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海外粗飼料情勢

輸入粗飼料情勢 / 令和3年9月号

1. アルファルファヘイ

  1. カリフォルニア州南部インペリアルバレー
     8月中旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、130,407エーカーが灌漑されています(前年同月:122,324エーカー、先月:138,889エーカー)。
     現在は6番刈の収穫が進められています。高気温の影響により品質はいわゆるサマーヘイと呼ばれる成分が低いものが中心のようです。国内・海外向け需要が旺盛なため、先月に引き続き相場は堅調で、特にサウジアラビアは中級以下品への購買にも積極的な様子です。また、中国は今年市場への参入は遅かったものの、直近では積極的に購買を続け追い上げてきているようです。国内馬糧用向けの牧草も不足している模様です。
  2. ワシントン州(コロンビア盆地)
     コロンビア盆地南部から北部にかけて多くの生産者が4番刈を開始しました。先週後半の降雨により、2番刈の一部が雨あたりになったとの報告があります。7-8月にかけての過度な高温・乾燥気候は一定落ち着いた状況にあります。気温が低下したこともあり、牧草の品質としては今のところ色目が良く、葉付きが良いものが収穫されています。天気予報によると、今後38℃を超える期間が一定あるものの、これを最後に以降の気温は低下していくものと見られます。一方、米国西海岸北部の森林火災による煙は断続的に発生していますが、煙は山間に滞留しているため牧草への影響は限定的です。
     これまで降雨が少なかった影響から、9月上旬には輸出業者からの購買圧力の高まりが見られました。また、モンタナ州、オレゴン州、アイダホ州、北カリフォルニアからの購買者の参入も見られ、米国西海岸全体として牧草不足となるなか相場は堅調に推移しています。この状況は年末まで継続する可能性があります。

2. 米国産チモシーヘイ

 コロンビア盆地では、いくつかの生産者は既に2番刈を終了していますが、刈取を開始したばかりの生産者も見られます。2番刈の品質としては、より雑草の混入が多く、1番刈を終了してからの生育期間の長さにより茶葉の混入も見られます。中央・東オレゴンでは来週中には刈取が開始される見込みです。これまでのところ、当地域から収穫されたチモシーの品質は良好です。
 これまでを振り返ると、コロンビア盆地(灌漑地域)におけるチモシー全体の生産量は昨年並みでしたが、その多くが上級品として収穫された一方で中級以下品の発生は限定的となりました。また、天水地域では旱魃による単収の落ち込みからチモシー生産量は前年比60-70%程度とみられる中、灌漑地域同様に中級以下品の発生は限定的でした。他方、需要面においては、旱魃は近隣州の放牧地の草不足含めた深刻な牧草不足を引き起こし、アルファルファだけでなく、チモシーやその他イネ科牧草類への国内需要も非常に強くなっています。このような中、輸出業者は必要数量を確保すべく高めの価格を牧草生産者へ提示するものの、それを上回る価格で国内需要者が購買を進めている結果、輸出業者が買い負ける状況も散見されます。
 エレンスバーグにおいても2番刈の収穫が開始しており、品質は今のところ良好です。7-8月上旬における高気温の影響から、単収は若干低下しているとの報告があります。先週後半の降雨により、2番刈の一部が雨あたりになったとの報告があります。

3. スーダングラス

 8月中旬のインペリアルバレー灌漑局からの発表によると、26,301エーカーが灌漑されています(前年同月:24,736エーカー、先月:37,951エーカー)。1番刈の収穫はほぼ終了しています。
 現地では、生産量不足と旺盛な需要により、現地での在庫はかなり限られた状況となっています。8月下旬から9月上旬にかけての降雨により、アリゾナ州およびインペリアルバレーのスーダンが影響を受け、遅蒔きの1番刈および2番刈の一定量は輸出には向かない品質となったようです。旱魃の影響から、今年は雨あたり品であっても国内からの需要が旺盛です。また、今年は上級品と中級以下品との価格差が小さくなっています。
 2021年産のスーダン生産における生産者の課題は、肥料価格の上昇、農作業のための人件費上昇、燃料価格の上昇でした。これらを背景に、いくつかの生産者は今年スーダンを作付けすることを断念したものの、今後は月々のキャッシュフローのためにアルファルファやスーダンを作付けする生産者は一定程度いるものと見られます。
 将来的には水不足の影響が懸念されます。湖の水位が低く、行政は水利用の低減策について継続して協議している様子です。このため、特にサンディエゴやロサンゼルスなどの大都市では、今後インペリアルバレーの生産者から水を購入する可能性もあると考えられます。
 北カリフォルニアにおいてもスーダンの刈取が開始され、現在まで65-70%程度終了している様子です。品質としては、ほとんどが中級以上品と見られ、低級品の発生品は限定的です。深刻な水不足の影響から生産者は思うように水を利用できず、スーダン以外も含めイネ科牧草の生産量は例年以下となっており、輸出業者は国内肥育農家との競争にさらされています。

4. ストロー類(アニュアル・ペレニアル・フェスク)

 収穫は終了しています。今年の収穫量を正確に把握することは難しいですが、灌漑か天水かどうかによって収量に差が見られる様子です。例えば、フェスクグラスについては灌漑された圃場からの収穫量は例年どおりですが、全体としては20-25%程度低かったとの報告があります。一方、ペレニアルおよびアニュアルライグラスについては灌漑の圃場では収量が良く緑色が濃い傾向にある一方で、天水の圃場では収量が低く色目が明るい傾向にあるようです。
 収穫された数量やベール数が少なく倉庫に余裕があること、冬場にかけて相場が堅調に推移すると見られることから、中には在庫量を増やす生産者もいるようです。
 政府からの助成金の影響などから労働力が不足しており、牧草生産やその他のサプライチェーンに影響を及ぼしています。ポートランド港での混雑、特に鉄道車両不足により、空コンテナの受け取り等のためにトラックが長く待たされる状況が散見されます。木材や金属くずを取り扱う業者が牧草輸出業者より高額な運賃をトラック会社に支払っているため、トラック会社はこれらを優先する傾向がある様子です。この他、コンテナ不足、船腹不足の影響もあり、オレゴン州、シアトル・タコマ港からアジアへ向かう牧草の物流に影響を与えています。

5. 豪州産オーツヘイ・小麦ストロー

  • オーツヘイ
     現在、新穀の収穫が西豪州(WA)の内陸部で開始しました。例年とほぼ同時期の収穫開始となりました。本格的な収穫は9月中旬からとなります。品質確認や収穫量の内容はこれから確認される事になります。今後、WAから南豪州(SA)、ビクトリア州(VIC)の順に、10月上-中旬まで間、収穫・ベーリング作業が行われます。長期予報では9月末-11月まで東豪州エリアを中心に全豪で最大50mmまでの降雨が見込まれているため、農家は天候を見ながら収穫を進める事になります。
     豪州産牧草を取巻く環境として、①2021年2月末に中国への輸出期限が切れ、依然として復活の見込みは聞かれません。②豪州国内の畜産相場が好調なため、低級品やストローを中心に、国内需要が旺盛になっています。③北米牧草の相場が高値になると睨んだ韓国から、強い引き合いが入っています。④海上運賃の上昇が引き続き発生しており、サプライヤーが品代への転嫁を進めております。これらの状況により、旧穀価格の増高が発生しており、また、サプライヤーの旧穀在庫は、上位品と低級品は限定的ではあるものの、その他のグレードは追加購買可能な状況となっています。
  • 小麦ヘイ/ストロー
     小麦の収穫はオーツよりも若干遅れるため、9月下旬-11月上旬まで各州で収穫・ベーリング作業が開始されます。作付面積が増えていた事もあり、新穀ストローを確保しやすいシーズンになると予想されますが、穀物相場が好調であること、各サプライヤーがオーツへイの購買を優先するため、これを回避するためにも、例年にも増して、事前に購買予約を行う事が重要なシーズンになりそうです。 上述のオーツヘイの項で記載した環境により、豪州産ストローへの引合いが強まっており、旧穀在庫はほぼ払拭しており、また価格についても増嵩しております。

6. 海上運賃

 北米航路、豪州航路について、引き続き遅延が続いています。
  1. 北米航路
     アジア発北米向けの貨物量は、米国のクリスマス商戦に向け取扱量が旺盛な状況が続いています。昨年から続く旺盛な往航貨物量は過去5年をみても最大の取扱量となっており、未だ収まる気配がありません。直近では太平洋岸南西部(PSW)の貨物を船積みするロサンゼルス/ロングビーチ(LA/LB)港の混雑が顕著になっています。背景としてはコロナの変異株の蔓延により、港湾作業員不足となっていることと、北米内陸におけるコンテナ滞留があります。沖にて荷役を待つコンテナ船の滞船状況は依然として増加の一途を辿っており、引き続き平均して1~2カ月程度の遅延となっています。本船遅延を取り戻すため、オークランド港の抜港や、日本に直接寄港するダイレクト便のサービスの減少も発生しており、釜山などの積替港を経由したブッキングを確保せざるを得ない状況が発生しており、通常の輸送よりもさらに日数がかかる状況となっております。
     太平洋岸北西部(PNW)の貨物を船積みするシアトル/タコマ港ではLA/LB港程の混雑はないものの、空コンテナ不足によりスケジュール通り貨物が輸出できておりません。また、航路の途中にあるバンクーバー港の滞船も悪化しており、PSW同様に1~2カ月程度の遅延が発生しています。ポートランド港については、ターミナルの混雑が酷く、鉄道輸送も混乱している事から、PNW航路の中では特に遅延が見込まれています。各船会社は空コンテナの輸送を優先していることから、各港ともブッキングが取りづらい状況は継続しています。
     9月積のGRI(海上運賃一括値上げ)については一部船社で実施され、10月積についても複数社からアナウンスがされており、若干落ち着いた運賃値上げが再燃する見通しです。
  2. 豪州航路
     豪州航路では、北米航路同様の混乱が継続している事に加えて、日本到着後のコンテナ返却の遅れを理由として、COSCOとOOCLが既に予約されていたシッパーのブッキングを大量にキャンセルし、以後のブッキングを受け付けないなど強制的な措置を取っています。このため残る船会社でブッキングの取り合いが発生しており、これまで遅延していた状況が改善されず、さらに1か月以上の遅れが発生しており、当初入港予定から2ヶ月以降の遅延が発生する事が珍しくなくなってきてしまった状況です。
     2020年当初より発生し、その後も継続しているストライキについても未だ妥結されておらず、今後の再開も懸念されます。
     海上運賃は10-12月期についても上昇の話が出ているため、サプライヤー各社より、これらの増高費用の反映をせざるを得ないというコメントが得られているため、注視が必要です。

以上

令和3年9月27日
全国農業協同組合連合会(JA全農)

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