が低い状況でしたが、以降相場が堅調となったため、遅播きスーダンの作付けは比較的積極的になされた模様です。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 4-5月は乾燥・温暖な気候が続きました。特に天水地域では乾燥した気候が作物の背丈が短くなる一因となった模様です。このため、単収は例年と比べて低く、作物の成熟も例年よりも一定早まることが予想されます。6月に入り降雨が見られたものの、作物の成熟が早まっているため多くの圃場の作物が茎の成長よりも種子形成行っている様子です。乾燥ストレスによる影響は全ての品種に影響及ぼしますが、生育期間と気候の関係から特にペレニアルライグラスで影響が出る可能性があります。
 旱魃のため副産物を中心に繊維源の価値は高まっており、今後オレゴン産ストローの需給バランスや相場にも影響を与える可能性があります。
 コンテナ船のスケジュールが不安定であることが内陸での保管コストや内陸運賃上昇の一因となっています。また、米国への輸入貨物の増加からトラック運転手は不足傾向です。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     各州で新穀の作付けがほぼ完了しました。各州の降雨の状況で若干の生育差はありますが、概ね順調です。先月号で、ABARES(豪州農政局)2021年6月発表の主要穀物(冬作物)生産量予測の中で、「えん麦」は前年比を下回るものの、過去5・10年平均対比では高い水準となっているとお伝えしました。ただし、豪州産牧草を取巻く環境として、①2月末に中国への輸出期限が切れ、依然として輸出は復活せず、サプライヤー保有在庫が新穀以降まで持ち越される事が確定しています。②農家買上げ価格が低価格で推移したことにより、生産者が「えん麦」を穀物で収穫する方針に切り替えていること、小麦やキャノーラなど多品目へ転作を進めているため、ABARESの生産量予測と、牧草用の集荷量とは連動しないシーズンとなる模様です。サプライヤーの情報によると、エリアによって差がありますが、牧草として収穫される「えん麦」は10-60%の作付面積減少が見込まれるようです。
     サプライヤーの旧穀在庫は、上位品は限定的ですがその他のグレードは追加購買が可能な状況となっています。北米貨物の相場が徐々に判明してきている事を受けて、いち早く韓国から豪州へ、ヘイ/ストロー共に追加オーダーが入っているようです。このため、産地価格は維持されている状況となっています。今後も、北米貨物との価格差で豪州貨物への購買が入ると、価格上昇の懸念があるため、注視が必要です。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     ABARESの生産量予測によると、小麦は過去5・10年平均比で高い水準であり、過去31年で4番目の生産量予測となっています。2020年産はオーツヘイが豊作だったことを受け、各サプライヤーがストローの集荷を限定した事もありますが、新穀ストローにとっては収量を確保しやすいシーズンになると予想されます。ですが、穀物相場が好調なため、生産農家がストローのベーリングを嫌う可能性もあるようです。これを回避するためにも、事前に購買予約が重要となるシーズンになりそうです。
     旧穀在庫はほぼ払拭されているため、追加購買は限定的となっております。

6. 海上運賃

(1)北米航路
 最も状況の酷かった冬から比較すると、太平洋南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ港における貨物船の沖待ちしている滞船数はピーク時から徐々に緩和傾向にありますが、依然としてコンテナ貨物の滞留が世界中で起きていることから、北米発日本向けの乾牧草貨物のブッキングは取りにくい状況が続いております。
 また、太平洋北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港、ポートランド港、またこれらの貨物が日本に向かう途中で経由するカナダのバンクーバー港でも、本船の遅れやヤードの混雑から、港にて1-2週間沖待ちをするケースが起きており、日本到着が遅延するケースが起きております。
 直近は日本直行便サービスや地方港の寄港取りやめが一部船社から通告されたほか、フリータイム条件の見直しが開始され始めています。
 7月積の海上運賃一括値上げ(GRI)については一部アナウンスがありましたが、今後の動静について注視が必要な状況です。スペース確保に向け、コンテナの早期引き取り・返却のご協力のほど、お願いいたします。

(2)豪州航路
 豪州航路では、コンテナ不足については問題になってないものの、積替港(ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、高雄、青島、釜山等)の混雑を要因とした滞船影響による遅延が頻繁に発生しています。
 昨年発生したストライキについても未だ妥結されておらず、前月すでに2度のストライキが発生しており、今後の再開も懸念されます。
 海上運賃は7-9月期改定で上昇しております。サプライヤー情報によると、製品価格を極力抑えてはいますが、反映をせざるを得ないというコメントが得られています。今後も高止まりを続けている往航運賃に引っ張られるようにした運賃の値上げ、燃料費の値上げも重ねて発生しているため、上昇の懸念があります。

以上

令和3年7月20日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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